【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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147話 さくっとクビになった頃のこと。 今日から無職だね

……ん――……。

 

「……くぁぁ……」

 

そろそろ起きるかー。

 

僕はのっそりとちっちゃい体を起こす。

 

もうすっかり慣れた体。

ようやくに「これが僕なんだ」って思えるようになった体。

 

「ふぁぁぁ……」

 

睡眠時間長くなったからなぁ……ちゃんと寝ても眠いんだよねぇ。

 

「んぁ――……」

 

本能のままに、猫みたいに体をあっちこっちぐにぐに伸ばして変な声を上げる。

 

なんか最近ご近所さんたちも立て続けにお引っ越ししたらしいし、もうアパートで静かにする必要なくなったから気が楽。

 

まぁ朝も早いし夜も早くって、家から出なければそうそう見つかることもなかったんだけどね……。

 

……このアパート、ボロいからって言って立て替えとかしないよね?

 

この姿じゃ次の家とか探せないから、どうかただの引っ越しラッシュであってほしい。

 

……まぁ大家さんから連絡が来ない限りは大丈夫だって思っとこ……。

 

もぞもぞBGM代わりのテレビを付けて眠気が取れるのを待つ。

 

……ん、今日は風強いのか。

じゃあスカートはやめとこ。

 

スカート。

 

もうさすがに慣れたね、何日も経てば。

ほとんど穿かないけども、ヒマなときはなんとなく着たりするくらい。

 

だから今日もなんとなく手が伸びかけたけども、風が強いんじゃすーすーするどころじゃなくなるもんね。

 

さすがにその領域はまだ早い気がする。

どんな領域かなんて分からないけども。

 

 

 

 

「けぷ」

 

やっぱごはんは半膳が限界。

胃袋もちっちゃいもんね。

 

ただでさえ女の子、ただでさえ子供だもん。

 

おかげで食費は本当に半分だけど、なんか食べた気がしないんだよね……ぶっちゃけ1日くらい食べなくても平気だし。

 

この体にも結構慣れてきた今日このごろ。

 

子供って言うのにも、女の子って言うのにも。

まぁ意外とそんなもんかもね。

 

どんだけ不便で恥ずかしかったって、それで普通に何日も過ごしていれば嫌でも慣れてくるもの。

 

念のためにいろいろ調べたけども、やっぱ、ダンジョンで男が女の子になるとかはない。

 

……そもそも、いくら探しても、あの泉みたいなフロアも無いらしいし。

 

つまりは一切が不明。

だからこそ、今の僕のこれの原因があれだって確定したわけだ。

 

あのダンジョンも、数ヶ月に1回の生え替わりでもう中身は変わってる。

中の構造も、多分もう残ってない。

 

あれから何回か行こうとしたけども結局無理だったんだよなぁ……ほんと、どこまで潜ったんだか。

 

地道にたくさんのダンジョン潜ってあれを引くのを待つしかないのかなぁ……無いよね……。

 

「ぴぴぴ」

 

ん?

 

会社用のスマホ。

 

やだなぁ、有休使い切っちゃってから休んでるのの説明文章、打つので頭使うもんなぁ……。

 

そう思いながら会社支給のスマホをさわさわ。

会社のスマホって鳴るたびに心臓がきゅっとするから嫌い。

 

「えっ。 ……うげぇ……」

 

「諸事情により電話できません」って伝えてメールでやり取りしてたから来ちゃった、「契約解除」の文言。

 

「……マジかぁ……」

 

いや、この声で電話出てカメラに映れば行けるとも思ってなかったけどさ……有給分使い切って数日でクビとか、早過ぎない……?

 

まさかここまで厳しい職場だったとはね。

 

まぁ実質「なんとなくだるいんで」なんて理由で休む人なんて職場には居なかったから、これが厳しいのか甘いのか分かんないけど。

 

……それよりもなによりも――こんなことになってるのに「まぁいっか」って思っちゃってる、僕のメンタルの方がやばい。

 

なんなのこの体……やけに「何もかもどうでも良い」って感じるんだけど……?

 

沈静化魔法とか掛かってるのかなぁ。

 

実際こうして上の人との……上司以上の人とかからのお説教の前に解雇通告とか来てる理不尽さと不思議さすら気にならないし。

 

ほんと、なんでなんだか……けど実際、生活するだけなら何とかなっちゃうから……良くないけど良いや。

 

しかも「今日中に」会社のものとか送り返しなさいって指示だし……書類とか今からいっぱい来るみたいだし。

 

けど……んー。

 

……うちの会社ってこんなに有無言わさないメールとか送って来てたっけ……?

 

と言うかあんまりにも一方的すぎて、もはや何らかの力が働いてるとかそういうレベル。

 

今ごろはそう言うのに厳しいって聞いたんだけどなぁ……。

 

「……………………………………」

 

あれ?

 

僕、ひょっとして最初からリストラ要員?

上昇志向のない平社員どころかもう見限られてた?

 

そんな嫌すぎる現実に思い至る僕。

 

……うん、これ、もう僕に限らず何人かとか何十人とかの「何かあればクビにするリスト」があって。

 

そこにたまたま今回ので「じゃあ征矢君がちょうど良いから。 ほら、ギリ入社から3年経ってないし、退職金も要らないし♪」って感じだって。

 

「……呑もう」

 

きゅぽんっ。

 

 

 

 

「んぁ――……」

 

だるい。

なんかいろいろ大切なものがなくなっちゃった感じ。

 

けども、会社クビになったからには、身銭は稼がないとこのアパートにすら住めないんだよなぁ……。

 

駅からはちょっと遠いけども、ひととおり何でも揃ってる駅前やモールまでバスで30分以内。

 

治安が良くって静かな住宅街。

 

ちょっと古いけども、ひと部屋がかなり広くって隣と下の部屋に人が居ないからうるさくしても平気。

 

……こんな極楽から、家に戻る?

 

「や、むりむりむりむり」

 

まずもって、男がこんな女の子だなんて僕の親が信じてくれるはずないもん。

 

で、信じてくれたって……幼女になってるんだ、母さんがほっとくはずがない。

 

着せ替え人形であっちこっち連れ回されること間違いなし。

 

それはやだ。

男として屈辱的なんだ。

 

やー、危なかったぁ。

 

こういうときのためにって副業やってて。

おかげでこうなる前レベルで稼げたらむしろ会社ない分、楽で

 

「……って、ちっがーう」

 

変なテンションでノリツッコミしてみる。

違うでしょ僕……違うの違うの、ダンジョンのせいでこうなってるの。

 

あれか、やっぱ副業禁止だったからかなぁ。

だから天罰来ちゃったのかなぁ。

 

……んなわけないけど……とりあえず気分変えるために潜ろ。

 

「ほんと僕、中毒だなぁ……」

 

このせいでこんなことになってるのにね。

 

でもなんだか言葉にできないんだけども……ダンジョンって居心地良すぎるんだよなぁ。

 

もういっそのこと、住んじゃう?

ダンジョンに?

 

あのじめじめじめじめしてるとこに?

 

「……意外とアリかも?」

 

それともナシ?

 

やっぱり?

 

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