【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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16話 「はじめてのだんじょんはいしん(限定公開)」

普段通りのことするとなんか落ち着くよね。

 

ダンジョンの1階層に入って来た僕は、ごく自然に頭の上に手を手を伸ばしてカメラの向きを確認。

 

「と言うことで持ち込みほぼ無しでのアタックです」

 

声の大きさとか大丈夫かな?

 

……配信歴何年なのに初心者みたい。

 

ま、まぁ、声出しとか初めてだし?

 

今の僕幼女だし?

 

【見知らぬアカウントからの通知がいきなり飛んできたと思ったらハルちゃんで草】

【いつもの時間だって思ってなんとなく開いてた俺とハルちゃんが通じ合った……?】

 

【いや、いつもだからだろ】

【自然に幼女ヴォイスが聞ける幸せ】

【まだ……まだショタの可能性は……!】

【初見まで招待されてて草】

 

「一応あの騒ぎの前までのみなさんと言うことで。あんなに膨れ上がった人たちの分なんて僕、捌けませんし」

 

【僕っ子!!!!!!!!!!】

【初見の喜びようがすげぇ】

【僕っ子ロリ……良いね】

 

【一瞬で濃いキャラ付けな俺たちのハルちゃん】

【思ってたより落ち着いた話し方だ】

【文字コメントオンリーのときと案外似た印象】

 

ちょっとだけとは言え、今の僕の声はるるさんのときのでバレてるらしい。

 

……それに男のときから「コメントにいちいち打って返すのめんどいなー」って思ってたし、もう子供バレしてるし。

 

あとここにいるのは今までの人たちプラス1人だし、お披露目にはちょうど良いかなって思ったんだ。

 

僕の配信見続けてた奇特な人たちだし非公開だし、大丈夫でしょ。

人の見た目なんて、声だけじゃ案外分からないものだし。

 

あと僕のこと男の子だって思ってる人も居るし、ここは「女の子だって思いたいけど声変わりする前の歳だから男の子かも」って可能性残しとくことで正体隠しとこ。

 

あ、髪の毛……も、今は多様性の時代だ、髪の毛伸ばしてる系男子だって小学生でもいるはず。

 

変装のためにかつら……ウィッグって言うんだっけ、被ってるとも言えるし。

 

まぁバレないときはどんだけずぼらでも何年でもバレないし、バレるときはどんだけ気をつけていても一瞬でバレる。

 

世の中そういうもの。

 

るるさんみたいに、あり得ない確率の不幸踏み抜く存在もいるんだからね。

 

……すごい説得力。

 

「いつもの通りなのでつまらない配信だとは思いますが……ヒマなので潜ります」

 

【草】

【ハルちゃんハルちゃん、るるちゃんとかのって聞いてもいいやつ?】

 

「あ、そうですね。別に言うなとは言われてない気がします」

 

多分。

 

【いつものアカウントの方じゃ、るるちゃんっぽいタイトルだったけど】

 

「多分るるさんが設定したんだって思います」

 

【まさかハルちゃん、個人勢から事務所に拾い上げ!?】

【もしそうならすごいよな】

【トップランカー揃いで上位10入りだろ? あの事務所って】

 

「え、そんなにすごかったんですかあの人たち」

 

【ハルちゃん、やっぱりぜんぜん知らなかった……】

【まぁハルちゃんだし】

【ネットろくに見てないって去年辺り言ってたもんねぇ……】

 

「そうですね。 スマホとかも1日10分くらいかな」

 

【ハルちゃん、厳しいお家なのかな】

【厳しいお家なのにこんなに毎日潜れないだろ】

【と言うか稼ぎ的にハルちゃんが家長とかなんじゃ?】

 

【でも幼女だろ?】

【ショタです!!】

【詮索は良い、ハルちゃんはハルちゃんなんだ】

 

え、去年とか……結構前に言ってたこと覚えてた人いるんだけど、記憶力すごいね……僕なんか今日言われたことも忘れてるよ。

 

まぁ僕の配信をわざわざ追いかける人たちだし。

僕と同じくらいの変わり者なんだろうね。

 

「ダンジョン入ったらあんまり話せないですけど、返事なくても気にしないでください」

 

【りょ】

【つまりはいつもの無言配信だな】

 

ダンジョンの入り口から少し。

 

やっぱり都会でも平日の午前って言うのは人気がないらしいからってことで軽く視聴者さんたちにご挨拶。

 

じゃ、行ってみよう。

 

 

 

 

【けど珍しいねハルちゃん、普段はレベル……50とか60のダンジョンなのに】

【いつも敵がろくに映らないから緊迫感ないけどな】

 

【ハルちゃんのレベルとスキルで今さら初心者用ダンジョンって言うのも不思議だけど、確かに新鮮な感じ】

 

【はじめてのぼうけん……】

【閃いた】

【通報した】

 

【あの、私この前のが初めてだったんですけど、ハルきゅんっていつもそんな高難易度のところにソロなんですか?】

 

【そうだな、いつも結構高いところ行ってるよな】

 

【やってることは壁沿いを静かに進んで岩陰とかに隠れてじっと待ってのヘッドショットだけどな】

【後衛職なら装備と技量次第でレベルもあんまり関係ないから……ソロだけど】

 

【普段の戦闘スタイルも、遠距離からか忍び寄ってモンスターのコア撃ち抜いてのクリティカルショットなんだけど、あの配信でみんなヘッドショットって言うようになっちゃった】

 

【俺たちのハルちゃんが……メジャーデビュー……】

【ファンとしては喜ぶべき何だろうけど複雑】

 

【こっそり応援していた子が急ににわかに取られるこの気持ち】

【分かる】

【分かる】

【このアングラ感が良かったんだよ】

 

【それを分かってか分からないでか、俺たちにいつも通りを見せてくれるハルちゃんマジ天使】

 

【ハルちゃんだから天然だろ。 この辺のコメントも見ないのも含めて】

【草】

 

初心者用……ちゃんとした武器と防具と道具、モンスターへの知識と戦い方さえ用意したなら、一般人、子供でも5階層くらいまでは進めるレベルのとこ。

 

本当にモンスターもレベル1とかね。

だからこそほぼ手ぶらで来るにはちょうど良い。

 

……正直今の僕ならレベル……30くらいまでこれでも行けるとは思うけどさ……ほら、るるさんのあれ見たら……ちょっと怖いじゃん?

 

罠を連続で踏み抜くとか……アレだけのはないにしても2連続くらいは無いとは言えないもんね。

 

らなみにるるさんのアレは宝くじよりも低い確率なんだって。

あの日あの時間に宝くじ買ってたら今ごろ億万長者だったのにね。

 

それにダンジョンってのは人類圏に現れた人類圏外なんだ、FOE的なのだってゼロじゃない。

 

痛い思いはしたくないもん、油断だけはしないんだ。

 

【で、ダンジョン入ったら今みたいに、まずは石拾いからがハルちゃん流】

 

【石……?】

 

【普段はスリングショット……賭け事の方じゃないパチンコ用の弾用。 でも今日は武器すら持ってないから投擲用かな】

 

【投擲スキルあれば石ころだって充分な威力になるんだよな。 俺、この配信で初めて知った】

【俺も】

 

【ハルちゃん、投擲スキルどのくらいなんだろ】

【最低でも30くらい? ダメだ、マニアックすぎる戦闘スタイルでWikiにも出てない……】

【だってどう考えても他の武器の方が便利だし……】

【草】

 

ころころと袋に貯まってきたのは良い感じのサイズの石。

 

石って良いよね……弓矢だと矢が折れたりするし弦が切れたりするし、銃だと弾代が……ね?

 

それに比べてそのへんの石ころってのは良いものだ。

 

なにしろほとんどの人にとっては無価値で注目に値しないもの。

 

そんな石ころみたいな人生だって悪くはないんだ。

男だった僕だってそうだったもん。

 

早く石ころみたいな男に戻りたい。

 

それが僕の幸せ。

 

【あ、でも】

【お手々が映ってる!!!】

【あー、もう隠す必要なくなったからか、カメラがちょっとだけ下に着けてある……いい……】

 

【お手々!!! ちっちゃなお手々!!】

【落ち着け】

 

「っと」

 

ひゅんっ。

 

まだ低層って言うか1層だしってことで隠蔽も切ってるからか、早速にモンスターだ。

 

……うん、レベルが低いからのろのろだし足音もはっきりしすぎてるから思わず見ずに石投げちゃった。

 

さすがに無理……あ。

 

【え?】

【何今の】

【ハルちゃん、もしかして……】

 

「見てなくてごめんなさい……そうですね、モンスター居たっぽいので適当に投げました。反応が消えたので多分いつも通りです」

 

【えっ……ハルちゃん、なんかさらにレベル上がった……?】

【まぁ普段なら、攻撃食らったらHPの何割か削れるレベルの場所から一気に低レベルだし……】

 

【ハルきゅん、もしかして見ないで投げた……?】

【いつもみたいに狙い澄まさなかったから多分】

 

舐めすぎてるるさんみたいに変なトラップで――ってのは怖い。

だって近くで見たもん……何あれ、ほんと怖い。

 

だからどれだけ弱くとも万全に。

 

【あ、ドロップ】

【ヘッドショット……以前にハルちゃんのレベルとスキルで瞬殺か、さすがに】

【多分かすっただけでこうなるな】

 

【あ、本当だ、ただのスライムのコア】

【ハルちゃんとスライム……閃いた】

【通報した】

 

【さっきからやめて、ハルちゃん相手だとマジで捕まっちゃう】

【安心しろ、冗談だ】

【え? 通報しちゃった】

 

【え?】

【え?】

【安心して、冗談だから】

 

【止めて、リアルロリ疑惑のハルちゃん相手は冗談にならないからホント止めて……】

【草】

 

何も持たないチャレンジだからってさすがに弱すぎたかな……ダンジョン選び直そっかな……。

 

でもこんな感じで疲れるくらいで引き返せば、普通にバイトとかで働くのよりずっと手に入るもんなぁ。

 

あと、やっぱりこうやって戦うのって楽しい。

 

もはや中毒。

 

ダンジョンに潜りすぎると取り憑かれるって言うけども、そういう意味じゃ僕はとっくに取り憑かれちゃって、ついでで女の子になっちゃってる感じなんだろう。

 

 

 

 

【あれ、ハルちゃん何してるの?】

【さっきから止まって……FOE?】

 

「いえ、そう言えばなんとなくの思いつきで何も言わずに出て来ちゃったので、えみさんくらいには伝えておこうって」

 

【おでかけ先と帰る時間、お母さんに言わなきゃダメでしょ!】

【えみお母さんが一緒の生活……】

【うらやまー】

【えみお母さんに甘えるハルちゃん見たい】

 

【えみママに埋まりたい……】

【胸とふともも、どっち?】

【もちろんどっちも】

 

あ――……。

 

みんな、えみさんが本当はヘンタイさんだって知ったらどうなるんだろうね。

 

案外すぐに受け入れられるかもしれないけどさ……だって男ってそういうもんだし。

 

【るるお姉ちゃんに甘える……いや、るるちゃんなら】

【ひたすら抱きついて甘えてくるだろうな……天国か】

【おねショタ!!!!!】

【落ち着け初見、おねロリの可能性の方が高いんだ】

 

けども、ちょっと落ち着いて考えたら……ああやって抜け出す時点で僕のストレスはそれなりにあったんだろう。

 

だから行き先も今伝えたくらいだし。

 

ま、今伝えたし怒られないでしょ……怒らないよね?

 

あまりにレベル低いってのはダンジョン名調べれば分かるだろうし、なまらない程度に体動かしてくるって書いといたし。

 

あ、バッテリー節約のために他のアプリ落としてっと。

 

よし、問題なし。

 

【あ、ちょ、ハルちゃん】

【ハルちゃんハルちゃん、設定! 配信設定触っちゃってる!】

 

【あ、ダメだ、これいつもの見てないパターン】

【あの……いつものアカウントに移動しちゃってるんだけど……】

【ハルちゃーん!】

 

「せっかくですし、ある程度までは止まらずに歩いて潜ります。ちょっとでもダメージ受けそうになってからいつものスタイルってことで」

 

【ハルちゃーん!! ダメだ、やっぱり見てない!】

【ちくしょう、けどそんなハルちゃんがかわいすぎる】

【天然ロリ……】

 

【でもサブ垢からそのままメインに移動して配信とかできるの?】

【そんな機能……あ、あった】

【あるのかよ!?】

 

【まー、普通の人は使おうともしない機能だよな  でもなんでこんなのを?】

【今の感じ、チャットの後に配信アプリに戻って指が触れちゃってって感じ?】

 

【そんなミラクルある?】

【やっぱりるるちゃんのせい……?】

【るるちゃんに関わったから……】

 

【もしかして勝手に出かけちゃったから思念だけ乗り込んできた?】

【ホーミングるるちゃん?】

【ホーミングるるちゃん草】

 

【ハルちゃん……これ見たらその足でお祓い行って……無理かもしれないけどるるちゃんとの接触歴が短いからまだなんとかなるかも……】

 

やっぱり適正レベルってのがあるんだなぁ。

 

ゲームとかだって簡単すぎてもつまらないものだしさ。

 

そんなわけで、僕はいつも通り、ダンジョンに潜る人の常として取り憑かれたようにモンスターをばしばし倒しながら下へ潜って行った。

 

 

 

 

「えみちゃーん! 九……ちほちゃーん! ハルちゃん勝手にダンジョン潜って配信してるよー!?」

 

ダンジョン協会、地域支部の会長室。

 

そこで「征矢春海、またはハル」について今後を議論していた中、突然に上がった悲鳴。

 

「済みません、緊急のこと故少々……それでるる。彼……彼女は部屋に居るはずよ。外出する連絡は来ていない……ですよね? 九島さん」

 

「え、ええ……ちょっと守衛さんに連絡してみますね」

 

「でもほら! 配信! ハルちゃん!! おてて!!!」

 

「!!!! ……こほん、確かにその柔らかさ加減はハルのものね」

 

「え、三日月さん手の甲だけで分かるんですか……カウンセリング、早めますね」

「どうして!?」

 

会議に集まっていたメンバーたちも次々とスマホを取り出し、渦中の「彼または彼女」のアカウント――の前にSNSを覗き。

 

「ゲリラ配信」「ハルちゃん」「素潜りダンジョン」というワードがトレンド入りしているのを見て――頭を抱えた。

 

「私とのコラボの前にダンジョン潜っちゃったー! コラボー!」

「いや、まだるるとコラボとは決めていませんが……」

 

――やはり軟禁ではなく隔離すべきだった。

 

なにしろ、姿形がダンジョンのせいで変わったのに1年もそのまま暮らしていた人間だ、変わり者なのは間違いがない。

 

そう分かっていたものの、可憐な幼女という見た目で手加減してしまっていた彼ら自身の判断が悔やまれていた。

 

「ハルさん……帰って来たら、ご自分の注目度。ちゃんと知ってもらわないとですね……」

 

「無理だと思うよ? ハルちゃん、いつもぽーっとしてるし」

「るるには言われたくないと思いますけど……改めて教えないと……」

 

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