【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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160話 瞳の消えた深谷るる

「ハルちゃんごめんね私分かってたのお家にいきなり押しかけたりしてハルちゃんがほんとは嫌がってたの」

「でも私のことを年下の女の子ってことで甘やかしてくれるお兄さんみたいだったから甘えちゃってたの」

 

「もちろんハルちゃんがかわいすぎて小さすぎる女の子になっちゃった男の人だって聞いたからここは女の子な私が役に立てるって思ったのもあるの」

 

「でもそれだって本当はハルちゃんにとっては要らなかったしそもそもハルちゃんは女の子になって1年も経ってて私がお風呂に押しかけても顔すら赤くならなかったんだ」

 

「なんで私のこと女の子って見てくれないんだろう」

「そうじゃないの私は迷惑かけたし助けられたんだから恩返ししなきゃ行けないの」

 

「そうじゃないとこれまでずっと学校でも気持ち悪いバケモノって言われ続けて友達もできなかった私のことを初めてちゃんと見てくれた男の人が私から離れちゃうと思って」

 

「そんなこと行けないのにねだって恩返ししたいならハルちゃんが珍しいって言ってくれそうな本とかをときどき渡すくらいがいいってわかってたもん」

 

「でも止まらなかったのここでぐいぐい行かないとハルちゃんは絶対私と距離取ってすぐに忘れちゃうって分かったから」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「あのとき私を助けてくれたハルちゃん」

「ヒーロー」

「かっこよかった」

「かわいかった」

 

「あのとき私ね死んじゃうって怖かったけど同時にこれでようやくみんなから嫌な目で見続けられる日もお母さんとお父さんが距離置いてくる悲しい時間がようやく終わるってほっとしてたの」

 

「死にたかったの」

「でもそうはならなかった」

「あなたが助けてくれたの」

 

「だから私はあなたのお家に押しかけてホテルに押しかけて新しい家にも押しかけたの」

「女の子として見てもらいたくってお風呂に押しかけたの」

 

「あれは嬉しかったなだってハルちゃん恥ずかしがってたから」

「つまり私のことを女の子だって男の子として見てくれたんだもん」

 

「分かってるハルちゃんは常識的な男の人だからこんな色気も女の子らしい体つきでもない私のことなんて好きにならないって」

「でもちょっとはむらっとしてほしかったんだだってそうしたらちょっと恩返しになるかもしれないから」

 

「でもあのとき私のこと綺麗って言ってくれてやられちゃった」

「余計に好きになっちゃった」

 

「なんでハルちゃんってあんなにどきどきすること言ってくるんだろうね」

「やっぱりたくさん本読んでるからなのかな」

 

「お仕事もクビになっちゃってて私のせいで何千万円とか使わせちゃって恩返しにって配信が伸びるようにってお手伝いしようとしたね」

 

「でも結局ハルちゃんはどれだけ配信とかを研究した私よりもハルちゃんらしさだけで軽く私を超えて行っちゃった」

「当然だよねだってハルちゃんは素敵な男の人がかわいい女の子になっているんだもん世界中の人が見逃すはず無いもんね」

 

「そうだよね命をかけてまで見ず知らずの私を助けるくらいだもんきっと何かのきっかけでハルちゃんの魅力にはみんなが気が付いてたはずだもん」

 

「でもリリちゃんを助けて出て来たあのときはやだったな」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「彼女さんでもないのに勝手に嫉妬して嫌な気持ちになって」

 

「でもどうしても止まらなかったの私のハルちゃんが取られちゃうって思ったらぐちゃぐちゃになりそうだったの」

 

「こういう気持ちのことえみちゃんとちほちゃんに相談してなんとか抑えてたのこれでもなんだよ本当だよ信じて信じてください」

 

「でもハルちゃんは話しかけたら必ず私のこと見てくれて聞いてくれて私が居ても良いって言ってくれて嬉しかったんだ」

 

「リリちゃんとかえみちゃんとかちほちゃんみたいな女の子らしい女の子に囲まれてるからハルちゃんが男の人に戻ったら何番目でも良いから私のことを」

 

「ごめん」

 

「やっぱりいちばんじゃなきゃいや」

 

「ひとりじめできなきゃいや」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「それなのにノーネームちゃんに誘われたダンジョンで楽しかったのどうしようもなくハルちゃんと何日も一緒に冒険して楽しかったの」

 

「でもやっぱりハルちゃんはヒーローで王子様でお姫様だったね」

 

「あんなにおっきなドラゴンを最後には仕留めちゃうんだもん」

「危険を察知してえみちゃんとリリちゃんを離脱させて」

 

「わたしと一緒にお願いの泉に行って戻るって思って」

「でもハルちゃんはやっぱり優しすぎて男の人に戻ることよりも私のこれのことを心配してくれてたんだ」

 

「だから気が付いたらもうハルちゃんは男の人に戻るチャンスを私のために使っちゃった」

 

「なんで」

 

「私なんか価値なんて無いのに」

 

「どうしてなのハルちゃん私なんてそんなに」

 

「ハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃん……」

 

 

 

 

「……深谷るるさんは、重度の心的外傷後ストレス障害を発症しています。 恐らく……」

「……はい。 目の前で、2回も……しかも今回は……」

 

病室。

 

ベッドに横たわり、光も音も届いていない様子の深谷るるを見つめる医師と友人たちが居た。

 

「……るるは、元から危うい面があったんです。 ですから当初も、ハルさんが嫌がるのならすぐに離そうと相談をしていたくらいで……」

 

「ノーネーム……さん、による『呪い』。 そのせいでほとんど孤立した状態で高校まで……でしたか」

 

「呪い」という、現代科学とは真っ向から対立する概念。

 

しかし当の医師もまた――「彼女になった彼」を診察した医師には、最初から疑う余地はなく。

 

「ええ。 ちほさんには話しましたが、あれはいじめという段階ですらありませんでした。 『触れる』『意識される』ことすら怖れられる環境……不快な思いにさせないようにと、明らかに腫れもの扱いでした」

「そんな……」

 

「……理由の分からない『不幸』。 それに、近しいほど巻き込まれるのでしたら、恐らくは悪意を持って接しても……」

 

深谷るるの「不幸」っぷり。

 

それを、直接に知り合う前に配信で知っていた九島ちほは想像し……思わずで身震いした。

 

たとえそれが、今では「ノーネームちゃん」としてネットで愛されているキャラクターとして知っていても、その底知れなさに。

 

「……それも私たちのパーティーに加入させて明るく演技してもらうことで『ドジっ子の不幸体質』として……」

 

「ハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃんハルちゃん……」

 

ぶつぶつとつぶやく深谷るる。

 

そんな彼女が話し疲れるまで、一同はじっと、その昏い目を見つめる。

 

「……今後は経過を見極めつつのカウンセリング治療がメインとなります。 残念ですが、深谷るるさんのレベルまで行ってしまいますと精神薬も……」

 

「ええ……心的外傷後ストレス障害の治療には、時間が掛かります。 特に彼女は目の前で愛する方を……という状況からまだ脱していませんから。 正気に戻っているあいだは、私たちが付き添います」

 

1日の大半は少し落ち込んでいるようにしか見えない彼女。

 

しかし、1度「こう」なってしまうと……気持ちを吐き出し尽くすまでは止まらない。

 

彼女の心の闇は――「彼」が戻って来るまでは、治らない。

 

 

 

 

「と、ハルさんが戻ってくるまでのるるはこんな感じだったぞ」

「えぇ……」

 

「もうやめてぇー! えみちゃーん!」

「本当に良かったですね……」

 

「今のるるさんからは全然想像できませんね」

「だからやめてー! 録画消してぇー!」

 

「駄目だ。 いつまたああなるか分からないからな、ハルさんには充分に知っておいてもらう必要があるんだ」

「……ほどほどに、ですよ……?」

 

――この会話は、近い未来に起きるもの。

 

彼が戻って来るまでは、実現しないもの。

 

「しかしハルさん……大変でしたね」

「はい。 まさかあんなことになるとは」

 

再会しての熱が少し落ち着き、のんびりとした空気。

 

そこで、「彼」の経験してきた不思議な世界のことが語られる。

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