【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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167話 始原会議Ⅶ

「あの……その。 このままで良いんでしょうか……?」

 

「どうした女神」

「言えばなんでも用意するから言ってね女神」

「唯一の癒やしの女神」

「こんな私たちのことも心配してくれるだなんて……」

「やはり女神か」

「やっぱり女神さね」

 

「……そういうのは良いですから……」

「諦めてください……この人たちはこうなんです……」

 

いつもの地下室。

 

ハルが消えてからと言うもの、もはやオンオフ関係なく……深谷るるの相手をする時間以外は入り浸っている三日月えみと九島ちほ。

 

気が付けば全員でタブレットやPCを打っての情報工作や情報収集をしているようになった中、ふと彼女が疑問を口にする。

 

「だって……その。 ……お酒呑んでいるところとか……」

 

――と、先ほどの飲酒と脱衣配信を受けて。

 

「だってノーネームちゃん、意地でも配信止めないもん」

「ねー」

「左様」

「ノーネームちゃんに逆らうことなぞ人間には敵わぬ」

「唯一命令できるのはハルちゃんとるるちゃん……あ、2人だった」

「確かに」

 

ハルが生きていると確定し……なぜかいつも通りに高さ数メートルの所の壁のくぼみでくつろぎだしてから1週間。

 

そのあいだに、これまでのことをすっかり聞かされた九島ちほ……と、ついでにもう一度の三日月えみ。

 

「始原」入りさせられた彼女たちだったが、当初はここまでこちらに顔を出さず、深谷るるの看病をする予定だった。

 

しかし。

 

「……カメラ、くつろぐときは自分が見えるように置いているので、その……」

 

「ああ、ハルちゃんはライフログ的なのが好きですからね」

「そもそも自分が見られるのは気にしない性格みたいだね」

 

「以前……るるちゃんと出会うまでは声も顔も出さなかったのは、身バレ以前に『面倒くさいから』だろうし」

「どうも今は、自分の体じゃないと思っているフシもあるものねぇ……」

 

「ええ……結構きわどかったりして、1日に何回も心配になってしまって……」

 

「それでここに来る女神ちゃんマジ女神」

「ねー」

 

ハルは、元は男性。

 

ゆえに、基本的に服には無頓着。

なのに、きちゃない袋に入っていた服は、基本スカートのもの。

 

だから座るときにはふとももが結構見えていたり、トイレへの上り下りの際にカメラ側におしりを向けて……見えそうになるときには【閲覧】【不可】と信頼のガードがあるが。

 

寝ているときには寝返りではだけるし、その長くて美しい金髪が顔や腕に絡まって……とにかく扇情的に見えてしまう。

 

「ハルちゃん、あんなにちっちゃいのに妙に色気あるよね……」

 

「あれは天性の魔性さね。 ああいう子は無意識で人を引き寄せるのさ……まぁ普通の女なら若いうちに食われるのがほとんどだけど、中にはああやって手を出されないまま虜にしていく子もいるからねぇ……」

 

「普通なら同性の女子から総スカン……なんでしょうね」

「特に閉鎖的な島国じゃあね」

 

天才少女青年コンビがため息をつく。

 

「でも、そうならないのは……」

 

「……? 私?」

 

ワイン瓶片手にフリック入力に熱心だった姉御。

彼女に向けられる視線で、ようやく会話に参加する。

 

「……あー、ハルきゅんの」

 

「無自覚だったの?」

「あー、うん。 フツーに推しのショタを盛り上げるついでにサーバー内でショタ系コンテンツを語り合う場にしてたわ」

 

「……のう。 此奴、入れて良かったのう……」

「ええ、慧眼でしたね……」

 

女性の敵は女性。

それは古今東西変わらない。

 

現に、女性配信者の最大の敵は女性リスナー。

 

……なのだが、それらは「ハルきゅん」という、もはや一大コンテンツでガードされているとのこと。

 

「そのおかげで、ハルちゃんが甘すぎることしても『ハルきゅんハアハア』としかならないもんね」

 

「だからネットスラングはリアルでは止めましょう……?」

 

「む。 済まないね、なにしろこの歳になって、ハルちゃんのために学び始めたからなんだか染みついちゃってね」

「分かるわー、めっちゃ分かるわー。 こー言うのって感染るからさー」

 

社長と姉御という、一見いかがわしい関係に見える2人が頷く。

 

「……元から幼い少女の見た目という事もありますから、目立ったアンチは驚くほど少ないのが現状です」

「まぁそういうのはノーネームちゃんがないないしてるだろうけど」

 

「……でも、その。 さっきは……お酒まで」

「しかも脱いじゃってましたね……」

 

「というかクレセントちゃん大丈夫? 輸血する?」

「人間って興奮するとマジで鼻血出るんだね……」

 

「そこでこっそりと席を外すんじゃなくて、真っ赤になって鼻血って辺りがクレセントちゃんのピュアさを物語っている」

「ちょっとー、女子もいるんだからセクハラ禁止ー!」

 

「……あはは……先ほどは大変失礼しました……」

 

もはや仲の良いサークルと同じ雰囲気。

 

そんな空間で……三日月えみは、そっと足元のごみ箱を机の下に押し込む。

 

「……えみさん、ちょっと」

 

そんな彼女に、ぼそっと耳打ちする九島ちほ。

 

「……これは医療関係者としての忠告ですが」

「え? ええ」

 

「……性欲は健全な形で発散しないと大変なストレスになります。 私への相談が気まずいということでしたら、同僚のカウンセラーに」

 

「……い、いえ……今はそういう時期じゃないから……」

 

「あ、そういえば次のロリータコンプレックスのカウンセリングは明日ですよ?」

「分かってる! 分かってるから! そういう気まずくなるのは良いから! ……あ、また……」

 

再び鼻血が出始め、念のためにと治癒魔法を掛けられている三日月えみ。

 

そんな彼女たちを、生暖かい目で見守る一同だった。

 

「若いねぇ……」

「儂ものう……あと50若ければ……」

 

「……ノーコメント」

「あー、おっさんむっつりー」

 

「あれって百合なの?」

「さあ? ハルちゃんの中身知ってるから健全なんじゃない?」

 

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