【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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177話 【異変調査班配信】3

「でっか!! あれ、ワイバーンでしょ!? なんであんなに強いのー!?」

「……モンスターのレベルが20って、こんなに差が……!」

 

「見た目もちょい違うし、なによりでっかーい!!」

 

【でかい】

【でかいな】

【何かでかいって?】

【この子たちの平均的なななななな】

【大丈夫、るるちゃんの絶壁ででででで】

【ばかばっか】

 

配信を始めてから1時間ほど。

 

大半のモンスターは、先行していた軍人たち――ダンジョン攻略専門の――が倒しているが、それが間に合わなかったり、あるいは配信で見せたいものを残したりされる。

 

その度に少女たちは、わざとらしくも分かりやすい反応で――ともすれば世界中パニックになるような現象を、コミカルに抑えていた。

 

「見た目もモーションもおんなじなのに。 ねー、えみちゃーん」

「そうですね。 以前倒したよりも、はるかに強い……」

 

「おっしゃる通りです。 ですので、慣れている方ほどこれまでの感覚を引きずってしまいますと」

「今までの感覚で戦って大ケガ……しそうですね、これでは」

 

「モンスターの種類的には、ちょっと違うけど知ってるのばっかだもんねぇ」

「ええ……意識していても『これで倒せるでしょう』と油断してしまいますね」

 

【まじかぁ】

【なるほどなぁ】

【いろんなモンスター出て来てるけど、スライムでさえめっちゃタフになってるもんなぁ】

【一応高難易度ダンジョンで出て来る色違いのやつだけど……】

【まさに初見殺し】

【こら封鎖してるの正解だわ……】

 

流れで促されての、軽い戦闘もしていた彼女たち。

 

(本当に、知っているはずの強さの何倍の攻撃が返って来るんだもの……このことを知らないで潜ったら……)

 

ぶるり。

 

実力以上のダンジョンでひやりとしたり、ハルの500階層攻略に付き合っての後半で感じていた、あの感覚。

 

それが――高難易度ダンジョンとは言え、わずか数階層ではっきりと感じられている。

 

……そして。

 

「……でも、その。 救護班と護衛さんたちはついていますけど……うちのるるは」

 

「――早く死んでよモンスターさんたちハルちゃんのところ行けないでしょほら守ってよノーネームちゃんこれまでの分もちゃんとがんばってハルちゃんの言ったこと守ってよ」

 

相手はグリズリー系――普段なら、深谷るるたちがパーティーでようやく倒していたモンスター。

 

それと同じ見た目で――レベルが20も上がっている存在。

それ相手に――単独で立ち向かっている、深谷るる。

 

「グオオオオオ!?」

 

「ハルちゃんの痛みはこんなものじゃないんだよしっかり覚えて死んでねああ熱いなぁもう血なんて浴びせないでよ私を汚して良いのはハルちゃんだけなんだよねえ分かってるクマさんハルちゃんなら優しく屠ってくれるけど私はそんなことできないからごめんね?」

 

【ひぇぇ……】

【見てらんない】

【でも無傷だぞ?】

【血まみれなのに】

【あれか? ハルちゃんが最後に言ってたのを……】

【ああ……ノーネームちゃんに「るるちゃん守って」って言ってたのを……】

【逆手に取ってる?】

 

高速で走り回り、攻撃しては躱――さずに、けれども不自然な力で空振りする反撃。

 

「………………………………」

 

最初こそ、突撃してしまった深谷るるを止めようと、助けようと向かった兵士たちも――返り血を浴びながらも無傷で踊る少女を見て、言葉を失っていた。

 

【もしかして:るるちゃん、攻撃受けない】

【マジ?】

【っぽいよな】

【まさかノーネームちゃんがここまでしてるとは】

 

【このこと、るるちゃん分かってたん?】

【いや、多分病み病みモードでとりあえず突撃したんだぞ】

【ああ……】

【後ろであわあわしてるくしまさぁんが癒やし……】

【頼れるのはもはやくしまさぁんだけだ……】

【血まみれで笑ってるるるちゃんがこわいよー】

 

「……すみません、るるが」

 

「いえ、構いません、三日月さん。 彼女の特殊な状況は共有していますから。 危険になりましたら手を出すよう、部下へ指示も出しています」

 

まるで、踊る相手の居ないダンス。

 

それを延々としながら少しずつ削って行き――周囲が血の海になるころ、ようやくにそのモンスターは倒れた。

 

「……攻撃を無効化するとは言え、たったの1人で私たちよりも短時間で……なるほど」

「やっぱり、ノーネームさんが……」

 

「――――――――――――ねぇ、えみちゃん」

「な、何でしょう!? ケ、ケガとかはない!?」

 

ぴちゃんぴちゃんと、全身から血を滴らせながら歩いて戻って来る彼女。

 

その姿は……。

 

【並みのホラーより怖いんですけどー】

【ひぇぇ……】

【ホラー映画のクライマックスじゃねーか!!】

【これはあれだな、バーサーカーみたいな理解できない恐怖ってやつ】

【じょばばばばば】

【くしまさぁん! くしまさぁん早くぅ!!】

 

「――ほーら!」

「……ちほちゃん?」

 

そこへ、普段の調子でいきなり話しかける、九島ちほ。

 

「るるさん、女の子なんですから身だしなみはきちんと! ハルさんにいつも言っていることでしょう?」

「え? あ、うん、そうだね?」

 

ぐいぐいと、血まみれな彼女にも平気で近寄る。

 

「着替えも用意して来てますけど、まずはシャワーです! こんなに生臭いなんて女の子として駄目です! えみさん、隊長さんに許可取ってもらって良いですか!」

 

「え、ええ……どうですか?」

「問題ありません。 あのモンスターの死体の処理もありますから、1度小休止しましょうか」

 

「自分が狂っている」と自覚している、深谷るる。

 

戦闘でやけくそ混じりの高揚感でハイになっていたところへ、急に非戦闘員の九島ちほが話しかけてきて――しかも、まるで最近の様にあやす感じでなく、ハルがいたときのように、自然に話しかけられ。

 

「で、でも、あの先にハルちゃんが……」

 

彼女は――混乱していた。

 

「そうかもしれませんね。 急いだ方が良いかもしれませんけど……良いんですか? 血まみれで生臭い姿で、ハルさんと1ヶ月ぶりに会って」

「……よくない……」

 

「ハルさんは嫌ったりしないでしょうけど、それでも嫌な顔されますよ?」

「やだ……ハルちゃんに嫌な顔……」

 

「だったらほら、まずは身を清めて。 いつひょっこり顔を合わせても綺麗な格好で居られるように、戦い方も考えましょう?」

「……うん」

 

「良いですね? ……えみさん、お願いします」

「……ありがとうございます。 ほら、るる」

 

【しゅごい……】

【たたみかけて戻しおった……】

【これが救護班……】

【これが天使……】

【これがプロか……】

 

【あの状態のるるちゃんを、一瞬で戻しやがった……!】

【さすくしまさぁん】

【さすくし】

【語呂悪くない?】

【なんかおかしい】

【草】

 

【そうして後方で運んでたシャワールームに向かっていく少女たち】

【カメラさん!!!】

【おっと、ノーネームちゃんが怒るからほどほどにな?】

【おとなしくします……】

【ペットはさすがにちょっと……】

【ノーネームちゃん基準の「大切」だもん……】

【草】

 

【るるちゃんがみんなの静止振り切って突撃したときはびっくりしたけど……あんなにHP増えてたんだな、あのモンスター……】

 

【るるちゃんの全力で10分も切り刻まれてたもんな】

【モンスターしゃんかわいそう】

【無駄に強いのが悪いんだよ?】

【るるちゃんの目の前に現れたのが運の尽きだな】

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