【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「ハルちゃん待ってて今すぐ行くからそんなの許さないいきなり現れてハルちゃん痛めつけてハルちゃん攫っていこうとするだなん、……きゅう」
「……るるさん、配信も観ていないのにどうして……」
「ハルさんの配信で何かあったんでしょうか」
深谷るるたちの、異変の起きている高難易度ダンジョンの配信。
もはや日常のものとなった、るるがモンスターに突撃する様を眺めていた彼女たちは……いきなりハルの名前を呼んで引き返そうとした彼女。
「沈静魔法を睡眠レベルまで掛けました、けど……」
錯乱状態になった彼女に、九島ちほが沈静魔法を使用。
るるはそのまま、三日月えみの腕の中で寝息を立て始めている。
そうして、一同で冒険を中断し、「彼」の配信を覗いてみて……状況が、全く飲み込めなかった。
「……ええと、これは……ノーネームさん……?」
「いえ、コメントを見ますとどうも違うようで……」
◇
僕はノーネームさんとの長い戦い……ダンジョン攻略を終えて。
るるさんをノーネームさんから解放してもらって、どっかに吹き飛ばされて。
そのどっかはよく分かんないダンジョンで、なぜかレベルとスキルがダウンしてるっぽくって。
だから引きこもってぐうたらしてて、ちょっと元気出て来てからもっかいスキル上げし直して。
ある程度動けるようになったから、ダンジョンの探索を進めて。
スライムさんが居て。
ぶちゅっとして。
死体が残って。
臭くって。
結晶化しなくって、他のも探して、どのモンスターもおんなじで。
そうして全然違う場所なんだなって思ってて、でもなんか行けそうで。
そうしたらでっかいドラゴンさんに見つかって、戦って。
結構行け行けだったけども、やっぱりイスさんはイスさんで、僕も僕で。
そうして奥の手はありつつも、流れ次第じゃやばいかな。
そう思ってたら話しかけられて――。
『人間の幼体――小娘。 異なる世界の貴様。 我の妃となれ』
ドラゴンさんのロリコンさんに求愛された。
ドラゴンってロリコンだったんだね。
子供も埋めない年齢の女の子に求愛する、しかも異種族に対する。
ドラゴンさんはヘンタイさん。
えみさんと話が合いそうだね。
でも、
「え、やです。 ドラゴンさんと結婚する趣味なんてないですよ、僕」
そもそも、僕、男だしねぇ。
【えっ】
【草】
【もしかして:ハルちゃん、ドラゴンから求婚された】
【えぇ……】
【ハルちゃんの属性がまたひとつ……】
【というかさ モンスターがしゃべって求婚とか……おかしくね?】
【あっ】
【確かに】
【そうだよな……テイマーでさえ簡単な意思疎通程度だもんな】
【ノーネームちゃんは?】
【ノーネームちゃんは……なんかこう、別の何かって言うか……】
【って言うことは……どういうこと?】
【わからん】
【役立たず】
【ひどくねぇ!?】
【草】
【お前らはこういうときくらい真面目になれないのか……】
【こうでもしないと気が気じゃないからな】
「……なんで、僕なんですか」
よく分からないものは良く分からない。
しかも相手は異種族……しかもモンスター。
知性のない生命体。
繁殖をしない生命体。
だからこそ「問答無用で倒しても/殺しても問題のない、ただのゲームの敵のような存在」って宣伝されてたのに。
……お嫁さん欲しいとか……繁殖、するんじゃん。
こうして話しかけて交渉してくるってことは、知性、あるじゃん。
生き物じゃん。
◇
『我は第3■■魔界の魔王である。 最も、滅ぼしすぎて世界の序列が変わっているだろうから、もはや名乗るだけの情報だ』
「そうなんですか、第さんびゃく……魔界の魔王さん。 僕はハルって言います。 ……どこ界かは知らないです」
【え?】
【300?】
【魔王?】
【ドラゴンが魔王?】
【普通に話してる!】
【バカでかいドラゴンがハルちゃんにかしずいている……】
【しゅごい】
『貴様の好む種族は何だ? それだけは根絶やしにしないと誓おう』
「えっと……人間に害がないのは全部好きですね。 でもそれ以外のも含めて、僕の世界の生き物、根絶やさないでください」
【えっ】
【根絶やす?】
【なんかさらっと怖い単語出て来てるんですけど!?】
【こわいよー】
【ガチで怖くて草】
【えぇ……】
【この見た目、できないとは言い切れないのがな……】
【ノーネームちゃんだって、ネットとリアルの両方で、やろうと思えばすごい被害出せそうだし……】
【ノーネームちゃんの仲間? 同僚? ライバル? のドラゴンだもんなぁ……】
よく分かんないけども、相手は僕に対して利益を得たいと思っている。
それがどんなものなのか……や、妃ってことはお嫁さんなわけで、お嫁さんってことは繁殖相手ってことだから、多分普通に人間の男が女の子口説いてる認識で良いんだよね。
まぁそうじゃなかったとしても、この相手が僕に対して興味とか好意とかを抱いてて、僕が自分からうなずくように仕向けたいのは理解した。
じゃなければ、あのまま上空から延々僕を痛めつけて、僕が泣いたり動かなくなってきたら治癒魔法掛けて……っての繰り返せば良いってのは分かるはずだもん。
だって魔王だよ?
魔王。
世界の王者。
そう名乗ってるってことは、多分彼の世界では彼がトップなんだろうし……さりげなく「たくさん滅ぼした」とか言ってるし、多分、普通に僕なんか力尽くで言うこと聞かせられるんだ。
なのに、そうしない。
まるで男が女の子を口説くように……いや、口説かれてるんだ。
だって今の僕は、女の子だから。
一応は……年齢的にはまだ無理だけども、でも、つがいになって、子供、産める相手ってことになるから。
だから。
非常に不本意だけども、一応は生物学的に女の子になっちゃってる僕としては、できることはひとつ。
――この体を交渉材料に、まずはさくっと殺されないように会話をする。
そうしてできるだけ良い条件を引き出して――もしお嫁さんになる以外の選択肢がないんだったら、そうなってでも、生き延びる。
大丈夫、僕は男。
ちょっとくらいやられちゃっても……あ、やっぱやだからなんとかやられちゃわないようにがんばろっと。
男のを突っ込まれるとか、げろげろげろげろだもん。