【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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199話 こんなこともあろうかと

……これも違う、これも違う。

 

このきちゃない袋ってのは、たぬきみたいな猫さんなポケットのごとく、取り出したいものを思い浮かべながら手を突っ込むと……にゅるんって出て来る仕組み。

 

どうしてこうなってるのかはさっぱりらしいけども、道具なんて使い方が分かっていれば良いんだ。

 

スマホとかそうでしょ?

 

仕組み知らなくたって、充電してロック解除すれば使えるんだから。

 

ただ、「どう使えばどういう結果が出るのか」さえ理解していたら良いんだ。

 

ダンジョンに潜ったりこの体になったりしてできるようになった、いろいろとおんなじでね。

 

「……これじゃない……あれ、どんな形だっけ……」

 

マイ枕……違う。

 

マイ毛布……違う。

 

予備の銃……使うかもだけど違う。

 

お酒の瓶……吞みたいけどそんな場合じゃない。

 

お酒の瓶……だから違うって。

 

お酒の瓶……あ、もうちょっとだけだ……これは吞んどこ。

 

【草】

【悲報・ハルちゃん、錯乱】

【なんでハルちゃん、手当たり次第に散らかしてるの?】

【なんかを探してるっぽいが……】

【でも何を?】

【さぁ?】

 

「……あった」

 

しゃぼん玉の中の、足の踏み場がなくなってからようやくに形を思い出せて引っ張り出せたもの。

 

「ロケット……改良型」

 

【えっ】

【ロケットって……あの?】

 

るるさんのときとリリさん、ノーネームさんのときに使ったのは、背負い式で50センチくらいの筒が2本のやつ。

 

でも、僕は考えた。

 

あれ、制御難しいんだ。

だからもっと楽に乗れて長距離用のが欲しいって。

 

……まぁ、さっきイスさんが完全上位互換だったわけだから要らなくなっちゃった――って、思ってたんだけども。

 

【長い】

【ハルちゃんの頭越えてる】

【えっと……これにしがみつくの……?】

【えぇ……】

【なぁにこれぇ……】

【嫌な予感しかしない】

【これ、見た目とかどう見ても……】

 

想定としては、500階層からでも脱出できるエネルギーと推進力。

 

500階層のRTAとか聞いたときから、ちまちま素材を寄せ集めたり取り寄せてもらったりしてちくちく作ってたんだ。

 

でも、背負いロケットじゃとても足りない容量だから、当然ながらこっちは大きく長くなっていくわけで。

 

ごんっ。

 

「む。 つっかえる」

 

方向転換……いや、この空間、球体だ。

 

ごんっ、ごんってしゃぼん玉にぶつかってる。

 

「……狭い」

 

【草】

【そらそうよ】

【そうに決まってるでしょハルちゃん……】

【ハルちゃん、正気? それで脱出とか】

【できたとしても……なぁ?】

【正直、あのスケールの違う戦闘に比べるとなぁ……】

 

ちらりとノーネームさんたちを見る。

 

『どうしたどうした! 貴様の、姫を守る決意はその程度のものか!』

 

……完全にいたぶられてる。

あれじゃ、そんなに持たない。

 

――ううん、違う。

 

「………………………………」

 

 

【………………………………】

 

 

【? 何だ今の】

【フォント違うし、いつものノーネームちゃんのじゃね?】

【でもノーネームちゃん、戦ってるからこっちでおしゃべりする余裕なんて……】

 

――ノーネームさんは、僕のことを待ってるんだ。

僕が、行くのを。

 

なんでかって?

 

知らない。

 

根拠なんてない。

ただの、勘。

 

ただ、それだけ。

 

……でもそれは、「索敵スキルとか隠蔽スキルみたいに感覚的なもの」。

 

ちょっと信じられそうな、不思議な感覚。

 

「ノーネームさんが、助けてくれたんだ。 じゃ、今度は僕の番だよね……む、やっぱり狭い」

 

ごんごんっ。

 

足の踏み場がなくなってるのに気が付いた僕は、急いでそれらをきちゃない袋に。

 

……そもそも、ここから出たら中身、落ちちゃうもんね。

 

【お片付け】

【しまいしまいしてる】

【えらい】

【草】

【バリアの中、ロケットだけになったな】

【でもどうやって?】

【……まさか……いや、そんなダイナミック過ぎることは……】

 

「えっと、確か……こうっ」

 

僕は、最初に――るるさんのときに、やらかした。

 

「いざってときのためのだから適当で良いよね」って、あのロケットの出力調整、スイッチ作るのがめんどくさかったから。

 

だから僕は、るるさんを助けようとしてものすごい勢いであのドラゴンさん――あれがノーネームさんだったんじゃないと思うけども――に突っ込んで、危うくリストバンド使っちゃうところだったんだ。

 

だから、今度はちゃんと出力調整を。

 

「んしょ……こうしてスライダーで……」

 

今度の長ーいロケットには、捕まるところとシートベルトで固定するところ、それに30センチくらいのスライダーをご用意。

 

「これで、良い感じに飛びます。 適当に作ったし、試運転なんてできる場所なかったのでぶっつけ本番ですけど」

 

【えぇ……】

【草】

【悲報・やっぱハルちゃんはやべーロリだった】

【知ってた】

【そうじゃなきゃハルちゃんじゃない】

【あのねハルちゃん……普通の人はね、こんな爆発物にしがみついて吹っ飛ぼうなんて考えないのよ……】

 

【リリちゃん助けたときに縦穴抜けたのもそうだったけど、ハルちゃんってば豪快なのが好きね】

【そらそうよ】

【なぁにこれぇ……】

【ハルちゃんお手製ロケットだよ】

 

【ああ、お酒呑みながらかちゃかちゃ毎晩やってたのって……】

【カメラがハルちゃんのお顔だったから、なにやってるか分かんなかったんだよなぁ……】

【分かりたくなったよ……】

 

【て言うか待って? ハルちゃんって電子工作とかできるの?】

【さぁ?】

【さぁって】

【だってさ  インパクトで忘れてたけど、普通の人はダンジョンの中の……罠とかなんてとても自分で改造なんてできないぞ】

【えっ】

 

【そうなの?】

【まぁ爆発の罠を自分で解体するちょっとおかしい感覚はさておき、各国のダンジョン協会と政府と軍が共同で開発するくらいしか聞かないな】

 

【そもそもダンジョンのいろいろ……自分で分解とかできるんだ……】

【……確かにハルちゃん、ロケットとか武器の弾も自作って最初のころ言ってたねぇ……】

【もしかして:また謎のスキル】

【かもな】

【ちょっとおかしいレベルとスキルを持ってるハルちゃんだ、もう何持ってても不思議じゃない】

 

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