【書籍化決定】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。 ~レンジャースキルで「ヘッドショット系幼女」って呼ばれたりダンジョンの秘密に囚われたりする配信~   作:あずももも

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200話 僕からの、反撃

……しゅごぉぉぉ。

 

スライダーと一緒に点火、5センチもずらすと下に煙がもくもく。

 

「そういえばこれ、爆発の罠とかの火薬使ってるんですけど、あれって魔力込めると威力がすごく上がるんですよ。 爆発の罠とかのダメージがランダムって言う理由、多分その近くのモンスターの数とかでの周囲の魔力の差なんじゃないですかね」

 

根拠はないうんちくを語りつつ、僕は準備して行く。

 

【えっ】

【待ってハルちゃん、待って】

 

「なので、こうやって、手のひらからじかに魔力注ぐと……」

 

スライダーで物理の火薬とは別に、ロケットに付けた手から魔力が流れ込んで行く。

 

「……けほっ。 これ、一気に発射しないとまずいです……ねっ」

 

【見えない】

【ハルちゃんが見えない】

【カメラ! カメラ煙でもくもくだよハルちゃん!】

【草】

【あの、一酸化炭素中毒とかになるんじゃ……】

【分からん】

【ガソリンとかじゃないから大丈夫じゃね?】

【爆発の罠のだもんな……】

 

【あの、今コネクション使ってダンジョン協会の人に聞いてるんだけど、そもそも爆発の罠を分解して使うとか、多分人類初なんですけど……】

【えっ】

【「爆発の罠、どうやって分解するの……?」ってうなだれてる……】

【あ、「人の体重で爆発する対戦車地雷に飛び乗って素手で解体するようなもんだ」って白目むいてる……】

【草】

 

【ハルちゃんのロケットのこと、さてはみんな忘れてたな?】

【そらそうよ】

【初期のハルちゃんのインパクト、ハルちゃん自身でなぁ……】

【なぁにこれぇ……】

【多分今、世界中の学者さんたちが同じこと言ってると思うよ】

【そらそうよ……】

 

ぎゅっと目をつぶって、がっちりとロケットに体を固定。

 

音と振動と煙でいっぱいになるしゃぼん玉。

 

……これ、さっきドラゴンさんが魔力で作り出したものなんだ。

だったら、それを上回る魔力で壊せば出られる――はず。

 

はず、だから博打なんだけども、ノーネームさんを助けるにはこれしかない。

 

だから。

 

「……いっけぇぇぇぇ!」

 

――――――――――――ぱりんっ。

 

僕は、宙に舞った。

 

 

 

 

しゅごぉぉぉぉぉ。

 

懐かしい音とともに、僕は宙を舞う。

 

――文字どおり、何もない宇「宙」を。

 

【お】

【ぱりんって言った】

【バリア壊したな】

【ハルちゃんしゅごい】

【普通の人間にはまず無理な発想だな】

 

【そもそも普通の人間は、爆発の罠の火薬集めて自作兵器作らない】

【そもそも普通の人間は、勝手にまぜまぜしてオリジナルの乗り物も作らない】

【そもそも普通の人間は、ダンジョン内のオブジェクトそこまで加工できない】

 

【大丈夫、天使だから】

【うん……もう全部それで良いや……】

【空を舞う金髪の美幼女……うん、これは天使だな!】

【ただし推力はしがみついてるロケット】

【草】

【絵面ぁ!】

【ま、まぁ、あのイスさんよりはマシだし……】

 

「……よっと。 このくらいの速度なら方向転換も……けど、なんか……」

 

しがみついて姿勢を低くしつつ……たぶんまだ、遠すぎて。

 

なによりも弱っちすぎて、小さすぎて――ドラゴンさんには気づかれてないはず。

 

だから、何か。

何かができるはずなんだ。

 

「……けど何かが変……何? 火薬が多すぎた? いや……」

 

【ハルちゃんがぶつぶつ言ってるのが怖すぎる】

【手作りのロケットで飛びながらとか怖すぎる】

【こわいよー】

【次に何しでかすかが全く分からなくて草】

【怖すぎて草】

 

【空中分解とかしないよね?】

【そうだと信じたいが】

【もはやドラゴンたちとかのスケールが違いすぎて、もうどんくらい速いのかすら分かんないな】

 

「………………………………」

 

……スライダーを、ちょっとだけ加速。

 

「当初の出力の、1割から2割に」して。

 

……しゅごおおおおお!

 

「……っ……なるほど……」

 

ものすごい速さ。

 

ものすごい加速。

 

――「僕の魔力量じゃ、絶対に出せない加速力」。

 

【なるほど】

【何が?】

【さぁ?】

【草】

【ハルちゃんが何かを分かったということが分かったんだ】

【それは何も分かっていないということでは?】

【無茶言うな、ハルちゃんだぞ】

【草】

 

「――この空間。 ドラゴンさん、言ってましたね。 『地球は魔力が薄すぎる』って。 分かりました」

 

【は?】

【え?】

【どゆこと?】

【地球「は」……って、あっ】

【……魔法は、ダンジョン外ではほとんど使えない……】

【中級者くらいで一応は使えても、威力は全然……】

【つまり……】

 

僕は、身体強化の魔力を全身に――普段ならとっさの加速のために使う量を巡らせて、立ち上がる。

 

【ちょ】

【ハルちゃん落ちる! 落っこちる!】

【ひぇぇ】

【こわいよー】

 

……大丈夫。

 

それに……。

 

「この空間……やっぱり。 魔力が、とんでもなく濃いんだ……だから、そんなに魔法使えないしMPもそこまで多くない僕でも」

 

僕は両脚でしっかりと軌道を固定して、進路をドラゴンさんへ。

 

できるだけ体を起こして、じっと構えて。

 

「………………………………」

 

片手の人差し指と親指だけを伸ばして後は畳んで、もう片手でその手首をしっかりと固定。

 

両腕を前に突き出して、じっと照準を――悪いドラゴンさんに合わせる。

 

「――――――………………」

 

【え、これって】

【いや、まさか】

【いやいや、距離がありすぎ】

【ぱっと見ても数キロは先だぞ!?】

 

全身の魔力を意識する。

 

身体の中心――女の子だから子宮なんだって――から流れてくる魔力。

 

見なくてもはっきりと見えるレベルで濁流になってる魔力。

それは、体の外から、肌から流れ込んできてる。

 

僕が使い切れないほどの、笑っちゃうくらいの「魔力」って言うエネルギー。

 

それを「銃」に見立てた拳だけにぎゅうううっと収束させていく。

 

収束させて収束させて、もっとぎゅっと詰め込んで小さく小さく小さく小さく――――――

 

「――――――――――――ばぁんっ」

 

僕の、人差し指。

 

そこから、まぶしいほどの真っ黒なエネルギーの塊が弾丸となって。

 

それは、ひゅんっと光を吸い込む光の速さで飛んで行って。

 

『――――――GAAAAAAA!?』

 

――いつの間にか見えるようになってたドラゴンさんのコアの1つを、直撃した。

 





とうとうハルちゃんも200話の大台に乗り上げました。ここまで続いたのは処女作の響ちゃん(全213話)以来です。改めてお礼申し上げます。

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