【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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3章 るるさんとコラボ 2人はるるハルって良い響きだね
24話 配信ミスしちゃった代償はダンション協会本部


「ふぅ」

 

この緊急脱出装置、使うと一瞬ふわっとする感じがするから実は苦手。

 

あれだよあれ、飛行機でおしりがひゅんってなるあの感じ。

まぁ中級者以上になると普通に毎回使うんだけどね……うん、慣れればちょっとヤな程度だからさ。

 

けど、いつものとこに比べて出店とかドロップの買い取りのお店とかの広いエリアは――あれ、なんかものすごい人であふれていた。

 

「?」

 

なんか今日イベントとかあるの?

 

「……ハルさん……ようやく出て来てくれたましたか……」

 

「とりあえずこのパーカー、頭から被ってください。かなりの大事になっていますので」

 

「え? えみさん? 九島さん?」

 

ダンジョンの行き止まりから入り口までひとっ飛びした僕の目の前には、えみさんと九島さん。

 

……と、その周りに……30人くらいのお巡りさんたちがガン見してくる……やだこわい。

 

その後ろには10台以上のパトカー、そのさらに周りはテレビとかでよく見るブルーシートで遮られてる。

 

なんかすごい雰囲気……なにこれ。

 

「……なんか事件あったんですか?」

 

こわっ……物騒な世の中だよねぇ。

 

「……それはハルちゃんのことでしょー!?」

 

「うわ、るるさん」

 

真後ろからの声でびびった僕に、後ろから……この感触はるるさんだよね、だって胸がないし……抱きついてきたるるさん。

 

いや、ちょっとはふよんって押し付けてくる感覚はある。

けどそれがブラジャーな偽乳だって察しはついてるから黙っとこ。

 

抱きつかれたついでで、すっぽりとフードを被せられてる僕。

君、こういうの上手だね……けども、何で君たちがここにいるの?

 

「???」

 

「……ハルちゃーん……はいしーん……」

 

「あ、来てたんですね。だから変なの飛ばして来て……けどあれ? なんで非公開なのに」

 

やっぱりあの感覚……るるさんが何かを遠隔で飛ばしてきてたんだね。

 

「……そうかもしれないのは私が悪いんだけどさー……だけどさー……」

「???」

 

るるさんは、なんか僕にひっついたままだるーんとしてる。

 

ちょっと重いんだけど……魔力で筋力増強してるとは言ってもベースは幼女、そこに普通の高校生が乗っかってきたら重いでしょ?

 

「三日月さん、詳しい説明は後ほどにしましょう。ハルさんも200層の攻略で疲れているでしょう」

「九島さん……そうですね。特にケガも無いようですし、急ぎこの場を」

 

「?」

 

200層?って何?

 

僕……そう言えば結局あそこは何層だったんだろ。

 

49層くらいで塞がってたのかな?

るるさんのせいでよく分かんないだけどね、今日のって。

 

もういろいろとめちゃくちゃすぎて……とにかくそこまでは行ってないし……別件?

 

「はい、無事保護できました。みなさんには大変なご迷惑を……」

 

近づいてきたお巡りさんたちに、えみさんがぺこぺこ頭を下げてる。

 

えみさん……とうとうヘンタイさんなのバレちゃったの?

だからこんなにお巡りさんなの?

 

いや、それにしてはブルーシートの外がうるさいような?

 

それに女の子の変態趣味がバレた程度でここまではならないだろうし……あとはるるさんがまたなんかやらかしたかだな。

 

うん、それしかない。断言できる。

 

「ハルさん、歩けますか?」

 

「はい。あ、本当にケガとかないので治療必要ありませんからね、九島さん。普段通りでしたので被害はゼロです」

 

 今日もいい感じのポニーテールな九島さん。

 

なんかすっごくまじめな人だからちゃんと説明しないと心配し続けそうな雰囲気だもん。

 

「え、ええ……配信を見ていましたから、それはよく……」

「そうですか、それなら……あれ?」

 

だから何で配信?

 

……アーカイブになれば見られるんだっけ……分かんないや。

 

そう言えば配信中もるるさんの気配がしたんだけども、そもそも僕、始原さんたち10人にプラスで1人しか招待してないし。

あ、管理者権限で見られるのかな……やっぱよく分かんないや。

 

「……分かりました。ハルさん、このパトカーで送ってくださるそうです。乗りましょう」

「えみさん? あ、わかりました」

 

ああ、かわいそうに……とうとう君もお巡りさんの厄介に。

 

任せて、ちゃんと「いたずらされてません」って言い切ってあげるから。

けどなんで未成年なんちゃらの加害者と被害者、おんなじ車両に乗せるんだろうね。

 

知り合いだから?

よく分かんないや。

 

「……とりあえず言うけどね。多分ハルちゃんの考えてること、全部間違ってるからね?」

 

「む、それはどういうことですか? るるさん」

 

ぐいっと引っ張るおてての感触。

僕は疲れた顔してる、るるさんに引っ張られて行く。

 

「????」

 

……ほんと、何があったんだろ。悪いことしてなくってパトカーに乗る経験なんて貴重すぎるから、僕的には楽しくて良いんだけどさ。

 

 

 

 

パトカーはテンション上がった。あと乗り心地もそこそこだった。

 

けども。

 

「え゙っ。………………配信が」

 

「はい。当初非公開だったものが、途中から……」

 

血の気が引くってのはこういうことなんだろう。

さすがの僕でもやらかしたって分かればこうもなる。

 

「……いつから?」

 

「その、ハルさんがお昼を食べるずっと前から……」

「えぇ――……」

 

やっちゃったぁ――……。

 

配信の切り忘れでの事故とか配信中での失言とか映しちゃいけないもの映しちゃうとか、そういうのって「気をつけてれば普通はならないよね、僕だったら絶対しないなぁ」って思ってた。

 

でも、それを僕がしちゃったんだよなぁ……どうしよ。

 

いやまぁ僕自身のことを話したわけでもないし、顔を出したわけでもない。

だからセーフなんだろうけども……てっきりいつもの人たちだけしかいないって思ってたから……なんかちょっと怖い。

 

あれ?

 

なーんだ、ちょっと怖いだけかぁ。

なら問題はないよね。

 

「問題のある箇所は、配信中にこちらで手を加えました。……視聴者のローカルでも録音・録画されていた場合にはどうしようもありませんけど……」

 

あ、問題あったのね……ごめんね?

 

「ありがとうございます、えみさん。でも僕、特段困るようなことは」

 

「お酒」

「ごめんなさい」

 

思いだしてみたら確かに普段から飲んでる発言してたよ僕……もうおしまいだ。

 

「コ、コメントですぐにえみちゃんがフォロー入れたから! だからよっぽどいじわるさんじゃなきゃ大丈夫だと思うよ!」

「そうですか」

 

「そもそもハルさんは、配信画面から身長を把握されています。さすがに小学校低学年の身長で飲酒をしているとは……普通なら、本気で思わないと思います」

 

なんだ、だったら大丈夫だね。

 

それでもまたちくりと「私としては断酒してもらいたいところですが」って、まじめな九島さんが付け加える。

 

うん……そうだよね……僕の肉体、六歳児だもんね……。

 

ホテルの部屋にあったお酒、減り具合毎日チェックしてくるもんね……特に何も言わないけど、空き瓶持ってじっと見てくるもんね……。

 

「しかし法的にハルさんは『成人している征矢春海さん』と言うことになっていますし……未成年が飲酒をしたからと言ってもせいぜいが厳重注意。よほど悪質でも、逮捕に至るのは保護者です」

 

「……現状は私たちになるのでしょうか?」

 

「いえ、私たちも未成年です。法律的に考えますと、保護者はハルさんのご両親……ですが、ハルさんの今の姿的にもダンジョンに関する特例が適用されるでしょう」

 

「……つまり?」

「今回の配信で致命的になり得る点は、未成年飲酒で炎上するかはともかく法的には問題ありません」

 

「じゃあ」

 

「でも、ハルさんの今後の発育を著しく阻害しますので、断酒とは行かずともせめて節制を」

「はい」

 

「強制する手段が無いというのが非常に歯がゆくはあります……けど、いきなりお酒を止めてもそれはそれでよくありませんから。歯がゆくはありますよ?」

 

僕は小さい体をさらに縮こまらせるしかない。

正論ここに極まれり。

 

でもお酒は絶対やめない。

何があろうと、絶対にだ。

 

「――しかし、今回のこともまたるるのせい……と言ってもいい状況なんです」

 

「え?」

 

えみさんが急に変なことを言ってくる。

 

「そうなの……だから、ハルちゃんに何かあったら私たちがなんとかするよ。絶対」

「え? え?」

 

るるさんも変なこと言ってる。

申し訳ない気持ちでいっぱいだったのに、急に声音が変わったから顔を上げてみると……一瞬前の僕みたいな顔……多分……をしている2人。

 

あとやっぱこの子の「絶対」ってのなんか怖い。

 

「? るるさん、やっぱ何か飛ばしてきたんですか?」

「飛ばしてない! ……って言いたいんだけどぉ……」

 

「今回の件でほぼ確定なんです……るるの呪いが、ハルに影響しているのだと……」

「え?」

 

「私もさっき聞いたばかりなんです。けど、そんなことが……」

「九島さん?」

 

九島さんまで、急に真剣そうに……え?

 

るるさんの呪い?

 

え?

いつもの冗談じゃなくって?

コメント欄とかでもよく見かけたあれじゃなくって?

 

「ハルさん、大人の人が同席しても大丈夫ですか?」

 

「え? あ、はい、僕自身大人の男ですし」

 

「そうですか。……三日月さん」

「ええ、連絡します」

 

今度は九島さんの手が僕の手を包み、軽く引かれる。

 

……どうでもいいけどさ。

 

君たち、僕のことなんだと思ってるの?

僕のこと、年上の大人の男って知ってるよね?

 

忘れてないよね?

 

ね?

 

 

 

 

その部屋には、なんか偉そうなおじさんとかおじいさんがいた。

 

「征矢春海さん。この度は大変な目に遭われ……また、当協会の支援が遅れ、誠に申し訳ありません」

 

「え? あ、はい、僕もバレないように隠れてましたし」

 

偉そうな人たちが、頭を下げてくる。

 

「征矢春海さん。25歳男性、――大学卒業後――株式会社で2年勤務。学業成績や素行、勤務態度ともに良好。しかし去年突然欠勤を続け、会社都合での退職をされた……ああ失礼、私はこういう者です」

 

「……あの、それって公安とかいうあれですか?」

「そういうことになりますね」

 

「私も失礼しました。私は名刺で……」

「……ダンジョン協会……会長、さん?」

 

は?

 

公安さん。

会長さん。

 

おじさん。

おじいさん。

 

「……?????」

 

「……征矢さんの意識は、確か成人男性のままだったと……」

「急なことばかりで追いつかないのでしょう。私たちも、何時間か潜った後は疲労で頭が回りませんので」

 

「いつもは私より頭良いですし、私が読めないような本とか読んでます! ハルちゃん!」

 

「おふたりがダンジョンへ普段潜らないのでしたら、そうですね……映画館で鑑賞が終わった直後のようなと表現すればよろしいでしょうか。それも、疲れている状態で。私たちもよくなります」

 

僕が頭幼女になってる疑惑をそっと否定してくれるえみさんとるるさん。

 

今は頼もしいね。今は。

……ごめん、普段「も」頼もしいんだよね。

 

頭の中が「???」な僕へ、まじめそうなおじさんが話しかけてくる。

 

「改めまして、征矢春海さん。貴方の身柄は、我々で保護します」

「え、でも、僕」

 

「ご安心ください。もし希望があれば、人員は協会から事務所への依頼で三日月さんと深谷さんを、公安から九島を引き続きという形ですので」

 

「え? あ、それはいいんですけど」

 

今さらっと流そうとしてるけども、九島さんって公安さんだったの?

 

あ、でもなんかそんなオーラあるかも。

 

「征矢さん。ここからは一般に公開されていない情報ですので、失礼ですがこちらの誓約書へ一筆を」

 

「え? あ、はい」

 

すっと差し出されたペンと紙。

……なんか細かい字が延々と書かれてる誓約書的なもの。

 

「騙して申し訳ないが」とかいうあれじゃないって信じながら、小さい手でいつも通りに僕自身の名前を書く。

 

「……そやはるみ……あ、ハルちゃんの字、男の人っぽい」

「そういうところは男の人のままなんですね」

 

あの、左右からのぞき込まないでるるさん、九島さん……書きにくい……。

 

「……確かに。それではお話しします。征矢さんと深谷さんの今回の件」

 

え?

 

るるさんも何か?

 

「ダンジョン内で発生する未知の現象。秘匿されている現象についての情報共有をさせていただきます」

 

いきなりでちょっとびっくりしたけども、そりゃそうだ。

 

突然に別人の女の子になる、おかしいくらいの不幸が押し寄せる。

これらに原因がないはずないもんね。

 

……待って、これ、上の人が知ってることならもしかして解呪って言ったらいいのか分かんないけども……男に戻れる?

 

ああいや、その前にるるさんの呪いの方が先だよね。

 

ほら、僕が幼女になっても生活に支障は……会社クビになったけど……ないけども、この子の場合は……ほら。自分も危険な目に遭うし知り合いに生き霊飛ばすくらいだもん、もしこの子と僕どっちかって言ったらこの子だもんねぇ。

 

「ハルちゃん……どっか行っちゃわないでね」

 

「? うん、僕はここに居るよ?」

 

偉そうなおじいさんとおじさんが目の前だからか、不安そうなるるさん。彼女から握られてる手を、ぎゅって握り返してあげた。

 

年上の男としての頼れるところ、たまにはね。

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