【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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265話 消し飛ばしちゃってた

「はー……はー……んっ……はぁっ……」

 

思いっ切りガマンしたあとの、あの感覚。

それが僕の全身を包んでいて……まだ頭がぼーっとしてる。

 

「……きもちいー……はぁ……」

 

立ってるのも大変で、思わずぺたりと座り込んでた僕。

 

「あ……」

 

じわっ。

あったかい感覚が、足元に。

 

……女の子になって、やらかさないようにって思ってたのに……とうとうやっちゃったのかなぁ……。

 

「でも……」

 

僕の体じゅうを。

 

魔法への制御が外れた瞬間、1回僕の中に逆流してきたそこそこの魔力。

 

それは僕の血管という血管、神経という神経を無理やりに通って全身を駆け巡った。

 

体の中全部が、頭の中全部がいっぱいになるような感覚。

頭の中も体の中も、真っ白な光でちかちかしてた。

 

本能的なものなのか、そこから魔力はもういちど同じ経路を通って僕の体から出ていこうとして、もう1回体中を思いっ切り押し広げながら通って行って。

 

手のひらから勢いよく飛び出して行って。

 

――その、感覚は。

 

「はぁ……はぁ……っ」

 

ごくり。

 

僕の喉が、音を立てる。

 

「……さいこぉ……」

 

【なぁ……】

【これって……】

【うん……】

【ああ……】

【ないないされるから言えないけど……】

 

【なぁ  この映像も音声も、全世界の10億を超える配信に……】

【アーカイブや切り抜きで見る勢も含めると……】

【ああ……】

【ノーネームちゃんに消されそうだけど……】

【ああ、そうだったな……】

【つまり……?】

 

【リアルタイムで聞けた俺らは……】

【多分世界で1番幸福なんだ……】

【わかる……】

【俺たちの性癖が、またひとつ……】

【ハルちゃん目当てじゃない人も破壊されただろうな……】

 

両手で両方の目じりから涙を拭って、息を整えて。

何回も息をして、ようやくに落ち着いてきて。

 

ちょっとがくがくしてる腕を、ぼんやり見てて。

だんだんと力が入るようになって来て。

 

それでようやくに視線を上げてみると――ハリネズミみたいになってるライオンさんが、宙に浮いてた。

 

【ひぇっ】

【グロ】

【グロすぎる】

【なぁにこれぇ……】

【ライオンさんの磔……かな……?】

【磔(何十本も体じゅうろろろろろ】

 

【あの、やらしい気持ちが一瞬で吹き飛んだんですけど】

【長い針すぎて宙に浮いてるままのグロ画像とか誰だってそうなる】

【ひぇぇ】

【良かったね……このダンジョンがモンスターの血とか肉が飛び散らないパターンので……】

【ほんとだよ!!】

【そうだったらこんなもんじゃないだろうな……】

 

【あ、結晶化した】

【そりゃあなぁ……】

【かわいそうなライオンしゃんたち……1匹は矢で串刺し、2匹目は蹴り入れられた後ハリネズミさん、3匹目は見るも無惨にもっとハリネズミさんに……】

 

【ライオンしゃんがハリネズミしゃんに進化させられたのか……】

【進化(無理やり】

【なにそれこわい】

【女神だからね、進化の系統を無理やりねじ曲げるくらいはね】

【やっぱりハルちゃんに魔法はNGだったのか……】

【ノーネームちゃんが止めるわけだな……】

【ああ……】

 

【あ、なんか部屋全体がきらきらしてるって思ったら】

【ひぇっ】

【もしかして:あいすにーどる、部屋全体攻撃】

【あの、これ、ヘタしたら子供たちに……】

【何百、いや、何千本飛び散ったのぉ……?】

 

「はーっ……はーっ……」

 

まだちょっと体ががくがくしてる僕は、顔を動かすことくらいしかできない。

 

それでようやく周りを見てみると――僕の足元以外の全方向の地面にも、きらきらと光る針が刺さってる。

 

「……アイス、ニードルが……」

 

氷の針――アイスニードル。

 

それは、僕がたまに見てた配信とかで魔法職さんたちがやってるような、やり投げの槍みたいな大きさと太さのじゃなくって、僕が最初に出した普通の矢のサイズでもなくって。

 

ものすごく細くってまっすぐな糸みたいに――足元は10センチ刻みくらいで、他もそれなりの細かさで刺さっていた。

 

「……あ、溶けてきてる……」

 

それらがもっときらきらしてきたと思ったら、一斉にぽたぽたと水を垂らして来て。

 

「……ちびたい」

 

僕の頭の上にも、けっこう痛い水滴が落ち始めてきた。

 

 

 

 

「………………………………」

 

ざあざあと降り注ぐ雨。

 

じゃあなくって、僕のアイスニードルの残骸。

それらはまるで真夏に降る雨のようにそれなりのあったかさを持ちながら降り注いでいる。

 

ぽちゃんぽちゃんぽちゃんぽちゃんって、あっちこっちにできてる水たまりに弾ける音。

 

……ああ。

 

――僕、もう長いあいだ、雨の音さえ聞いてなかったんだ。

 

ずっと、ずっと――地面の下にいたから。

薄暗い空間に、ずっと引きこもってたから。

 

「……そと……いきたいなぁ……」

 

雨、水たまり、吹き付ける風、緑の匂い。

 

……そうだ。

 

僕は、外が――自然が恋しいんだ。

 

「……じゃなくて!」

 

僕はがばっと……起き上がれなくて、もどかしく脚に意識を集中して両手を使って、さらには自然と羽も使って……何とか起き上がる。

 

「あの子たち……!」

 

【思い出した!】

【やさしい】

【でも、今のって……】

【もしかして:ハルちゃん、とうとう地上侵攻へ前向き】

【草】

 

【いやだって、この攻撃力なら地上がモンスターの楽園でも……】

【なんとかなっちゃいそうねぇ……】

【実際になりそうなのが怖い】

【人類的にはまぎれもなく頼もしいはずなんだが……はずなんだが……】

【今みたいなのやられると、敵味方関係ないもんねぇ……】

【ふぁいやーぼーるも空間ごと融解だったしねぇ……】

 

【そりゃあノーネームちゃんも必死にもなる】

【でもそのノーネームちゃん、ハルちゃんのお胸で嬉しそうだったよ?】

【そうだった……】

【草】

 

【ノーネームちゃん! 保護者でしょ!!】

【ちゃんと守って!!】

【誰を?】

【もちろん子供たちとモンスターたちを!!】

【草】

 

【もしかして:ハルちゃん、魔法制御できない】

【えぇ……】

【破壊の天使かな?】

【繋がっちゃったねぇ……】

【繋がってしまったな……】

 

【伏線回収(数ヶ月ぶり数回目】

【やだ!! もうやだぁ!!!】

【また何ヶ月も缶詰になるくらいなら! ノーネームちゃん! ハルちゃんの今の声ものすごくえっちちちちちちちちち】

【めっちゃ興奮したっていうかセンシティブすぎるっていうかつまり俺ハルちゃんのえっちな顔も見たいいいいいいいい】

 

【また答弁延々と作らされるくらいなら! 俺、ロリには興味なかったけど今ので目覚めた! ……ないないされない!!】

【草】

【なんかないない失敗してるのも居て草】

【落ち着け、一時的なものだ】

 

【まぁ……前回ので被害受けた人はこうなるわな……】

【錯乱してもおかしくないよねぇ……】

【ノーネームちゃん、お願い……ハルちゃんのこと、ちゃんと制御して……】

【今みたいにお胸に押し込められて喜んでないで!! 分かったね!?】

【草】

【そういやそうだった】

【ノーネームちゃん……本当にお願いね……】

【あの……これ、子供たちもハリネズミしゃんになってるんじゃ……】

 

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