【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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296話 やばそうなボス部屋

延々と続く階段。

 

せっかくボス攻略に出向いた僕たちは、すでに疲れていた。

気が付けば、普段はにぎやかな子供たちも静かになってるし。

 

「……階段、長かったなぁ」

 

【何分かかった?】

【20分くらいだな】

【普通の速さとはいえ、20分ずっと降り続ける階段って……】

【あの、ノーネームちゃん戦のときよりずっと長いんですけど……】

 

あまりにも長い階段で、僕はすっかり退屈。

 

『はぁ……はぁ……』

『あるぅ……』

 

1段1段降りなきゃいけない子供たちは、もう疲れ切ってる。

 

僕?

 

僕は羽があるから……や、これでも1人ずつくらい代わりばんこに抱っこしてあげたんだけどね。

 

『……あるあぁ……♥』

 

「もうすぐ着くからね」

 

【で、昨日の】

【ああ……】

【妹ちゃんが】

【雌の顔をしている】

 

【女の子とは言っても女か】

【なんかちょっとこわいよー】

【なーんか昨日の夜から様子変なんだよなぁ、この子……】

【ま、まあ、子供たちの愛情がやべーのはこれまで通りだから……】

【まぁな】

 

「――ノーネームさん」

 

結構降りてきて、索敵スキルで僕は知る。

 

「お願いが、あるんです」

 

だから、ノーネームさんにお願いをして。

 

『ある?』

『……?』

 

不思議そうな顔してる子供たち。

この階段だけで、息が荒くなるひ弱さ。

 

……いや、違う。

 

僕が、特別なんだ。

羽でふわふわ飛べてるから、こんなに楽なんだ。

 

500階層でもそうだったもん。

イスさんで楽々だったから楽々だったんだ。

 

 

【了解】

 

 

「お願いしますね」

 

僕が声をかけただけで、すぐに反応してくれるノーネームさん。

いや、ノーネームさん、途中から分かってたのかな。

 

 

【back】

 

【back】

 

【オーライ】

 

【↑↑】

 

 

【草】

【ノーネームちゃん、その子たち車ちゃう、車ちゃう】

【何で急に】

【ハルちゃん?】

【どうしたんだ】

【小さい声過ぎて聞こえない】

 

ノーネームさんは、頼んだとおりにぐいぐいと子供たちを後ろへ引っ張って行く。

 

1人を引っ張って、数段上に登らせたら別の子を。

そんなノーネームさんに、子供たちも、戸惑いながらも下がっていく。

 

普段から、僕がノーネームさんにお願いして、子供たちにいろいろしてもらってるから。

 

ノーネームさんが、子供たちに気に入られてるから。

ノーネームさんが、子供たちにいつもむんずってつかまれて遊ばれてるから。

 

何かあるときは、ノーネームさんが僕に変わってしてくれる。

 

そういう信頼関係。

言葉が通じなくても、これくらい過ごせば何となくは分かるよね。

 

『あるてー?』

『あるー、――……』

 

僕もしっしってやってみる。

それで、しぶしぶって感じで下がっていく子供たち。

 

それで分からないこの子たちじゃないもんね。

 

……良かった。

 

この子たちが、聞き分けが良くって。

 

「……だって、この先、やばいからね。 あの子たちは、ちょっと危険かな」

 

やばい。

 

いろんな理屈を飛び越して、いろんな意味で危険ってときに使う言葉。

 

それは、この場面でこそ最もふさわしい語彙だ。

 

【ハルちゃん……?】

【ハルちゃんがそういう言葉使うのって】

【……初めてだよな?】

【ああ……】

 

『あるあ!?』

『――、――?』

 

 

【back】

 

【back】

 

【✕】【✕】【✕】【✕】【✕】

 

【↑】

 

【↑】

 

 

ノーネームさんが、ぴこぴこって出してどんどん子供たちを上げていく。

 

これまでのいろいろで、感覚的には僕の索敵スキルと同じくらいには先が見えてる印象のノーネームさん。

 

そのへんも話してくれるなら聞きたいけども……今は、それどころじゃない。

 

「……さすがにこれは、ダンジョンのボスだって言ってほしいなぁ」

 

そうじゃなかったら?

もっとレベリングを……1ヶ月くらいはしたい、かなぁ。

 

下からは――蠢くモンスターたちの気配。

 

それを、何となくでも知る僕は――気が付くと、心臓がどきどきしてきてる。

 

「ノーネームさーん。 子供たち、できたら1階層まで連れてってくださーい」

 

もしかしたら、厳しい可能性すらある。

だから僕は、もしもに備えて子供たちの安全をお願いする。

 

【えっ】

【え?】

【1階層までって】

【それって……】

 

【そんなにやばいのか?】

【だって、女神なハルちゃんが「やばい」って言ったんだぞ?】

【もうだめだ……】

【割と本気でもうだめかもしれん】

【ハルちゃん……】

【ハルちゃん、がんばれ】

【がんばって】

 

かちゃっ……かちゃ。

 

この体になってからやらなくなったけども、狙撃銃を構えて、じっと光の先を眺める。

 

「………………………………」

 

索敵情報。

 

僕の、謎のスキル。

それに、目視でダブルチェック。

 

……外れて、いてほしかったなぁ。

 

【ハルちゃんが無言に】

【え? まじでやばいの?】

【やばいって言ってたじゃん】

【守るべき子供たちをノーネームちゃんに任せる時点でなぁ】

【ハルちゃん、無茶する必要ないのよ?】

 

【そうだぞ、ボス部屋なら入らない限りモンスターも起きないんだから】

【でも、モンスターが溢れる事態になったら】

【あー】

【異世界のダンジョンだ、どんなシステムか分からないしなぁ】

【今後のこと考えると、潰さなきゃマズいか】

 

……あの数、あの質に、普通の狙撃銃は意味がない。

 

しゅいんっときちゃない袋さんにそれをしまった僕は、しゅいんっと光る弓矢を取り出す。

 

【今日の最初は物理攻撃からじゃ】

【子供たちの援護も……な予定だったよな?】

【それをすっ飛ばすって】

 

「……最悪は、ありったけの火薬を投げつけて逃げよっと」

 

【草】

【やだハルちゃん、アグレッシブ】

【そういや、爆発の罠とか解体してましたね……】

【大丈夫? それそのまんま入れられたきちゃない袋さん、爆発しない?】

【収納袋なら外からの衝撃はないから大丈夫だろ】

【きちゃない袋さんだからさらに安全だな!】

【きゅんっ】

【えぇ……】

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