【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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306話 おっきくなったノーネームさん

『【顕現】』

 

 

【うおっまぶし】

【なんだこれ】

【真っ黒な光?】

【黒と紫と青と……】

【そんなことはどうでもいい! 子供たちは!?】

 

「……っ……今の、は……?」

 

地上まで、あとちょっとのところで――子供たちを襲う魔物たちの手が僕よりも先に子供たちに到達しそうだった瞬間に、ものすごい魔力が放出された。

 

その勢いはすさまじく、羽を真っ直ぐにして急降下してた僕をも上にびゅんと吹き飛ばすほどのもの。

 

……魔法。

 

誰の?

 

――セーフゾーンから。

 

なんで?

 

【何が起きた!?】

【分からん】

【ハルちゃんは無事か!】

【さっきより上、飛んでる?】

【視界がぐりんぐりん動くから分からない】

【おろろろろろ】

 

黒い魔力は、少しずつ薄れていく。

 

ばちばちと爆ぜる、魔力の残滓。

 

それは、なぜか妙に懐かしい魔力の感覚。

 

「……あ、モンスターが……」

 

その黒い魔力が引いた――どうやら階段の出口から放射状に放たれたらしいそれ――先に居たはずのモンスターたちが。

 

【全部結晶になってる……】

【あの、地面、すっごくえぐれてるんですけど……】

【ひぇぇ】

【これ、ハルちゃんの魔法並みの威力……】

【ハルちゃんはまんべんなく広く、こっちは収束してる感じ……?】

【ああ、あちこちぼこぼこになってるクレーターくらいえぐれてるな……】

 

「倒せた……? けど、一体誰が……っ!?」

 

「キィ――!!」

 

「こんなときに……! だから、君たちの相手してる余裕はっ」

 

上へ顔を向けると、上空から槍を構えて――いつの間に集まったのか、100以上の鳥さんたちが、いっせいに突撃して来ているのが映る。

 

【ひぇっ】

【ハルちゃん避けてぇ!】

【さっきの魔法は一体】

【今はとにかくハルちゃんだって!】

 

急いで石をきちゃない袋さんから取り出そうとするも、焦ったからかこぼれ落ちて。

 

武器の使用は諦めて、両手を前に突き出して、とにかくどんな魔法でも良いからこの場をしのごう。

 

そう、構えたとき。

 

「――――――えび、る……じゃっじ、めんと」

 

【!?】

【誰!?】

【女の子の声が】

【後ろ!?】

 

そう後ろから聞こえたかと思うと、真っ黒な矢が僕の周りを迂回して飛んでいく。

 

「「「ギィ――!?」」」

 

「……っ、ありがとっ……アイスニードル!」

 

僕に近いのから、一気に半分くらいをごそっと撃墜した黒い矢。

 

僕を助ける意図が明らかなそれに、お礼の前に両手から魔法を放つ。

 

【おお】

【一気に鳥さんたちが】

【今度はちゃんとコントロール効いてるね】

【何十羽か落としたな】

【また補充されるだろうけども、ちょっとの間は大丈夫か】

 

「ふぅ……」

 

アイスニードルを数発放って、上空の敵がほとんど居なくなる。

 

ほっとしてから、ようやくに指先の震えが止まってるのに気が付く。

 

「良かった……じゃない!」

 

ばっと振り返る。

 

子供たちは。

 

守って言ったのに、危なくなっちゃったあの子たちは。

 

僕の視界には、まず放射状にえぐれた地面。

 

その手前には上の階層からの階段の出口――スロープのトンネルみたいに、もこっと地面から突き出す感じになってる、壁際の構造物。

 

その手前には、

 

「誰………………………………いや」

 

真っ黒な、1枚の布でできた服を着ていて。

 

真っ黒な、長い髪の毛をしていて。

 

真っ黒な、翼を広げていて。

 

なのに肌は、真っ白で。

 

目は、真っ赤で。

 

それでいて――「人間大」の。

 

ここに来てから、ずっと見慣れている姿の女の子が――僕を見上げて立っていた。

 

「……ノーネーム、さん?」

 

【!?】

【ノーネームちゃん!?】

【いや、でもでかいぞ】

【地面に立ってるのに、普通に見えるサイズだ】

【もしかして:ノーネームちゃん、擬人化】

 

【草】

【元々擬人化してただろ!!】

【お人形さんでしたねぇ……】

【でも10センチくらいじゃなかった?】

【そのはずだったな】

 

【でも今は……】

【ああ……】

【ノーネーム派の俺歓ききききききき】

【草】

【ノーネームちゃん! 今良いとこなんだってばぁ!】

 

ばさっ……とんっ。

 

「………………………………」

「………………………………」

 

一瞬の静寂。

 

この周囲のモンスターさんたちは存在しなくって、でこぼこの地面に結晶の山が盛り付けられている光景。

 

そこに――出口を守るように、ノーネームさんが、立っていた。

 

「守って……くれたんですか?」

「まもる」

 

「ノーネームさん、しゃべれたんですか?」

「はなす」

 

「……漢字で話してたみたいな感じですか?」

「かんじ」

 

【草】

【かわいいいいいい】

【かわいいいいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいいいいい】

【お前ら……】

 

【気持ちは分かる】

【でもないないされるのはやめよう!】

【そうだぞ! ハルちゃんそっくりのノーネームちゃんのかわいさををををを】

【草】

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