【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
【悲しい】
【俺たちはとても悲しい】
【始原も悲しい】
【草】
【ばかばっか】
お酒で良い気分になった僕は、適当にビルの中をふらふら。
階段を降りて登って、フロアを横切ったり素通りしたり。
そうして行った先には――ワンフロア丸ごとの浴場だ。
「大浴場って良いよねー」
【分かる】
【分かる】
【●REC】
【おふろ】
【いい……】
なぜか点いてる灯り。
気が付いたら動いてる空調。
そして――とっても広い浴槽からうっすらと立ち上る湯気。
柑橘系の、いい香り。
「お風呂は大切……あふ」
【●REC】
【●REC】
【●REC】
【どうして……どうして……】
【いつも通りにカメラさんはのけもの】
【俺たちはのけもの】
【うう……】
【草】
【これで中継されてたら今ごろ人類の何割がないないされてるだろ!!】
【音声だけでも相当やばいし】
【それはそれで……】
【もうだめだこの人類】
ちゃぷっ。
温泉とはまた違って、普通のお湯であったまる僕たち。
『あるてぇ……』
『おふろー』
『ふろ!』
『のうむぅ』
横を見ると、同じように服を脱いですっぱだかになってお湯に浸かってるノーネームさん。
「あ、ノーネームさん、髪の毛、お湯に浸けると痛むらしいですよ。 僕は1年以上してても平気ですけど」
「へいき」
【!?!?】
【ガタッ】
【朗報・ハルちゃんノーネームちゃん、髪の毛そのままおふろ】
【なんてずぼらな双神なんだ……】
【人間の肉体と髪の毛じゃないからね、お湯ごときじゃ平気なんだよ】
【また髪の話してる……】
なんとなくでノーネームさんの黒い髪の毛を手のひらに持ち上げてみる。
真っ黒な髪の毛。
光を通さないその糸の塊は、ちょうど光を全部通す僕のそれとは逆の性質だ。
「ノーネームさんのも、枝毛とかありませんね。 僕のもなくって、るるさんとかに羨ましがられたっけ」
【朗報・ハルちゃんの髪の毛、ずぼらでも頑丈】
【草】
【まぁ人間からしたら羨ましすぎるわな】
【神様だからね、肉体からして違うよね……】
【ガワが似てるだけで、中身はまるで違うからね……】
広い湯船……何十階建てのビルのフロアの半分くらいを占める広さで、新鮮なお湯が、深いとこで50センチくらいを覆っている四角いプールみたいな場所。
そこでは、子供たちがばしゃばしゃと泳いで遊んでる。
今までの温泉はどこも狭かったし、ごつごつしてたから泳ぐとすぐにぶつけて痛かっただろうし、何よりも一応ダンジョンの中だから不安だっただろうし。
けどもここは完全に人類圏――肝心の人類は居なさそうだけども――で、さらには屋内。
野外露出でもないってことで安心できるんだろうね。
【でもお願い……モザイク……モザイク越しで良いから……】
【昭和画質で良いから……お願い……】
【お願いします……全財産捧げますから……】
【お前ら……】
【だって信奉する女神様の裸体だよ?】
【その心は?】
【すごい背徳感でえっちちちちちち】
【草】
【あーあ】
「……けど、なんでここも動いてるんだろ。 ずっと、眠ってたはずなのに」
きょろきょろと見回してみると、水が流れるところ以外はかなり埃が積もっているか、端っこが欠けたり崩れたりしている。
けどもお湯もちょろちょろと出続けてるし、そのお湯だって別に腐ってるわけじゃない。
水回りとかボイラーとかの肝心なとこは、多分まだ現役なんだ。
すごいね。
「風化するほどに古いのに……まぁあったかいから良いけど」
こくり。
お湯に浮かせたお盆の上のお酒を1杯、呑んでみる。
「もしかして、あの攻撃で衝撃受けて起動したのかなぁ。 古い家電製品みたいに、引っ叩いたら動くみたいな」
それなら納得できる気がする。
全部寝てたのが、数時間前に起きたから見た目正常っていう感じ。
【草】
【なにそれ】
【ああ、今どきは知らないか……】
【古い電子機器はな? 不調なときに叩いたりすると、中の接触が直ったりして復活することがあったんだ】
【そんなこと知ってるハルちゃん】
【10年前に来て……あー、本とか好きだったから】
【読んでたらそういう描写は出てくる……のか?】
【古い家ならそういう電化製品もギリあるしな】
ばしゃばしゃと楽しそうな子供たち。
彼女たちは、プールで遊ぶ子供みたいに我先にと思い思いの泳ぎ方で速さを競っているらしい。
「ふぅ……んくっ」
【草】
【ダメだこの幼女、戦闘が終わってからお酒しか飲んでねぇ!!】
【※お酒を飲んだあとの入浴は非常に危険です】
【※お酒を飲みながらの入浴も危険です】
【※主神だから大丈夫大丈夫】
【草】
「とりあえずは、ここで魔力が回復するのを待ったり、探索したり。 あ、でも、モンスターが来ないかは監視しないとですね」
「だいじょぶ」
「そうなんですか?」
「そう」
くいっ、と、顔をビルの外の方へ向けるノーネームさん。
ただの壁だけども、索敵スキル的にもそっちがちょうどダンジョンの方向だね。
「ぼうえい」
「しすてむ」
「すたんばい」
「そうですか。 じゃあ任せて良いですか?」
「もち」
ふんすっと自信満々なノーネームさん。
なんだか疲れて頭が回らないけども、自信あるなら任せても良いよね。
【えっ】
【もしかして:ノーネームちゃん、この町動かせる】
【防衛システムって……】
【そういうことだよな……?】
【ま、まあ、あのどでかい石碑に彫られてたくらいだし……】
【とりあえずここに居たらこの町は動くってことで】
【さっぱり追いつかないけど、この町がハルちゃんの言うこと聞くってこと?】
【何それ素敵】
【俺もハルちゃんに何百年何千年とこき使われたい……】
【草】
【言い方ァ!】