【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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336話 エレベーターのボタンって高すぎる

最近寝床にしてたビルに入って、奥へ向かう。

 

造りはどう見てもでっかいオフィスビルっぽいけども、たとえ文明も何もかも違ったとしても、人間大で人間みたいな体と知性持ってたら同じようなものを思いつくのかもしれない。

 

そんな深遠な想いを抱きつつ、僕たちはエレベーターへ。

 

入り口から入って、左右に机とかイスがぽつぽつあって、その奥に1基のエレベーター。

 

何で1基だけなんだろうね。

この規模のビルなのに。

 

この世界ではみんな、辛抱強く他の人を待つのが美徳だったのかな。

 

「これも、造りは普通のエレベーターだもんなぁ」

「ふつう」

 

僕たちは、がーっと開いた箱の中へ。

 

で、目的地は、

 

「………………………………」

 

「だっこ」

 

後ろから柔らかいものが押し付けられる感覚。

最初は恥ずかしかったけど、今はもうすっかり慣れた感覚。

 

……仕方ないじゃん。

 

だって、僕たちちっちゃいんだもん。

 

広めのエレベーターだからって言ってわざわざ羽で飛ぼうとも思わないしさ。

……ばっさばっさやったら子供たちがえらい目に遭っちゃうし。

 

だから良いんだ。

 

ノーネームさんに後ろから抱き上げられたって、おかしくないんだ。

 

恥ずかしくないんだ。

今の僕は子供なんだから。

 

ついでに、ノーネームさん。

お胸、ちょっとはあるよね。

 

まぁ、それ言ったら今の僕もちょっとだけあるし。

 

体感的には……小学校高学年くらい?

意識しないようにしてるけども、やっぱり恥ずかしいよね。

 

確かにこうして存在感があると、せめてシャツで良いから下着は着けたくなる。

 

だって今、ただの布1枚だし。

 

【いつものごとく、ボタンに手が届かないハルちゃん】

【この子たち、背が低いお子さまだからね……】

【毎回何も言わずに、ハルちゃんを後ろから抱きかかえて持ち上げるノーネームちゃん】

【健気だね】

【子供たちが羨ましそうに見てる】

 

多分、普通の大人でも結構腕を上げないと届かない高さのボタンを、ぽちっ、と。

 

そこはもちろん、最上階。

 

エレベーターの壁も、やっぱりこのビルとか他のビルとかみたいに模様みたいな亀裂が入ってて、そこをちかちかと電気っぽいのが流れる仕様。

 

これがなんなのかとかはさっぱりだけども、近未来感あるからなんか好き。

 

後は僕自身がおっきいか、それとも子供用のボタンも用意してくれてたらって思う。

 

文句の付け所としてはそれくらいだ。

 

「まずはイスさんに乗って、んで……あ、せっかく直した壁、また吹っ飛ばさないと行けないのか、ダンジョン」

 

【ひぇっ】

【発想がいちいち怖いハルちゃん】

【でも実際、ここから出るとなるとなぁ】

【この町もまた、地下のドームっぽいとこにあるっぽいし】

【そのへんどうなの? ないないしない範囲で教えて?】

 

 

【機関】

 

【接続】

 

 

【どうしたノーネームちゃん】

【ダメだ、分からん】

【ノーネームちゃんって説明しようとする気持ちがないよね】

【まぁする必要は無いだろうし】

【するなら、まずはハルちゃんだろうし】

 

エレベーターが動いた感覚もなく、すっとドアが開くと――そこは、屋上。

 

僕たちがここに来て、いちばん最初に着陸した、なんにもないところ。

 

柵すらないのは怖いけども……イスさんを近くに召喚すれば落ちたりはしないよね。

 

今の僕には羽があるからか、こういう高いところの怖さってのはかなり薄れてる気がする。

 

まあね、無意識でだけども戦闘中に急降下とか何度もしてたし。

 

「いす」

「はい、イスさんです」

 

きちゃない袋からにゅるりんと出てきたイスさん。

 

でっかいドローン、空飛ぶ足場、ホバークラフトみたいな何か。

僕自身もそこそこ回復したんだ、イスさんもそれなりに飛べるはず。

 

「さ、乗って乗って」

「のる」

 

ノーネームさんと、ふたり掛かりで子供たちを抱っこしては収容していく。

 

こういうとき、ノーネームさんは僕に合わせてくれるから楽。

 

まるで「僕がもうひとり居るみたい」だね。

 

『かり?』

『かり!』

『ないない』

『ふんすっ』

 

【ないないやめて!!】

【おしりがひゅんってしたからやめて……やめて……】

【視聴者たちのトラウマ】

【だって、ガチで地球人口減ってるし……ないないで】

【すごい吸引力よね、ノーネームちゃんのないないって……】

 

「よっ……と」

 

とん。

 

軽い足音。

 

運転席――学校のイスをひっくり返したみたいなやつ――に着くと、モニターがぱっと着いて出迎えてくれるイスさん。

 

「じゃあ、あっちに……」

「まつ」

 

動かそうと思ったら腕を押さえられる僕。

 

「ノーネームさん?」

 

「けいさん」【完了】

 

ぴこっと、ノーネームさんの頭上にポップしてくる文字。

 

「ノーネームさん、しゃべるのめんどくさいんですか」

 

【疲労】

 

「奇遇ですね、僕も基本しゃべりたくないです」

 

【奇遇】

 

「前から思ってたんですよね。 テレパシーとか使えたら、1日中寝っ転がってても誰かと話せるから楽だって」

 

【草】

【えぇ……】

【ハルちゃん、そこまで行くとコミュニケーション放棄なんよ……】

【ノーネームちゃんも、本気でしゃべりたくないらしいしなぁ】

【もしかして:女神様たち、ふたりともずぼら】

 

【ずぼらな女神様って……ああうん、神話の神様たちはみんなそんなフシあるわな……】

【草】

【人生のスケールが違うだろうからね……】

【ああ、長命種の価値観……】

【ハルちゃんは忘れてる?っぽいけど、普通に数千歳だからなぁこの子たち……】

 

 

【――起動】

 

 

ぱっ。

 

町全体が、いきなり明るくなる。

 

『!?』

『のうむ!?』

 

今までずっと、夏場の夕暮れの後の暗いはずなのにそれなりに明るいって感じの天気――いや、明かりだったのが、今や蛍光灯の下程度には明るくなって。

 

……ごごごご。

 

地鳴りが、町全体を揺らす。

 

「ノーネームさん?」

 

 

【計測完了】

 

【地上】

 

【740米上昇】

 

【基盤】

 

【浮上】

 

【地上】

 

【――再奪還】

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