【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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337話 「地上」

【???】

【ノーネームちゃんが急に詠唱を】

【地上が740米……メートル上昇?】

【もしかして:時間が経ちすぎて、火山灰とかに町が埋まってた】

【あー】

 

【関東ローム層的な?】

【ポンペイかも知れん】

【てことは、この世界、やっぱり……】

【再奪還……】

 

ものすごくゆっくりと――ちょうどさっきの、エレベーターのように。

 

でも今度はしっかりと、下から重力に逆らって持ち上げられていく感覚。

 

『ある……』

『ないない?』

 

「大丈夫、だけど念のために僕たちの羽の下に隠れてね」

 

ぱらぱらと砂とか小石が降って来はじめ、僕たちは子供たちを背中合わせで守る態勢に。

 

【ハルちゃんノーネームちゃんの羽の下だって!?】

【いいなぁ】

【良い匂いしそう】

【分かる】

 

『すんすんすんすんすん……』

『すんすん……あへぇ……♥』

 

【やべーぞ昼間サバトだ!】

【草】

【この子たち、やっぱり重度の匂いフェチ……】

【お、お母さんみたいなものだから安心できるんだよ、きっと……】

【羽の下……良い匂いしそう……】

 

【でも、幼女たちまでアヘ顔さらしてるよ?】

【ショタもアヘってます!!】

【しっしっ】

【実際絵面がなぁ……】

【一瞬で怖さから匂いに全力な子供たち……】

 

「!」

 

上から重い音がしたから見上げると、壁が――天井が、割れていく。

 

「これはまず……く、ないのか」

 

でっかい岩が降ってきてたけども、それらは途中で砕け散る。

まるで、見えない壁が町をドーム状に覆っているかのように。

 

 

【完了】

 

【到着】

 

 

「……どこに……ううん」

 

がらがらと、見えない半球の表面を崩れ落ちていく瓦礫。

 

それらが半分以上、下に落ちていくと、次第にその向こうが――。

 

「ちじょう」

 

ぽつり。

 

特に説明する気もなく、必要最低限の情報だけを伝えるために、うっかりすると聞き逃しちゃうつぶやきが、僕に教えてくれる。

 

「まち」

 

「ふっき」

 

「ちじょう」

 

「いんぺい」

 

「かいじょ」

 

それで、僕は大体を察する。

 

――明るくなってた町は、覆ってた壁がなくなって、それぞれのビルとか道路の亀裂を走る灯りでネオンっぽくなってて。

 

その周りは、どこを見ても、真っ暗。

 

「そっか」

 

ぐるりと見回した僕は、ここが「地上」だって、悟る。

 

「ここは全部――無くなっちゃってる世界なんだね」

 

見渡す限りの荒野。

 

ひび割れ、生命の息吹を感じない地面。

 

遠くには山の陰があるけども――不自然に横がえぐれ、遠くには噴火してるのか、赤黒い光がちかちかしている。

 

空を見上げる。

 

かすかに光る細い毛糸みたいなのが無数に空を遮ってるけども、それがなんなのかの見当はつかない。

 

そして、一面の星。

 

あと、太陽。

 

……太陽?

 

「太陽が出てるのに、なんで空がこんなに真っ暗……?」

 

手のひらを見てみても、町からの光でしか照らされていない。

 

まるで、宇宙空間。

 

そうだ、月とか小惑星から見た光景にそっくりなんだ。

 

「息……はできてるし、大気はある。 なのに、空が……?」

 

僕の中の、ごく一般的な知識が、それを否定してくる。

 

子供たちを見てみるけども、平気そうにしておめめばちくりしてる。

うん、大気はあるはず。

 

けども、分かっているのは。

 

「……この世界は、ずっと夜。 なんだね」

 

太陽が――直接見ると刺すようにまぶしいのに、その光は地上を照らしていない。

 

完全な暗闇。

 

それが今の、この世界の大地。

 

「そっか」

「そう」

 

「……悲しいんですか?」

「悲しい」

 

【ノーネームちゃん……】

【これ……】

【ああ……】

【ノーネームちゃんのないない事故の、あの後……】

【多分そうだよな】

 

【壊滅か】

【残念だが】

【こんな町と、こんな町を動かせるノーネームちゃんも居て、ハルちゃんも居たはずなのに】

【それでも敵わなかったんだろうなぁ……】

 

【もしかして:地球はおしまい!】

【ああ……】

【ハルちゃんが戻ってきてくれたとしても……】

【ただ、あのトカゲはハルちゃんにご執心……だけど、ハルちゃんを差し出すわけには……】

【かといって、このままだと俺たちの世界も……】

 

『ある』

『――――』

『かり?』

 

子供たちは、この光景を見て――どっちかって言うと、きょとんとしてる印象。

 

分かってない?

 

ここから来たのに――や、そうじゃないのか。

 

きっと、地下で。

ダンジョンに近いとこの地下で生き延びてたコミュニティから。

 

「君たちも、初めてなんだね。 この世界の、表に出てくるの」

 

【ああ……】

【やっぱこの世界の人間……】

【ちょっとは生き残ってたとしても、地下暮らしか】

【この子たちのコミュニティさえ見つけられたらなぁ】

【大人がいれば、もう少し知識も情報もあるはずだしなぁ】

 

「!」

 

ぞわっ。

 

全身の毛という毛が逆立つ感覚。

 

「……ノーネームさん」

「ほそく」

 

まだ――何も、見えない。

 

一面の、漆黒の空間。

 

けども、僕なら分かる。

 

「……索敵スキルに、引っかかった。 『たった今』、」

 

遠くで火山が噴火している。

 

よく見ると、そこここの割れた大地から赤黒いマグマが噴き出している。

 

「僕たちは、捕捉された。 この大地の、ずっと遠くに居るだろう――たくさんの、モンスターたちに」

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