【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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378話 願いを叶えたるる

静かになった戦場――いや、戦いの痕跡が残る荒野。

 

そこでは、えみとちほの激しい戦いが続いていた。

 

「最上位メンバー、私が払うから! ずっと負担するから! 私自身のお金で! だから!!」

 

「そういうのはちょっと違うと思うんです。 メンバーは、応援したいから入るものであって……推せるから入るものであって、押し付けられるものでは……」

 

【草】

【草】

【粘るえみちゃん】

【正論過ぎて草】

【心が女神なくしまさぁんでも受け入れるのはムリだったか……】

【かわいそう】

 

【どっちが?】

 

【え? くしまさぁん】

 

【だよな!】

【草】

【えみちゃん……】

【自腹切ってでもメンバーに戻ってほしいえみちゃん】

 

【確かに、清楚お姉さん時代のえみちゃんって、くしまさぁんが好きそうだもんねぇ……】

 

【分かる】

【リーダーだったし、グループどころかコラボ相手の子たちからも慕われてたし】

【パーティー組んだ人たちも口々に「えみさんに指揮してもらいたいな」って言うレベルだし】

【本当にな】

 

【なのに……】

【今は、こんなのに……】

【もう、どうしようもない存在に……】

【大丈夫、まだえんがちょじゃないよ】

【ひでぇ】

【俺は好きだよ】

 

【私も好き】

【このギャップが良いんだ……】

【分かる】

【清楚系アイドルがいかがわしい堕ち方してるのに興奮するんだ……】

【あ、何か納得したわ】

【あー】

 

【不祥事起こした有名人って、その不祥事の内容とかその後の対応ではっきり分かれるよね、好かれるか嫌われるかって】

 

【良かったねえみちゃん、前よりメンバー増えてるよ!】

【まぁ、本人の供述的にはまだ未遂だし】

【逆に好感持てるよね、完璧女子に唯一の欠点って】

【とんでもなさ過ぎる欠点だったけどな!】

【草】

 

【おい、えみちゃんなんかどうでもいいから、るるちゃんが!】

【ひでぇ!?】

【草】

【流れ弾で草】

【あ、ごめん、そういう意味じゃ】

【ナチュラルにどうでも良いって思ってたのか……】

【ひでぇ】

 

「――……! ハルちゃんたち、こっち落ちてきてる!!」

 

身動きひとつせず、星の流れる空を眺めていたるる。

 

彼女が、ある一点を指して――叫び、走り出す。

 

【るるちゃん!】

【どこ?】

【ハルちゃんのカメラからるるちゃんが見え始めた】

【あ、るるちゃんのカメラも光度上げたら見える!】

 

白い羽を左右に広げ、風を受けながら滑空してきている様子のハルとノーネーム。

 

「――ハルちゃんっ!」

 

るるは、走る。

 

るるが、走る。

 

走って走って――――。

 

『――――――――、――!』

『――――……………………』

 

ざっ。

 

「あの子……」

「道を空けてあげろ」

「俺たちの仕事はもう終わったもんな」

「るるちゃん、がんばれ」

 

ざっ。

 

るるの走る方向に居た人たちが、一斉に道を空け。

 

開かれた道を、るるは走って走って、限界まで走って。

 

――――――――ふわり。

 

「きゃーっち……って、きゃあ!?」

 

滑空してきた――とはいえ、結構なスピードの出ていたハルたち。

 

ふたりはもはや目もつぶっており――減速もせずに、るるに接触。

 

「るる!?」

「るるさん!?」

 

走り出した彼女を追いかけていたちほとえみが、転んだるるを見て叫ぶ。

 

「ぷはっ……だ、大丈夫! ハルちゃんたち軽いから!」

 

けれどもるるは――2人を抱きしめたままの体重を背中で受けながら、なんとか軟着陸させた。

 

そうしてハルとノーネーム、2人のふわりとした髪の毛から顔をのぞかせる。

 

【朗報・るるちゃん、ハルちゃんノーネームちゃんに押し倒された】

【キマシ】

 

【ノーネームちゃん→るるちゃん→ハルちゃん←ノーネームちゃんの三角関係だぞ!】

 

【どろっどろの百合三角関係だぁ……】

【すごくおいしそうですわ!!】

【描き甲斐がありますわね……!】

【草】

 

【……ハルちゃん→るるちゃんは?】

 

【えーっと】

【その……】

【……友達としてなら……?】

【う、うん、普通になら……?】

【ひでぇ】

 

【いや、でも、るるちゃんの病みっぷりとか、ノーネームちゃんの2人に対する執着に比べるとねぇ……】

 

【ハルちゃん、基本的に1人で完結してるからねぇ……】

【1ヶ月ひとりぼっちでもへっちゃらだったレベルだし……】

【ときどきカメラに話しかけてたけど、あれ、配信されてるって可能性はそんなに考えてなかったっぽいし……】

 

【それで1ヶ月間、暗いダンジョンの中でひとりぼっち……】

【ひとりごとだけ……いや、1日の大半は無言で……】

【め、女神族はきっとみんなそうなんだよ……】

 

【ノーネームちゃんだってハルちゃんとるるちゃんが好き好きだし、最近はわりとおしゃべりだし、やっぱハルちゃんだけ違うんじゃ?】

【草】

 

「「すぅ……すぅ……」」

 

「……あはは、ふたりともぐっすり。 ……でも」

 

――ぎゅっ。

 

るるは、地面に押し倒された形のまま――ぽつりと。

 

「よかった。 また、会えて」

 

彼女がハルと別れてから――「ないない」されていた期間も含めると、実に10ヶ月近く。

 

彼女は、ようやく――ハルと半分同居していた、かつてのときのように。

 

「えへへっ」

 

屈託のない笑顔を――とびきりの笑顔を、浮かべた。

 

「ハルちゃんの、匂い。 懐かしい、匂い。 ノーネームちゃん……も……そっくりなんだね。 双子ちゃん、なんだね」

 

【女神か】

【聖女だよ】

【聖女るるちゃん……】

【いじらしすぎてもう……!】

【ぶわっ】

 

【あー、見てらんない】

【今日1日が大変だった分、涙腺が壊れちゃったよ】

【どうしよう、トイペなくなっちゃった……】

【草】

【お前……ずっとトイレで実況を……!?】

 

【今、感動! 感動の場面!!!】

【ハルちゃんの配信だからね】

【なんでもいいじゃん、もう、全部終わったんだから】

【だよな!】

 

ごーん、ごーん。

 

世界は、天上の奏でる音の下に静寂に包まれる。

 

それはまるで、彼女たちの再会を祝福しての鐘のよう。

 

「……ハルちゃん……ノーネームちゃんも、……ここに、居るんだね……」

 

『――――――――、アルム……』

 

『――――――――~~~~♪』

『――――――~~♪』

 

「歌が……」

「祈りの唄か……」

「きれいだ……」

 

「……合わせて歌おっか」

「だな」

「言葉はさっぱりだがな」

 

「こういうのは気持ちだって言うし」

「戦勝記念としては穏やかすぎるが……ま、こういうのも良いよな」

「この戦いのためにないないされて良かったわ、本当に」

 

彼女たちの周囲は、次第に歌に包まれていく。

 

この世界へ召喚されたばかりの、あらゆる世界の声たちが――音階という共通言語によって統一された意思が、数十万の声が、奏でられていく。

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