【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「ハルさんも、変わりないみたいで安心しました。 ええ……前と、まったく変わらないみたいで」
「まったく」を強調してる九島さん。
これはあれだね。
「怒ってます?」
「お酒の量はとんでもなく増えてますね」
「ごめんなさい」
やっぱり怒ってた。
九島さんってば静かに怒るんだもん。
【草】
【草】
【神様相手にごめんなさい言わせるの、多分くしまさぁんくらいだよね】
【やはりくしまさぁんもまた女神だったか……】
【同格なら問題ないよね!】
【ハルちゃんにも叱ってくれる人が居ないとね】
【居なかった結果が異世界でのこれまでだもんな!】
【草】
【一切否定できないのがなぁ……】
おっきい……けども、前よりは目線の高さが近くなってる九島さん。
そっか、僕、なんか成長してるもんね。
こうして見ると九島さんが普通の女子高生さんだって、前よりしっくり来る感じ。
前は……こう、もっとお姉さんみたいでちょっと怖い感じがしてたし。
「それにしても……」
「?」
僕を、頭の上から足までじーっと見てくる九島さん。
「……6歳児から……小学校高学年、中学生くらいでしょうか。 12、13歳くらいだとしても、一瞬でこれだけ……ハルさん、やっぱり普通の人じゃなかったんですね」
「む、それどういう」
「ハルさんを保護したときの検査で未就学児だと医学的に分かっていたのに、それでも目の前で酒瓶を嬉しそうに注いで飲んでいる姿を見て、なのに立場上止められなかった私がどれだけ」
「ごめんなさい」
懐かしい感じで怒りを感じた僕は、すぐさま頭を下げる。
僕は頭を下げるのは得意なんだ。
たとえそれが10歳近く年下の女の子相手でもね。
【草】
【草】
【2回目で草】
【すっごく頭下げてて草】
【くしまさぁんのスカートがカメラの目の前に】
【みえ】
【みええええええ】
【草】
【えぇ……】
【もしかして:くしまさぁんもノーネームちゃんのリスト入り】
【女神だもんね……】
【コピーノーネームちゃん、ほどほどにね??】
「……ハルさんたちのことは、配信で見ていました」
「? 配信?」
怒りが収まった気配で顔を上げた僕は……廊下の左右にさぁっと並んだ人たちに促されて、このフロアの応接室っぽいとこへ。
【あの、画面に映っているだけで】
【廊下に100を降らない数の人たちが、壁に整列して……】
【お城かな?】
【メイドさんたちに傅かれるお姫様かな?】
【お姫様……るるちゃんが言っていたのが繋がってしまったな……】
【草】
【あー、るるちゃん、そんな捏造してましたねぇ……】
【るるちゃんだからなぁ……】
【あの子も前から思い込みが激しいからなぁ……】
このビル、こういう高級オフィスビルっぽいラウンジとかあるんだよね……お風呂も立派だし。
「……座高も、なんだかすぐに追いつかれそうですね」
「そうですか?」
ぽすっと座った僕の横に、遠慮がちに座る彼女。
こういうところは九島さんだ。
背中を背もたれにくっつけないで、背筋だけで姿勢を維持。
お尻も少し前に腰掛ける形で、ほんと遠慮がち。
僕?
僕はイスとかには飛び乗らないと座れなかったし、んで膝の裏までずいって座ってもお尻が全然届かないからふくらはぎまで載せて背中くっつけてたけど?
今はもうちょっとマシだけど、でもやっぱり体はちっちゃい。
なんとかならないかな。
「……ハルさんの、その頭の上の」
「これですか?」
静かに頭の上のを指差してくる九島さん。
これ?
見たい?
きゅぽん。
頭の上のくせっ毛から抜き取るカメラさん。
【カメラさんが】
【カメラがぶれて】
【おろろろろろろ】
【軟弱すぎる】
【けど、すぐに安定するのはさすが特製カメラさん】
【カメラさん……!】
「……前から聞きたかったのですけど……それ、何なんですか……?」
「さぁ?」
【あっあっ】
【くしまさぁんの顔が!!!】
【ガチ恋距離でででででで】
【ノーネームちゃん! きゅんっとしたのは勘弁して!】
【あー、心拍数の増加とかでないない判定してるのね】
【草】
「……それは、ドロップ品だと」
「はい。 どっかのダンジョンで拾ったんです」
るるさんが「王女様のティアラだ!」とか言ってたやつ。
カメラさん。
両手で持てるサイズのリング上の物体。
直径15センチくらい。
金色。
重さは軽い。
「……そうして体から外すと」
「はい、自動的に畳まれるんです。 コンパクトですね」
外すと、見た目は完全にゴツめの腕輪。
四角形の宝石がいくつか横に並んでる、きんきらきんの腕輪。
「けど、頭につけると」
「自動的にふぃーんって広がって、くるくる回りますね。 それで配信できるので便利だなーって」
九島さんの目の前で、また頭に持ってって――リングの中心、何もないとこをくせっ毛にはめる感じにすると――ぱかんと、くっついてたカメラさんたちが分裂する。
【しゅごい】
【あ、視点が安定した】
【なるほど、ハルちゃんがよほどアクロバティックなことしない限り酔わないのはこのおかげか】
【くしまさぁんからの配信のおかげで初めてまともに見たわ】
【てかこれ、完全にオーパーツじゃない??】
【ドロップ品って言ってるし】
【あー】
「で、それで配信されていたんですよ」
「?」
配信?
「何が?」
「全てが」
「全て?」
「はい。 ハルさんがひとりで地下ダンジョンに飛ばされてからずっとを」
「………………………………」
「………………………………」
しん。
静まる室内。
「……え? ほんと?」
「はい、本当です」
「どのくらい?」
「ハルさんがそれを置いてお風呂などに離れているとき以外は、全て」
「………………………………」
「………………………………」
【草】
【草】
【ハルちゃんが】
【きょとんとしてる】
【かわいい】
【かわいいね】
【ハルちゃんのこんな顔を昨日に続いて見られるだなんて……】
【ここが天国か】
【天国(死にかけた人たちが救われて至った世界】
【天国だったわ……】
【しかも絶世の美少女の双神のな!】
【マジ天国だわ】
【ちょっと天国行ってくる セクハラでもすればいいかな?】
【待て、早まるな】
【草】