【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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394話 子供たちがいない

「いくら僕でも怒りますよ」

 

「ごめんなさい……」

「だって、ちほが言うなって……」

「ハルさんのメンタルのためです」

 

目の前には3人が正座している。

それはもう綺麗な正座だ。

 

――――――――――ざっ。

 

「あ、いいの。 他の人たちはしなくていいの」

 

そんな3人を見たからか、部屋から廊下まで見渡す限りの人たち――小さい女の子から女の人まで――が、ぴっしりとした正座を披露していた。

 

【草】

【草】

【正座の意味知らなければ、そういう儀式だって思うわな】

【あー】

【言語はリアルタイムで翻訳されても、そういう常識とか文化はなぁ】

 

【とりあえず九島さんたちはがんばった】

【がんばったよね】

【ハルちゃんが寝ぼけてぶっ放す可能性だけは回避したな】

【本当に良くやった……】

【マジでハルちゃんのはシャレにならないからなぁ】

 

【ああ……】

【あとは……】

 

【ハルちゃんのぶち切れ具合次第で……】

【この世界が崩壊してもおかしくないよね】

【何しろぶち切れたときの威力はノーネームちゃんが抑えててもアレだったからなぁ……】

【ノーネームちゃん、ハルちゃんの意志を優先するしねぇ……】

 

「……で、子供たちは」

 

「……行方不明です」

 

――――――――しん。

 

静まりかえってるはずなのに、耳の中でヤな感じの音が聞こえる。

 

ゆくえふめい。

 

行方、不明?

 

「………………――――――――」

 

「捜索は、しました。 それはもう、ハルさんたちが大切に保護していた人たちということで、みなさんが目の色を変えて。 ハルさんたちが寝ているあいだ、それはもう動ける人員に全艦載機やドローンを使い、くまなく」

 

「は、配信! いろんな世界の人たちも配信してて、カメラとかいっぱい飛んでたから! それで探してくれてた! 瓦礫とか岩とか、建物の中とかもできるところは全部!」

 

「ええ、最初にこの世界に連れて来られた人たちの分までさかのぼって。 私たちも一緒に探しましたから間違いはありません。 ……けれど」

 

――――――――いない。

 

「ノーネームさん」

 

子供たちが、居ない。

 

いない。

 

存在しない。

 

いない。

 

なんで。

 

どうして。

 

まさか僕が目を離した隙に、魔王さんの手下にやられちゃったんじゃ――――――――

 

「せいぞん」

 

ぽつり。

 

ノーネームさんが……とすっと、僕と繋いでた手をほどいたと思ったら――3人の横にちょこんと座る。

 

【かわいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいい】

【いや今のはしょうがないよノーネームちゃん】

【そのかわいい動きが悪い】

【あざといのが悪いいいいいい】

【然り】

【草】

 

「生きてる……でも、居ないって」

 

「いくうかん」

 

「ないない」

 

「……危なかったんですか?」

「………………………………」

 

じっと見上げてくるノーネームさん。

 

「ノーネームさんっていつもそうですよね。 都合が悪くなるとだんまりです」

「てれ」

 

「褒めてません」

「てれてれ」

 

「ノーネームさん、都合良く解釈してません?」

「てれてれ」

 

「ノーネームさん」

 

【♥】

 

【かわいいいいいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいいいいい】

【なにこのくっそかわいいいきもの】

【ノーネームちゃんだよ、百合妊娠出産したガチ恋勢だよ】

【草】

 

【しかも寝込みを襲ってててててててて】

【ノーネームちゃん!!!】

【草】

【ハルちゃんの言った通りじゃん!!! 私欲ないないしないの!!】

 

なぜだかほっぺた紅くしてそっぽ向いてるノーネームさん。

 

……何か理由があって、言いたくない。

 

それはわかるんだけど……こう、もやっとする。

 

「じゃあ質問変えます。 あの子たちと合流するにはどうしたらいいんですか」

 

「とおか」

「きゅうけい」

 

「10日後に?」

 

「いくうかん」

 

「……また別の世界へ行くと」

「ん」

 

こくりとうつむく彼女。

 

……この感じ、怒ってもなだめてもあやしてもどうやらこれ以上は言わない様子だ。

 

「………………………………はぁ……」

 

「ハ、ハルちゃん? その……私も分かんないけど、ノーネームちゃん、悪気があって」

「分かってます、もう怒ってませんから……正座も必要ないですから……」

 

なんだか体から力が抜ける。

 

ふらふらとした先に置いてあった、年代物のワイン――朝食のあとにおみやげでもらった――をきゅぽんって開けて、こくり。

 

「ふぅ」

 

あー、染み渡るー。

 

「ハルさん……そのストレス解消や気分転換の方法は体に悪いですよ……?」

 

「大人になると、これくらいしか無いんです」

 

「今のハルちゃん、がんばっても中学生だよ?」

「気持ちの問題です」

 

「そ、そっかぁ……」

「ぷは」

 

【草】

【るるちゃんの援護も効かないハルちゃん】

【そうだよハルちゃん、良くないよそれハルちゃん】

【くしまさぁん! もっと言ってやって!!】

【なんかもう呼吸するように飲んでるハルちゃん】

 

【あの……それ、確か、艦長室にあったっていう年代ものの】

【ああ、もったいない……】

【この幼女……超高級ワインをラッパ飲み……】

【草】

【ハルちゃんだからね……】

 

【女神様もストレス溜まるんだよ】

【まぁなぁ】

【人間が大切って思ってくれてる分、その人間が危険な目に遭うと……】

【あれだよ、かわいい動物の群れとか愛でてるときにはぐれちゃったりとかした子を必死で探す感じだよ】

【草】

 

【ま、まあ、上位存在的にはそう見えるんだろうし……】

【俺たちは動物の群れだったのか……】

【なんかちょっと興奮してきたたたたたた】

【えぇ……】

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