【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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413話 アルア様とノーム様

「お、おねえさま……」

 

「言葉が通じない以上、最大級のお祈りで感謝を表現しましょう。 年に1度の祈りでの作法です、リリー」

 

女神様が目覚められました。

 

……このお方が、わたくしたちの知る「女神アルア様」かどうかは不明です。

 

といいますのも、やはりわたくしたちの言葉は通じたり通じなかったりを繰り返しますし――何よりも、この方もまた別の言葉を話されている様子。

 

翻訳魔法を世界にもたらしていらっしゃったのであれば――と思うのです。

 

……もし力を失われているのでしたら、翻訳魔法がおぼろげなのにも納得はできるのですが、まだ分かりません。

 

いずれにしましても女神様と考えておいた方が――わたくしたちの気持ちが、安心しますから。

 

勝手ですが、こちらは全員子供ばかり――きっと、許してくださるでしょう。

 

「こ、こうか?」

「両手合わせるのはブッダのやり方よね……まぁいいけど……」

 

アリス様とキャシー様も、わたくしたちのやり方を見よう見まねでされていますね。

 

「うぇ、頭を……? こ、こうかなぁ……」

「これはテレビで観たことある……頭に血が昇るぅ……」

 

女神に対する、絶対服従の姿勢。

 

普段でしたら教会の絨毯で行うものですけれど、ここのお布団でしたら柔らかいですしみなさまもやりやすいでしょう。

 

わたくしが率先して行ったところ、3人も真似をしていらっゃいます。

 

「……お、おねえさま……あのお人形さんは……」

 

「……眷属様かもしれません。 敬意を表すのです、リリー」

 

けれど――白と黒の、双神。

 

それはまるで、本当に女神様の神話にあるような……?

 

 

 

 

このお方は神話の方でした。

 

そう、判明いたしました。

 

つまりはわたくしの生まれ育った世界、それもソレイユ王国の主神――アルア様でした。

 

やはり最初からの対応は、なにひとつ間違っていなかったのです。

 

だって――ご自分から「ある」と名乗られましたし、小さき眷属と思われたお方まで「のーむ」と。

 

――「アルア」と「ノーム」の双神が世界をあまねく照らし、「アルム」となられて悪を打ち砕く。

 

そうだと教えられてきましたもの。

 

「おねえさま……!」

「ええ……」

 

「あるて!」

「あるふぅ」

 

「あーる?」

 

……3人とは言葉が通じなくなっていますが、異なる言葉でも聞こえたご様子です。

 

「のーむす?」

「のむ」

「のうむー」

 

……お、お互いに意思疎通できないほど違う言葉で、ここまで似ているのはむしろ奇跡に近いと思っておきましょう。

 

「ですがおねえさま、ノーム様は一体……?」

「……ひょっとしたらですが」

 

微睡みから目覚められたお二方。

 

アルア様はご自身の状況が分からない素振りをされていますし、ルーム様に至ってはアルア様と同じ背丈のはずが、手のひらに収まるほどに。

 

「……魔王軍と……戦っておられたのかもしれません」

「そ、そうですか……それなら、わたくしたちのために」

 

「ええ。 全員が避難するまで――お父様たちは最後を務められましたが、他の大多数の方が生き延びるまで、どこかで奮闘されていたのなら」

 

「魔力を切らすほどになり、さらにノーム様も……?」

 

「精霊様たちも、魔力を使い果たすと消滅するか小さくなると訊きます。 翻訳魔法が途切れかけているのも、きっとそうです。 恐らくは……」

 

「――――?」

 

ふぃん。

 

「!?」

 

……なんとおもむろに、象徴の輪を外されました!?

 

「おねえさま!?」

「しっ……」

 

「………………………………」

 

……ふわり。

 

ふぃん。

 

ふわり。

 

それを手放されて頭の上に戻らせ、また繰り返される彼女。

 

「「「おー」」」

 

3人はおもしろそうに見ているだけです。

 

けれど、

 

「……どうやら、今はご自分も、ここでは人間として、対等に扱ってほしい……そう、おっしゃられているのかもしれません」

 

「アルアさま……お優しい……!」

 

「――――――――――……」

 

わたくしの予想は、寸分違いなく。

 

彼女は背を向けると――大切なはずの羽を、背から引き抜かれました。

 

「……っ!」

 

「リリー。 どれだけの苦痛のはずですのに、あのようにされてまでわたくしたちを、安心させようとされているのです。 腕を引き抜いた痛みを……想像は、できるでしょう? ここは3人のように、素直な反応を致しましょう」

 

「はいっ……はいっ……!」

 

ごしごしと目元をこすり、御心に沿おうと決めた様子のリリー。

 

「神話でも、誰隔てなく――人間へも精霊へも、ときには魔族やモンスターへも平等に接せられたということです。 本当にお優しい方なのですね」

 

わたくしたちが安心したと理解されたのでしょうか、彼女は立ち上がり、身を改めていらっゃいます。

 

「きっと、あの御姿も仮のもの。 ノーム様のように体を維持する限界直前まで魔力を酷使され、今は少ない消費で維持できる御姿なのでしょう」

 

「わたしたちより、何歳か年上の……女の子の姿に……」

 

「ええ。 もしかしたらこの御姿すら、この世界に顕現された瞬間に創造なされたのかもしれませんね」

 

そうしてアルア様はわたくしたちを――まるで互いに知らなくておっかなびっくりの子供同士を世話するように、ひとまとめにして廊下へと促され。

 

「――――――……」

 

「ア、アルアさまっ。 そちらからは下の階層がご覧いただけますっ」

 

「強力なモンスターばかりで、わたしたちではとても歯が立ちませんが……」

 

――真っ先に、「家」の「窓」から覗ける外の光景――モンスターたちを確認されています。

 

【?】

 

ぴこん。

 

小さなノーム様の頭上に、何かが代わる代わる浮かんでいます。

 

「……あれは、何でしょう。 記号……?」

 

「ノーム様はご自身で会話できないほどに……けれど、きっとあのようにしてアルア様と意思疎通をされているのかと」

 

「なるほど……さすがおねえさま……!」

 

「アルア様、ノーム様。 先ほど助けていただいただけで、当分は襲われる心配もありません。 ありが――!?」

 

「――――――――――……」

 

ばさっ。

 

そんな、わたくしの言葉を待たず。

 

わたくしの、目の前で。

 

先ほど自ら引き抜かれたためか、背から離れてはいますが――ご意志には従うご様子で。

 

彼女の純白の羽が――羽ばたきました。

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