【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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221話 女神様を足止めしながらの戦い

あたしたちを呼び止めた女神様が、両手を使って数字を伝えてくる。

 

【45】

 

ついででちっこい方が頭の上に「数字」を出してくれる。

 

「45匹か」

「け、けっこう多いね……」

 

あたしたちは長い廊下の先を見つめる。

 

女神様に引率されての、いつもの魔物排除に道具入手の機会。

ついでで女神様じきじきに教わってる戦いの実践の場でもある。

 

「何から何まで世話になってんだ。 早いとこ教わることがなくなるくらいまで鍛えないとな」

「う、うん……こんなに効率的な戦い、あるんだね……」

 

「まー、女神様の索敵あってこそだけどなぁ……てか廊下の先とか部屋の中とまで見えるの、本当にすごいよなぁ」

「め、女神さまだから……」

 

例のごとくに言葉が通じない時間帯、あるいは場所。

 

それでもあたしはアレクと話せるし、今じゃ簡単な意思とか情報はお互いに体を動かしたりして伝えられる。

 

「かり、――」

「――……45」

 

3人も寄ってきて、あらかじめ決めておいた戦闘における符丁で布陣の確認。

 

んで、これも決めておいた順番で「お留守番」兼「足止め」役としてリリーとキャシーが女神様の元に戻っていく。

 

「あの魔法……ぜっったい撃たせちゃいけないからな」

「うん……洞窟ごと溶かされたら死んじゃうし……」

 

「初めて披露したとき、死んだと思ったしなぁ……」

「あれでものすごく弱ってるって……す、すごいんだね……」

 

――何日か前のこと。

 

上層の――あたしたちの落ちてきた階層。

 

下に比べたら弱いけど、それでもあたしたち5人にとっては強すぎる魔物たち。

そんなやつらの居るところで、魔法を使おうとした女神様。

 

……正直、わくわくしてたんだよ……使った結果を知るまでは。

 

お姫様たちが言うには、これでも相当に――何百、何千、何万分の1も実力を出せないほど。

 

なのに、たったの1発で洞窟はどろどろに溶けてやがった。

 

あとついでに羽で護られなきゃ、あたしたちも溶けてた。

 

「あれだけは繰り返させちゃならねぇからな……!」

「ぼくたち人間は、あんな温度に耐えられないもんね……」

 

だから。

 

だから、女神様に2度目を撃たせちゃならない。

だから、交代で両腕を取り、撃ちそうになったら体を張ってでも止める。

 

そう、みんなで相談して決めたんだ。

 

「――ある!」

 

「来たぞアレク!」

「うんっ!」

 

雄叫びを上げて突進してくる魔物たち。

 

数は……10以上。

 

あたしたちに気づいたやつから――見える距離になってこっちが幼いって気づいて、ご馳走を待ってましたとばかりにさらに速度を上げる。

 

「……こんなの、ここに来る前にゃちびるほど怖かっただろうけど……なっ!」

 

両手に持った弓矢をつがえ、まだちょっぴり怖いのをこらえ、じっと待つ。

 

――あたしたちの上を、赤と銀の魔法が飛んでいく。

 

キャシーとリリーの魔法だ。

 

「あ、当たりそう……だね」

「うし、あたしたちもだ!」

 

ビビー、アレク、あたしでつがえた矢を引き絞り――今!

 

魔法が当たった魔物から順に狙いを定め、動かなくなるまで3人順番に射っていく。

 

「弓で攻撃する前はひたっすらに固定の的で練習させられたからな!」

「つ、使ったことなんてほとんどないのに、もう弓だけで狩り、できるね」

 

「女神様すらヒマな時間には石とか投げたりして鈍らないようにしてるんだ。 あたしたちもしっかり当てる練習しないと……なっ!」

 

「――!」

 

「よし、下がるぞ」

「うんっ!」

 

今はビビーが指揮する番。

 

お姫様の指示の通りに撤退――んでリリーたちの魔法がまた飛んでったら撤退を中止、矢をつがえて撃ち続け、魔物たちが近づいて来たらまた撤退。

 

女神様に身振り手振りで教わった、女神様が後ろ固めててくれるからこその戦い方。

 

でも、おかげで弱かったあたしたちも――体感だけど、1日十数回の戦闘で数十日分の経験を得られているんだ。

 

「動いてるやつにも当てやすくなってきたし、ここから出て狩人でもして生きてけたら楽……だからなっ!」

 

そうだ。

 

女神様たちさえ居るんなら、きっとここから脱出できる。

 

――そのあとがどこだろうと、この調子ならきっと、このくらいの強さの魔物たちなんて相手にならないまで鍛えてくれる。

 

そんで――あたしたちの命続く限りに、アルテ様たちのこと布教するんだ。

 

 

 

 

ひゅんっ……こんっ。

 

こんっ。

 

「わな!」

 

「罠まで分かるってすげえよなぁ」

 

走る距離でさえも罠を発見して、近くに落ちるように石を投げてあたしたちがケガしないようにしてくれる女神様。

 

「あるて! ここ! わな!……んふーっ」

 

お、キャシー、昨日くらいから目が良くなったみたいだな。

 

あいつ、どうやら体に頼らない戦い方が得意みたいだしな。

んで女神様に撫でてもらいに行ってる。

 

「キャシーお姉ちゃん……元気になったね」

「最初のはそろそろ忘れてやるか。 怯えてちびってたの」

 

「お姉ちゃん……性格悪いよ」

「うっせ」

 

罠に気をつけつつ、落ちてる道具を集めるために散らばるあたしたち。

 

「~♪」

 

かちゃかちゃ。

 

女神様はというと――罠の真ん前に陣取り、あっという間にバラしていく。

 

【!?】

 

【怖】

 

【危険】

 

【離脱】

 

【オネガイ】

 

そんな女神様の周りをぱたぱたとぴこぴこと、ノーム様が楽しそうに舞っている。

 

「仲、良いんだね……」

「なんでも、本来はおんなじ背の高さだし、そもそもずっと昔から生きてるらしいからなぁ」

 

道具を5人で――周囲に魔物が居なきゃさすがに撃たないだろうし、そもそも罠をバラす遊びで楽しそうだし――集めては運ぶ。

 

きっと、あたしたちに仕事与えるためにあんなことしてるんだよな。

 

本当に、何から何まで世話してくれる女神様だ。

 

「お、酒」

 

「えーっと、これは……赤いやつだね」

「こっちのは透明……これは開けなきゃ分かんないやつか」

 

「女神様、この形の……すっごく濃いお酒、好きだよね」

「あたしたちが飲んだらすぐ寝ちまうくらいのでちょうど良いんだろ」

 

道具も、全部持って行けるわけじゃない。

 

だから、先に決めておいた優先度の順に持って帰るんだ。

 

えっと、まずは女神様が好きな酒だろ?

 

んで酒に合う塩っ辛いのとかだろ?

 

あとは……そうだ、女神様が好きな、良い感じの形の石ころも集めとかないとな。

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