【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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424話 女神の怒りと大神殿

【wait】

 

【待】

 

【stop】

 

【↑↑↑】

 

【静止不可能】

 

【代替案:】

 

【  : ready】

 

【顕現】

 

――わたくしたちが、アルア様への攻撃を少しでも逸らそうと、階段の出口から攻撃し始めてすぐ。

 

とてつもない量の攻撃が押し寄せてきて――急いで下がろうとして、みんなでもつれ合って。

 

間に合わない。

 

アルア様、ごめんなさい。

 

こんな無駄なことをして。

 

――そう懺悔しながら目をきつく閉じました。

 

「………………………………」

 

「………………………………?」

 

けれど、来るはずの衝撃はどれひとつとして来ず。

 

「おねえさま……?」

「……せーふぞーんだから大丈夫だったので………………!?」

 

リリーの声が聞こえて目を開けた、その先には。

 

「……ノーム……様……!?」

 

黒い髪、黒い服、黒い羽に真っ白な肌。

 

それまでは同じでも――アルア様と同じくらいの背丈になったノーム様が、わたくしたちを守るように立っていらして。

 

――わたくしたちの声に反応して振り向いてくださったそのお顔は――アルア様と同じもの。

 

「わぁ……」

 

【×】

 

ぴこん。

 

いけないことをしたときの、記号。

 

「ごめんなさい……」

「ごめんなさい」

 

【○】

 

下げた頭を上げると、今度は許してくださった記号。

 

「……おねえさま、地面が」

「ものすごい攻撃……だったのですね」

 

階段の出口が少し削れ、その外は――ノーム様の立っている場所以外はことごとくにえぐれています。

 

他の方たちも――残念ながらどなたとも言葉が通じる時間帯ではないようですので、アルア様の教えてくださった簡単な言葉で無事を知らせ合い――一様に、ほっとした顔で。

 

とんっ。

 

振りかえると――アルア様が、降り立っていました。

 

「アルア様……」

「ごめんなさい」

 

「ある……」

「のうむ……」

 

みなさんも口々に謝りながら頭を下げています。

 

こっそりと顔を上げると――とても、落ち着いた顔。

 

いえ、アルア様はほとんど表情を変えません。

 

けれどもそれが穏やかなものになり――

 

「――――――――っ!?」

 

ぞわり。

 

肌を突き抜ける波動――怒り。

 

それがほとばしり始めた彼女ですが、わたくしたちにそれを止める資格はありません。

 

後ろを向いた彼女は膨大な魔力を――それがこちらに向けられていないと分かっていても、お腹の底から凍るような負の感情の入り交じったそれを凝縮し凝縮し――やがては目でも見えるほどの濃度にし。

 

それはやがて、金色の鐘を――あちらがわに向けたそれへと形を変え――――――――

 

 

 

 

魔王軍。

 

きっとその主力を似合うでしょう戦力を、たったの一振りで排除された女神様は――ほほえみながら許してくださいました。

 

優しく抱擁して――ノーム様と代わりばんこにわたくしたちを抱き上げ、先ほどの怒りで破壊し尽くされた「ぼす部屋」を、破壊した壁の先へと連れて行ってくださいます。

 

「……ダンジョンの壁の先に、こんな空間が……」

「め、女神さまだから……でしょうか」

 

「え、ええ……過去、幾度となくダンジョンの壁や床を破壊する試みはなされましたが、どれとして成功したことはないと……」

 

ぱらぱら。

 

上からは、階段に入る前の階層の床でしょうか、その残骸が降り注いでいます。

 

「……これは、もう……上の階層を歩くのは危険ですね」

「お、お家がぶじだと嬉しいですけど……」

 

――ごいんっ。

 

「アルア様!?」

「大丈夫……みたいです」

 

わたくしたちの上に落ちてきていたらしい、大きな岩。

 

――どすん。

 

……それをアルア様の頭上の光輪が受け止め、また守ってくださいました。

 

そして連れて行ってくださった先。

 

そこには、

 

「おおきいですね……」

「こんなに大きな宝箱……一体何が入っているのでしょう……?」

 

アルア様の攻撃にも耐えた――恐らくは彫刻などと一緒に置いてあったでしょう宝箱が、地面に半分ほど埋もれています。

 

埋もれていてもわたくしたちの背よりも高い宝箱の蓋。

 

それを、羽で飛んで易々と外してしまうアルア様とノーム様。

 

――ずしん。

 

箱の蓋なんて要らないと、遠くへ放り投げ。

 

そして、中には――――――――

 

【SU-1】

 

「……これは一体……」

 

「――イスさんです」

 

ぽつり。

 

リリーには見覚えがある様子ですが、わたくしにはありません。

 

「それは……どういうものなのですか?」

 

「これで、飛ぶんです。 ちょっと怖いですけど、どこまでも飛んでくれる頼もしいイスさんですよ、お姉様」

 

振り返った妹の顔は――一瞬だけ、お母様を思い起こさせる顔つきで。

 

「どうされましたか? おねえさま」

「……いえ、なんでもありません」

 

まばたきを1回したあとには、もう普段のリリーに戻っていて。

 

促されるままに全員でその珍妙かつ不思議な物体に乗り込み――

 

「ひっ……!?」

「あるてー!? あるてー!!」

「ないない! ないない! ないないないない!!」

 

「ノームさま! 怖いですノームさま!!」

 

――乗り込むまでは、まるで何度も乗ったかのように慣れている様子だったのに、動き出したとたんに怖がってわたくしへひしっと抱きついてきます。

 

「リリー……」

 

――気がついては、いました。

 

リリーの様子のおかしさには。

 

けれど、それでもリリーはわたくしの――――――――

 

「……なんですか、あれは……」

 

「遺跡……なんだか怖いです、おねえさま……」

 

そんな気持ちは――壁を越えた先に、まるで深い森のように立ち並んでいた巨大な神殿の列で、吹き飛んでしまいました。

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