【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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476話 リリさんがビビさんとリリさんを推している

「――彼女たちは、王族として最後まで。 ……わずかな望みを託された、亡びる国の王族の、最後の希望として逃され。 泣きながら、ごめんなさいごめんなさいと――自分たちを逃してくれた家族や兵士たちの顔を思い浮かべながら、罪の意識に突き動かされて逃げ続け」

 

ふっ、と、僕を見上げてきたリリさんは――どこか苦しそうな顔をしていて。

 

「……女神様たちに、運良く導かれ。 モンスターを、魔王軍を封じ込める魔法により構成された、ダンジョン。 そこで、生きる術を教えられました。 ――ちょうど、今日のみなさんのように」

 

「……なんてこと……」

「じゃあ、他の使徒様たちも……!」

「魔王軍……なんて恐ろしい……」

 

【リリちゃん……】

【改めて聞くと重すぎる過去】

【だって……なぁ……?】

【ハルちゃんたちが降り立ったとき、本当にぼろぼろだったからなぁ】

 

「おうぞく」

「つよい」

 

「今、この瞬間のこの子たちは……みなさんよりも、数ヶ月鍛えただけの、まだまだ初心者の息を抜けません。 けれども」

 

ぽんっ。

 

2人の頭に、彼女の両手が置かれる。

 

「必ずや。 ――建国以来魔王軍と戦い続け、血を濃くし続けた王族の血は、必ずや。 みなさまを導き――この地のダンジョンをことごとく鎮め、みなさまの平穏を取り戻すでしょう」

 

「リリ……」

「…………」

 

まるで、お姉さん――ううん。

 

母親。

 

そう、まるで母親みたいな覚悟を含んだ表情を向けられた人々の顔は――全てを理解したようなものになっていて。

 

「……神は、人が克服できない脅威だけを屠り、神話から去るもの。 そのあとに残された人は、人だけでこの先を乗り越えねばなりません」

 

「……そう、だな」

「ええ……」

「俺たち、そこの姉妹ちゃんたちから魔法教わったんだ」

「ああ、戦い方もすべてな」

 

「危機を乗り越えたと確信するまで、どうかこの子たちを仮初めの王として戦い――あなたたちの故郷を奪還するまではためかせる旗としてくださいませんか。 そのあとのことは……」

 

どうしてリリさんが、あの子たち――ビビさんとリリさんを王様?にしたいのかは分からない。

 

けども、ノーネームさんがわざわざやっていることなんだ。

 

なら、

 

「……僕からも、お願いします」

 

「女神様……!」

「アルア様……」

「アルア、さま……」

 

ふわり。

 

ずっと剣を差し出したままの姿勢で――疲れそうだけど、やっぱりいつものなにも読み取れない無表情のノーネームさんだ――固まって、ちらりと見てくる彼女の横に、降り立つ。

 

「そうです。 僕は、ここにいつまでも居られないんです」

 

ノーネームさんは言っていた。

 

今、この世界中で同じことが起きている。

 

だから、長くて1週間おきに移動して、別のところへも援軍に入らないと間に合わないって。

 

「それに……考えたら、この子たちを預ける人のこと、考えていなかったんです」

 

5人も子供を抱えて――なにがあっても生きられるようにってダンジョンでのノウハウは叩き込んだけども。

 

当時はあのダンジョンのことしか考えていなかったから意識していなかったけども――あの異世界で、この子たちの親みたいなのは居なかったと思う。

 

つまり、この子たちは――天涯孤独。

 

「信用できる大人の人――多ければ多いほど良いんです――に、任せたかった。 けど」

 

顔を上げると、たくさんの人たち。

 

お年寄りから学生まで、男女問わず武装をしている、つい今朝までは戦ったことなんてなかっただろう人たち。

 

彼らの真剣な目が、僕を見てくる。

 

「――彼女たちと、このダンジョンを奪還する、あなたたち。 ……別に王様じゃなくっても、誰かのお家の子供としてでも良いんです。 預かって――もらえないでしょうか」

 

【ハルちゃん……】

【そっか、子供たちのこと、守ってきたけど】

【あっちの世界からこっちに来ちゃったんだもんなぁ】

【あー、それで】

 

【ハルちゃんたちがこのあとどうするのか分からないけど、ずっと連れ回す……ってのは、ハルちゃん的にはNGっぽいし】

【ハルちゃんたちは人を見守る女神だからね  育てた子供を信頼できる人に預けたいんだろう】

 

「――私たちは、貴女様に救われました」

 

すっ。

 

なんとなく見ていた町の人たちの会話的に、古株っぽいおばあさんが切り出す。

 

「女神様たる貴女様の、使徒様。 ――誰が文句を言いましょう」

 

「そうだ!」

「世界中でこうなっているんなら、俺たちの国もどうなってるか分からないしな……」

 

「僕たちの祖先はかつて、王を追い出した。 でもそれは……魔王軍とかいう、歴史にも居なかった存在が姿を見せていなかった平和だった時代だったからこそ」

 

「こんなときにみんなで話し合うんじゃ間に合わないもんな」

「うちの国は特に議論がまとまらないって有名だものね」

「ああ、今朝だって延々話し合っていたからな……」

 

「俺は美人さんならなんでもいい」

「将来はあんな美人になるだろう姉妹が女王……踏まれたい」

「長靴の国の血を引いてるやつらは黙ってろ」

 

【草】

【草】

【良い流れだったのに……】

【まぁ、ナンパが生き甲斐のやつらだから……】

【でもビビちゃんとリリちゃん、たぶん……いや、ほぼ確実にムカ着火ファイヤー女王様&人類最強格ダンジョン潜りの美人姉妹に成長するから……】

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