【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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478話 【女神の授けし剣で魔王を打ち倒した国王姉妹】

すっ。

 

ノーネームさんが無言で合わせてくる剣を、僕も片手で持ち上げる。

 

「おお……」

「綺麗な剣……」

「王権神授……かつてのこの地で王国の権威の象徴だった……」

 

ざわざわ。

 

光る剣が珍しいのかざわめくみんなを尻目に、1歩1歩と姉妹の元へ。

 

【白の天使と黒の天使がなんかすごそうな剣を……】

【なんかもう歩いてるだけで画になるハルちゃんたち】

【ガチの女神だからな……】

 

「……さぁ、2人とも」

 

「……はい」

「…………」

 

リリさんが見守る中、しずしずと出てくる2人。

 

「……ハル様。 ひとことを」

 

「え? あ、はい」

 

リリさんってさ、なんか僕のこと異様に高く評価してるよね?

 

んでなにも言わなくても通じるっていう女の子たちが持ってる発想で押し付けてくるよね?

 

いやまぁ良いけどさ……僕はそういうの得意じゃないんだけども、ノーネームさんはもっと苦手だし、僕がやるしかないし。

 

「……ビビさん、リリさん」

 

「「はい」」

 

しん。

 

静寂が――

 

「……ハッ! 下等生物ぶごっ」

「お黙りなさい」

 

あ、まーた憎まれ口叩いた親戚さんが、一瞬で移動してたリリさんに拳入れられてる。

 

【草】

【おいトカゲ、今良いとこだから静かにしとけ】

【てかコイツ本当しつこいししぶといな】

【なにしろ魔王Gの親戚だからね】

【何回炭火になれば気が済むんだろうね】

 

【主人公たちの会話を敵が邪魔しない不思議の謎はこれだったか……】

 

【草】

【そういやそうだわ草】

【瀕死のまま10分くらい放置されてるからね、親戚さん】

【ちょっとかわいそう】

【なんかちょっと回復してはぶっ叩かれてて草】

【そのまま黙ってれば良いのに……】

 

【トカゲとしての無駄なプライドで無理だろ】

【それな】

【なんか滑稽で哀れだけど】

【だが】

【慈悲はない】

 

「ビビさん、リリさん。 ……残念だけど、君たちを親御さんの元に連れてくの、難しそうなんだ。 どこに居るのか分からないし」

 

生きてるのかどうかさえ――ってのは、言わない。

 

「はい」

「かくごは、していました」

 

「でも、君たちならここでやれそうだって、おっきいリリさんが言ってる。 ……違う世界ではあるけど、やれそう?」

 

「アルア様が、望まれるなら」

「ノームさまが、授けてくださるなら」

 

何らかの儀式っぽく腰を下ろし、片膝を突いた状態で腕だけを上げてくる姉妹。

 

やっぱりこの子たち、異世界の人なんだね。

 

「……みなさん。 この子たちのこと……お願いできますか?」

 

「もちろんです、女神様」

「双神様の『お願い』ならば、断ることなんて」

「私たちは、貴女方に救われました。 無論でございます」

 

振り向くと――まーた地面に座り込んだり深くお辞儀したりしている町の人たち。

 

……みんな、そういうの好きだね。

 

僕はもうちょっと気楽な関係の方が好きだけどな。

 

僕なんかただの幼女だよ?

羽とか生えてるけどさ。

 

「じゃ。 ……ノーネームさん」

 

「ん。 あげる」

 

小さな金属音を立てる剣を傾け――4つの手のひらの上に、豪華な装飾のある鞘に収まったそれを、そっと置く。

 

【さっき現地の人が言ってたけど……】

【王権神授……】

【王剣神授?】

【それでも良いな】

 

【もしかして:神話】

 

【これがそうでないとでも?】

【これが11年前のあの日に起きていたとはな……】

【よく秘密にして守って……いや、するわな】

【ああ】

 

【自分たちを救ってくれたハルちゃんたちのこと、なんかの理由で「今日まで秘密にして」って言われたら、絶対聞くよな】

【誰だって聞くわな】

 

【魔王軍が攻めてきた初日に主力部隊を壊滅させて(byアルちゃん&ノームちゃん)、それらの大半を地面に封じて(byノームちゃん)、人々を助けてから導いて魔王を討伐させる(byハルちゃん&ノーネームちゃん)、あとついでに使徒っぽいすごい力持った子たちも手伝ってくれる……どう考えても神話で盛ったとしか思えない事象なんだよなぁ……】

 

【女神が4柱も降臨して救ってくれたらなぁ】

【宗教とか弱めた科学が役に立たないのはダンジョンの出現でこれ以上なく実感できてるしなぁ】

【だからハルちゃんたちが女神とか、案外すんなり納得できるんだよな】

【な】

 

「……リリ」

「はい、おねえさま」

 

頭を下げてから立ち上がった姉妹は、息もぴったりに振り向き――剣から鞘を抜いて。

 

「こちら、預かってくださいますか。 戦いの終わる、その日まで」

 

「――もちろんです、我らが王よ」

「人々の、希望の剣……この鞘に収める日を、お待ちしています」

 

その鞘は、ささっと寄ってきた町の人がうやうやしく受け取って。

 

抜き身の剣を支え合いながら――振り返る。

 

「……申し訳ありませんが、倒させていただきます」

「いただきます」

 

「……おの、れ……」

 

2人は、その剣を高く掲げ――――――――ひゅんっ。

 

「――――――――必……ず…………や……」

 

……どすん。

 

どうやら体を維持するのも精いっぱいだったらしくっていうかたぶん僕たちが憎いっていう根性で耐えてたらしく、彼女たちが首元を切った瞬間に――おっきな結晶になった。

 

おー……あんなにでっかいの、初めて見た。

 

やっぱり、あの魔王さんに近い力、持ってたんだね。

 

……これでちょっとは反省して、「自分がいちばん強いから何やっても良いんだ!」ってやんちゃ精神抑えてくれると嬉しいんだけどなぁ……なにしろしつこい人の親戚さんだからなぁ……。

 

「おお……!」

「魔王を……!」

 

「――今、この場にて宣言」

「いたします」

 

剣を2人で持ったまま振り返った姉妹が――ボスフロアに響く声で、言う。

 

「――私たちは、今、この瞬間から」

「女神に剣を賜る栄誉を浴びた者として」

 

「この力で、この地の人々の安寧をいつの日かもたらすと」

「誓い、ます」

 

その声に、今日でいちばん大きな歓声を上げる町の人たち。

 

……ふぅ。

 

これで、この子たちもこの人たちも、もうお世話焼かなくて大丈夫そうだね。

 

残りの子たちは――うん。

 

今みたいな感じで、他の町とか行ったときに相性が良さそうで信頼できる人が居れば任せようかな。

 

そうじゃないと――心残りがあると、家に帰れないもんね。

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