【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「……アル様ぁー!」
「お?」
いろいろ疲れたからひと休みしようと思った矢先、聞き慣れた声が飛んでくる。
「……キャシーさん。 ……なんで屋根の上に?」
こっちに向かって両手を振ってるのは、赤髪のキャシーさん。
なんだか足元にいっぱい機械があるけども……。
「……きゃっ!?」
「――――――――っ」
ぐらっ。
結局、他の4人と比べて戦いは不得手みたいだった彼女。
斜めな足元の屋根瓦が崩れ――僕は翼を後ろに押し出して、顔に風を受ける。
「――――――――……っと、危ない危ない」
「ひゃあ!? ……あ、ありがとうございます……」
【あっぶえ】
【セーフ】
【ハルちゃん俊敏だったね】
【本気出せば素早いからね】
【やっぱり機動力……ハルちゃんに足りなかったもの……】
【なおその結果】
【くしまさぁんが犠牲に……】
【草】
【かわいそう】
そういやこの子がしゃべってるの聞くのは新鮮だなぁ。
あ、理解できる言葉でって意味ね。
他の子も同じだけど、なんとなくこの子だけ口調が予想できなかったし。
あと、やっぱこの子は華奢だなぁ。
そんなことを思いながらふよふよと元の場所へ。
「あ、あのっ、ありがとうございます……」
うーん。
やっぱ、何言ってるか分かると、おんなじ声でも違う聞こえ方になるね。
や、同一人物なのは分かってるけどさ。
【キャシーちゃんかわいい】
【おっちょこちょいでかわいい】
「それで、何してたの?」
「あ、はいっ。 借りた望遠鏡で周囲を観察して、町の人のノートパソコンの中に保存されてた地図と照らし合わせて地形を把握したりしてましたっ。 オフラインの地図、お仕事で保存してる人で助かりましたっ」
どや、と年季の入ったそれを掲げる彼女。
「おー、えらいえらい。 地形の把握は大切だもんね」
「えへへー、アル様に褒められたー」
【かわいい】
【かわいい】
【この子、こんなしゃべり方してたんだ……】
【他の子たちがどれもクセある分、普通なのが新鮮だな……】
【ああ……】
【普通って良いよね】
【地味って良いよね】
【分かる】
【見た目は赤毛だしかわいいしで地味でも普通でもないんだけど、性格がってのは大切ね】
【言葉が分かるようになった分、みんなイロモノだって判明したからな……】
【もしかして:この子が唯一の癒やし】
【草】
【い、一応、みんなかわいいから……】
【しかし、地味、動くのは苦手……くしまさぁんと同じ属性……?】
【!!!!】
【まさか……】
【女神に……?】
【草】
【少なくとも母性と威厳にあふれた女の子になれるよ!】
【くしまさぁん is goddess】
「それで、少し前からたくさんの車が……あ、えっと、車っていうのは……」
「あ、うん、知ってる。 さっき町の入り口に来てた」
「さすがアル様です!」
「そう?」
「ファンタジーゲームみたいな世界の人なのに、あ、違った、神様なのに一瞬で分かるだなんて!」
「そう?」
僕、違うんだけどなぁ……ていうかキャシーさんって普通にこの世界の人だったりする?
まぁいいや、それならこの子の両親とか見つけられるかもしれないし。
【ノートパソコンとか知ってて使いこなせてる?】
【ゲームとか知ってるし、この子だけ現代人?】
【姉妹は中世の王国、姉弟は……野生児っぽいもんなぁ】
【草】
【お、弟くんの方はまだマシだから……】
ひらひらと彼女の居た元の場所へ着地。
あ、屋根裏部屋と繋がってるんだね……こういうとこ好き。
「あ。 町の外から来た人たちのお相手、しなくて良いんですか?」
「九島さん……えっと、髪の毛後ろでまとめてる子に任せてる」
「あ、はい! あのお姉さんなら大丈夫そうですね!」
「うん、だから預けてきた」
そうだよね、キャシーさんは九島さんと一緒だったもんね。
九島さんならなんでも任せられる信頼があるし、これからも手当たり次第に投げていこう。
「なにかあったらあの子に聞いてね」
「はい!」
【かわいい】
【かわいい】
【でも……】
【預けて……きた……?】
【????】
【草】
【ハ、ハルちゃん的にはそういうことだから……】
【あー、子供がさりげなく親を押し付けて逃げるみたいな】
【草】
【ハルちゃん、こういうときは本当に子供なのね……】
【あの、ただの面倒くさがりなんじゃ……?】
「……ふぅん。 ここ、美食の国の南東……長靴の国との国境に近いんだ」
「あれ? アル様、フランスとイタリアのこと知ってるんですか?」
「うん、似てる地形と国をね。 似てる世界ならおかしくないけど」
「へぇー……さすがは女神さま、なんでも知ってるんですね!」
「なんでもは知らないけど……ま、そこそこね」
「じゃあ、私の故郷のアメリカも知ってますか? 新大陸でいちばんおっきいの!」
「合衆国のこと? うん、知ってる」
「わー! なんだか嬉しいー!」
屋根裏部屋、ぎしぎし言う床の上で飛び跳ねるキャシーさん。
「あ、君、そんなことしたら――」
「わー……へぶっ!?」
――足をもつれさせて……良かった、顔から落ちたけど備え付けのベッドの上で。
【草】
【かわいい】
【もしかして:キャシーちゃん、ドジっ子】
【しまった……るるちゃんとキャシーちゃんでドジっ子が被ってしまった……】
【なんてこった……】
【草】
【る、るるちゃんはドジっ子解放されてるから……】
【あー、ノーネームちゃんのいたずらだったんだもんね】
【だから新鮮なドジっ子が必要だったんですね】
【なるほど】
【草】
【あの子たちの中で、この子だけが現代人っぽいからなぁ……】
【現代、それも合衆国っぽい名前の国出身なら、運動はあんましないし……】
【ダンジョン……よく生き延びられたね……】
【女神たちと4人に守られてたから……】