【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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485話 つかの間の休息 その1

「ふーん。 ここって10年前の世界だったんですか」

 

「いえ、正確には11年前……私たち、ないないしていただいたりしまして、時間がずれていますので」

 

「あー」

「うーん、なんだか不思議な感覚だよねぇ」

 

「不思議ですが、正直ノーネームたんに異世界の過去を宇宙空間から観せられた私たちとしましては……」

 

「えみさん、少しは抑えましょうね」

 

その夜。

 

町の人たちに「せめてこの町の最高級のおもてなしを!」ってことになって――んで「最高級のレストランはうちだ」「いやいやうちだ」「最高級ホテルはうちだ」「バカ言うなうちだ」「ネットの評価……見れねぇ!?」とかすったもんだして。

 

で、結局はリリさんの鶴の一声で全部決めて。

 

「そういえばどこ行ってたんですかリリさん」

 

「ええ、ちょうど真夜中になってから襲撃してくる予定でした、あふれるはずのダンジョンを狩りに」

「へー?」

 

なんだか不思議なことを言っていたけども、そんなことより町の人の秘蔵のワインがおいしいからどうでもいいや。

 

【草】

【軽いノリのハルちゃん】

【違うぞ、どうでもいいんだぞ】

【そうだろうなぁ……】

【お酒でめっちゃ嬉しそうだし】

 

【でもハルちゃん? さすがにそこが11年前のあの日の世界だって聞いたらちょっとはびっくりしようよ?】

 

【無理でしょ】

【無理だな】

【無理だね】

【興味ないことには一切興味なし……それがハルちゃんだからな!】

【草】

 

【しかし、長い1日だった】

【本当にな……】

【※この映像で発狂者が世界中に】

【そらそうよ……】

 

【11年前に起きてた真実が生中継だったんだからねぇ……】

【しかもハルちゃん、るるちゃん、えみちゃん、九島さんの4台のカメラで】

 

【結局リリちゃんの配信、アカウント発掘されたんだっけか】

 

【ああ、ハルちゃんみたいにアカウント名もなにもかもデフォルトにしてたから王国関係者しかフォローすらしてなかったと】

 

【もしかして:そこまでハルちゃんの真似】

【違うぞ、狂信者だぞ】

【全肯定もここまで貫くと清々しい】

 

「もういっぱい」

「あ、ありがとうございます……くぴ」

 

今は夕食――のあとの、ぼんやりした時間。

 

コース料理出してくれるって言うからお店に来て、「あれ、そういや僕たちお金持ってない」って言ったらリリさんが「持ってます!」ってどや顔でお財布出して。

 

でも「いやいや恩人どころか神様たち相手にお金なんて!」ってことでおごってもらえることになったらしく、僕たちは好きなだけを遠慮なく飲み食い。

 

や、せっかくの厚意だもん、こういうのは遠慮とかしないのがマナーだもんね。

 

それに電気が通ってないから冷蔵庫の中の生の食材とか食べ切っちゃった方が良いみたいだし、ワインセラーのワインたちも停電する期間が長くなるほどにおいしくなくなるからね。

 

決して、本場だからワインは地下のタルの中で、だからそこまで影響ないって知ってても、そこは勧められるままに呑むのが礼儀だよね。

 

「くぴくぴ……ふぅ」

「くぴくぴ」

 

「ふふっ、ハルちゃん、おいしそー」

「アル様はお酒が大好きだものね!」

 

【かわいい】

【かわいい】

【かわいいいいいいいいいいい】

【あいかわらず、どっちに「かわいい」言ったか1発で分かるな!】

【瞬間判別機ないない】

【草】

 

「しっかしここ、メシうめーな」

「お姉ちゃん、ほら、ぼくみたいにこのふぉーくっての使おうよぉ」

 

「良いと思いますよ? おふたりは箸を使う文化圏の出身なのでしょう?」

「ち、ちほお姉さん……お姉ちゃん、ほっとくと手づかみしちゃうので……」

 

【しかしにぎやかになったなぁ】

【すっかり大所帯に】

【地球組と異世界組が合流したからな】

【あー、異世界の決戦の最中に子供たち行方不明なってたからなぁ】

【しかもそのときまでリリちゃん行方不明だったし】

 

【ただ残念なのは、こっちのコメントを見てもらったり読み上げがないのがな……】

【途中、できてたっぽい瞬間はあったんだけど】

【ノーネームちゃん?】

 

「たいむ、ぱらどっくす」

 

「? タイムパラドックスですか?」

「んむ」

 

ぽつりと――天井の隅っこを見つめながらつぶやくノーネームさん。

 

そういうところ、本当に猫みたいだね。

 

「11年前のあの日に来ちゃってますからねぇ」

「んむ」

 

「でも、ノーネームさんがしたってことは大丈夫なんですよね?」

「むふん」

 

無表情から漏れ出る自信なノーネームさん。

 

あ、ちょっとだけ羽の先っぽがふぁさってなってる。

 

【かわいいいいいいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいいいいいいい】

【ノーネームちゃん情報ありがと】

【その情報と引き換えにまーたないないして……】

【草】

 

おいしいものを食べて飲んで、みんなが傍に居てほわほわ。

 

……けど、さすがはノーネームさんだね。

 

10年前、あ、いや、11年前に戻って来ちゃうだなんて。

 

……ん?

 

そういや僕――11年前の「あの日」、何してたんだっけ?

 

たぶん世界中――僕の住んでたド田舎でも大騒ぎだったって話だし。

 

「うーん?」

 

……そもそも僕、なんで「ダンジョンとかが流行りのゲームとかアニメとかの話題だろう」だなんて思い込んでたんだろ?

 

よくよく思い出してみれば「その日」からずっと連日テレビでもやってたし、ダンジョンの話題とかも毎日やっててそれも見てたはずなのに?

 

「うーん?」

 

「もういっぱい」

「あ、ありがとうございます……くび」

 

……まぁいいや。

 

僕の家の近くにはダンジョンとか湧かなかったし、知り合いの誰も被害を受けた記憶はないし……幸運にも無事だったから、当時の僕はそこまで興味なかったんだろう。

 

うん、きっとそうだ。

 

でも、僕の性格で、いくらなんでもここまで完全に気にならなかったってこと、あるのかな。

 

………………………………。

 

……ま、きっとその時期は長編小説にでも夢中になってて他のことが全然頭に入らなかったんでしょ、きっと。

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