【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「ねぇ! お願い! さすがに『あの人』とか言われるのは心に来るの……!」
「うん、さすがにちょっとかわいそうかも……ちほちゃん?」
「それにはまず、せめてハルさんへの呼び方を直しましょうね」
「それはそうだと思うよえみちゃん……うん……」
「ぐっ……!」
「ぐっ、ではありませんよ?」
「えみちゃん……」
【草】
【草】
【るるちゃんでも擁護できないか……】
【いや、まぁねぇ……】
【正論過ぎるド正論だし】
【えみちゃんがもうちょっとだけ……無理か】
【草】
【でもくしまさぁん、ちょっと嬉しそう】
【けちょんけちょんだけど、それでもえみちゃんも友達だからね】
【そうかな……そうかも……】
【まぁ本当に見放していたら逆に普通に事務的に接しそうだし】
【それはそれで興奮しそう】
【分かる】
【でも名前呼んでもらえてないよ?】
【それが精いっぱいの愛情表現だから……】
【草】
【うん……えみちゃんのロリコン度は俺たちをも圧倒するから……】
【単純に自制できてないのが問題なだけっぽいしなぁ……】
えみさんは……うん。
禁断症状が出てたからはぐしてあげたら鼻血でぶっ倒れるし、お風呂のあとに裸で出てあげたら血を吐いて倒れるし、一緒に寝てあげたら翌朝居なくなってて、ノーネームさんに聞いたらないないしてたって言うし。
ないないの理由。
えみさんは僕へ手を出せる度胸は、ない。
いつもこれだけしときながら、肝心なことをできる度胸は存在しない。
だから――つまり、出血多量とか心拍数とか血圧とかが上がりすぎて危険水域に達して、さすがのノーネームさんもかわいそうって思ってないないしてあげたんだろうね。
……まさか、僕と一緒に布団の中で寝てるだけで死にかけるとは……ちゃんとパジャマ着とかないと翌朝冷たくなってそうでちょっと怖い。
それが分かって、何回るるさんが叫んでたことか……あと九島さんがすっごく冷たい目で見下ろしてたことか。
ごめんね……君の残念すぎる魂のこと、ちゃんと理解できてなかったよ。
というか真面目に、よくこれまで自制どころかバレずに済んでたね……ほんとに。
せめて僕だけは、男心を理解できる僕だけはそばに居てあげるからね……あとちょっとおもしろいし。
次は……んー、シャツ1枚でひらひらしてあげよっと。
「……ハルちゃんっ」
「るるさん」
「んむ」
ぽふっと僕――と、いつものことながら真横に居たノーネームさんを後ろから抱きしめてくる、くせっ毛で首筋とか耳とかをくすぐってくる――るるさん。
「んー……っ」
くすぐったい。
こしょばゆい。
けど、これがるるさんの愛情表現だから我慢我慢。
【るるちゃん……】
【ぶわっ】
【ああ、ふたりはるるハルが……】
【やっぱりこれだよな】
【分かる】
【なぜか無性に感動するんだよな】
【分かる】
【だって、ずっと待ってたからね……】
【闇堕ちするくらいには大好きだからね】
【ヤンデレるるちゃんにこうふふふふふふ】
【あーあ】
「……私たちのこと、呼んでくれて、すっごく嬉しかった。 一緒にたくさんの人たちを助けられて、すっごく嬉しかったよ、ハルちゃん」
るるさんが――ちょっとだけ大人びたけどそんなに変わっていない彼女が、耳元でささやく。
「はい。 来てくれてありがとうございます」
「んむむむ」
「ハルちゃんにならいつだって飛んでいくからね。 ……お風呂とおトイレのときだけは、先に知らせてほしいけど」
「トイむむむ」
「そこまでの緊急事態はそうそうないと思いますよ」
呼んだのはノーネームさん――なのは、まぁ、言わなくてもいいよね。
あと、ノーネームさんもそれくらいは配慮……するよね?
【草】
【るるちゃんが恥じらっている】
【るるちゃんも女の子だからね】
【乙女過ぎるから勢い余って黒く染まるからね】
【あの、ノーネームちゃんがるるちゃんのお腹に顔突っ込んで】
【ノーネームちゃん……】
【この女神……自分だけ……】
【ノーネームちゃん、恋愛対象がね……】
【ま、まあ、るるちゃんもハルちゃんも気にしてないから……】
【それが悪いのでは?】
【無知っ子にいたずらする的な悪さが……】
【ノーネームちゃん?】
【ピーガガー】
【草】
【ノーネームちゃん、そのネタ今の世代には通用しないってば】
【大丈夫大丈夫、動画サイトとかで真面目に解説してくれてるから】
【草】
【昔の知識とかって、完全に別の世代の方がそういうので詳しいよね……】
「けれど、残念ですね……」
「この町と同じように、ずっと手助けできたらとは思いますが」
ふわりと名残惜しそうに体を離したるるさんの左右にえみさんと九島さんが――少しだけ寂しそうな顔をしている。
「ノーネームちゃん、ないないばっかりでムリしてるみたいだもん。 今回だけでもお手伝いできたの、感謝しとかないとだよ!」
――3人は、もうすぐ消える。
ノーネームさんが「ないない」して連れてきてるのが結構負担らしく、だからこの町を離れるタイミングで「ないない」し直すんだとか。
……本当に11年も時間を越えて人を運んできてるなら、確かにそれはものすごく大変なことなんだろう。
そうでなくとも、この前の異世界とはまた別のとこと繋げてるってことだし。
そもそも僕たち自身も――あ、や、ノーネームさんは途中から居たから僕だけかな――ともかくこの僕がここに居るのも、あともしかしたらこの体そのものも、ノーネームさんがずっと維持してるのかもしれないし。
……そうだよね、言う機会なかったし、聞いてもたぶん目を逸らして知らんぷりするだろうから聞かないけども、僕が女の子になったきっかけのダンジョン内の「願いの泉」からしてノーネームさんの――わざとかどうかはともかく、いたずらが発端。
それを、たくさんの人たちをないないしたりいろいろし続けてる状態で僕にもやっているんだ、負担は計り知れない。
だからせめて、普段から体をまさぐってきたりすんすんしてきたりする程度は許してあげないとね。
大丈夫、えみさんと違ってやらしい感じはしないから。
ちなみにえみさんの目つきは――うん……男が好みの女の子を見るときのあの感じだね。
でも自分からは手を出さないってのはすごい自制力だと思う。
るるさんからも悲しそうな目で見られているけど、僕は褒めてあげたい。
九島さんからはけちょんけちょんだけど、僕は褒めてあげたい。