【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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498話 イスさんの上、6人で朝食を

「……んぇ」

 

んー。

 

なにか、懐かしいものを思い出してた気がする。

でも夢ってそんなもんだよね。

 

経験したはずのないこと、会ったはずのない人との記憶を脳みそが記憶の整理のために作り出すんだ。

 

脳科学の本で、そういうのを読んだことあるもん。

 

あれ、脳科学?

 

………………………………。

 

……つい今し方まで見ていた夢に、ちょろっと出てきたような?

 

ま、起きてぼーっとしてる時間が終わると消えちゃって「不思議な夢を見ていたことすら忘れる」んだからどうでもいいや。

 

「……ん? ノーネームさん?」

「うゆ」

 

気がついた僕は体を起こし――起こして――起こせない。

 

「……2人分減ったって思ってたのに、実質的に2人分増えちゃってるなぁ」

 

白髪姉妹――ビビさんとリリさんを預けたけども、代わりになぜかおっきいリリさんが飛び込んできたからね。

 

小学生の子供と、高校生くらいじゃあねぇ……女の子とは言ったって、平均体重的にも倍くらいになってるし。

 

「わ、私、そこまで重くないですハル様!!」

「あ、ごめんごめん、そういうつもりじゃ」

 

僕にしがみつくように――なぜかいつからか寝てるあいだに両腕を万歳する形になってる僕の寝起きの態勢に、その腕の下に。

 

脇の下にお顔もお鼻もすっぽりはまる感じで寝てたらしいリリさんが、僕のつぶやきに一瞬で反応する。

 

ああ、女の子って体重のこと、やたらと気にするよね。

 

もっと太って良いのにね。

ほら、男ってむちむちなくらいが好きって言うし。

 

え、僕?

 

僕は特にこだわりがないっていうか気にしないし……そもそも今は僕自身が女の子だし。

 

「……はっ!? アルテ様と寝てたのにもったいねぇ!!」

「嗅ぐ前に寝ちゃってて……あ、ノームさまも寝てたんですね」

 

「……あれぇ? キャシーのお誕生日のパソコンはぁ……?」

 

「んむ」

 

リリさんの反対側には――ノーネームさん、アリスさんにアレクくん、んでキャシーさんの4人が潜り込んでいた。

 

いや多いよ……君たちは猫かなにかなの?

 

人体のあったかい部分を見つけ出して潜り込んでまるまる種族かなにか?

 

ちょっぴり悪い寝相のおかげかさすがに股ぐらには突っ込まれてたことないけど、君たちと起きるといつもこうなってない?

 

あ、でもノーネームさんはそれっぽい。

 

猫って感じだよね、この子。

 

「はやす?」

「いや別に」

 

「んむぅ……」

 

「……生やしたければ生やせば良いんじゃないですか?」

 

なぜか自分に猫の耳かなにかを生やす話に積極的なノーネームさん。

 

……ノーネームさんもまた、ちょっとだけ人の心読んでくるよね。

 

まぁノーネームさんなら別にいっかって思うけどさ。

ノーネームさんだからね。

 

「すき……♥」

 

「で、ここ、どこですか?」

 

いつもみたいにひとり言が始まったノーネームさんを置いておいて、僕は――あの地下でいつも子供たちとくるまっていた布団から体を起こす。

 

薄暗い空間。

 

風が吹いている。

 

……それしか情報が無い。

 

「ないない」

 

「ないない中なんですか」

「ないない」

 

「いつ出られるんですか?」

「ないない」

 

「……ていうかイスさん、自動航行モードになってるんですね」

「ないない」

 

「そんな便利機能があるんならさっさと言ってくれたら良かったのに」

「ないない」

 

「ノーネームさん?」

「ごめん」

 

よし、ノーネームさんが冗談言ってるってことは、この状況は彼女が狙ったもので安全と。

 

「あははっ、ノーム様っておもしろかったんだなぁ! いつもぴこぴこしてたの、こういうこと言ってたんだあっははは!」

「だ、ダメだよお姉ちゃん……神様なんだから……」

 

「ふぅん……ワープ中って感じなのかしらね。どの理論でのワープなのかとか気になるけど、それを神様から聞いちゃうってのはちょっと違うし……」

 

じゃれ合っている姉弟の横でぶつぶつ言っているキャシーさんが癒やし。

 

……今度キャシーちゃんと科学とかSFとかパソコンとかの話してみよっかな。

 

他の子には……うーん、魔法のこととか聞いたりしてあげれば誰かひとりが「自分だけ構ってもらってない!」って子供らしく怒ったりしないよね。

 

大きなリリさん?

 

久しぶりだけどぜんっぜん変わってないからほっといてもいいんじゃない?

この子たちとは違って高校生だし。

 

「ノー……ネーム様。次の場所は」

「ん」

 

「そうですか。始原の序列1位の、あの方の……」

「んむ」

 

……あとさ、ノーネームさんとリリさん……いつの間にそんなに仲良くなって、ついでで圧縮言語で通信してるんだろ?

 

「ノーネームさん、着くのは? ……そうですか、分かりました」

 

ごそごそときちゃない袋さんを探り探り――あった。

 

「アル様のなんでも出てくる袋って、まるでアニメーションの青いタヌキみたいね」

 

「なんだそれ?」

「ぼ、ぼくたちの集落の村長さんとかが持ってたみたいな収納の加護……だよね。すっごくたくさん入るみたいだけど……」

 

言葉が通じるようになってるとあって、みんなのそれぞれの話とかつぶやきを聞いていて楽しい。

 

やっぱり言葉が分かるって素敵だね。

 

「じゃ、バゲット――硬いパンにハムとかレタスとかチーズとか挟んだやつ。出発するときにこういうのたくさんもらったから食べよっか」

 

なんだかこの感じ、1日登山とか旅行とかピクニックとかって雰囲気で楽しいね。

 

ほら、初めての場所で食べるごはんってやつ。

 

やっぱり非日常って素敵だね。

たまにだから素敵なんだけどね。

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