【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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499話 アリスアレク姉弟が落っこちた

「このおいしいのは、一応、多分、もしかしたら僕の出身かもしれない世界だと思うとこの、ちょっと遠い地域の名産品――あ、僕、あんま関係ないやこれ」

 

よく考えたら、普段僕たちが食べてるごはんって半分以上が洋食――すっごく離れた場所ルーツのごはんだった。

 

ただ食べ慣れてるだけっていう。

 

現代ってすごいね。

 

昨日まで居たあそこも欧州っていう、僕の家からは飛行機で十数時間の距離な場所に近い雰囲気で。

 

しかもリリさんとかによると、あの世界はなんか10年とか前だったっぽい――いやいや、そもそもあそこが僕の世界かどうかもほんとのところは分かんないんだ。

 

ともかくあれだ、友達の知り合いの知り合いの知り合いって感じ。

 

違うかな?

 

「ま、あのダンジョンでも似た食事出てたし、きっと君たちでもおいしいって感じる――」

 

「ハル様と関係ありありの由緒正しきパニーニです!!」

 

「リリさん」

「はい!!」

 

「立ち上がるとイスさんから落っこちそうですから、ちゃんと座ってくださいね」

 

なにげに高性能なイスさんなもんだから、彼女がいきなり立ち上がっても揺れたりはしなかったけども、さすがにこんな空間で手すりすらないんだ、ちょっとひやひやするし……僕の方が。

 

「え? あ、はい……」

 

すとん。

 

ずいぶん前に見慣れた――長い銀髪に似合う薄い色の軽装鎧な服装のリリさん。

 

たぶん速さ重視で獲物もレイピアみたいなやつで……あと、なぜかスカートが短い。

 

やっぱり女の子だからふとももをアピールしたいのかな。

 

ほら、吹きすさぶ真冬でも登下校で見る女子たちとかみんな、びっくりするくらい短いスカートを根性で着こなしてたし。

 

女の子ってすごいね。

 

僕は男のままで良いや……今は女の子だけども。

 

「……あ、このイスさん、コンセントあるんだ。じゃあこれ、ちょっとじゅって焼きましょうか」

 

ごとり。

 

これもまたあの町でもらった、この作り置きのバゲット――パニーノとかパニーニとかサンドイッチ――よりは食べ応えあるかな――ともかく「おいしく食べてください」って、屋台やってたおばさんからもらった温め器的なやつ。

 

……あ、コンセント、もう1個ある。

 

あ、あっちにも。

 

だいたいどの方向にも備え付けてあるし……このイスさん、実は意外と高性能?

 

や、今もオートクルーズで飛んでくれてるから、意外でもなく高性能なんだけども。

あとはこの、独創性あふれる見た目だけだよね……や、僕は好きだよ?

 

ほら、SFチックなデザインって、男なら誰しもが心動かされるでしょ?

 

「ノーネームさん、このポットをコンセントに……はい。あと、このお水を。コーンポタージュの素とかもらってるので飲みましょう」

 

「現代知識無双なら私にお任せくださいハル様!!」

「よく分かりませんけどお願いしますねリリさん」

 

妙に張り切ってるリリさんとは、もうずいぶん会っていないはず。

 

だけども――本人の主張するように、あのちっちゃいリリさんと……どこかで似ていて。

 

だから全然離れてた感覚がなくって。

 

不思議だね。

 

 

 

 

「……ん」

 

ぴくっ。

 

ノーネームさんがなにかに反応する。

 

やっぱりノーネームさんってば猫だよね……ほら、今もなにもないこの謎空間のどっかを見上げて見つめてるし。

 

羽がちょっと逆立ってるのが見えないお耳と尻尾な印象。

 

「はやす?」

 

「それよりなにかあったんじゃないですか?」

「ん」

 

こくりとうなずいた彼女は――黒い毛色仲間意識があるからか、それとも僕の両脇がリリさんとキャシーさんに占領されてるからか、彼女に張り付いている姉弟を見て、

 

「そこ。おりる」

 

「はい!」

「先に行ってます!」

 

――――――――――ひょいっ。

 

「え」

 

2人は何のためらいも何の疑いもなく素早く立ち上がり。

 

手すりをひらりと飛び越え――――――――――

 

「え、ちょ――」

「だいじょうぶ」

 

なぜかいきなり飛び降りしようとしてる子たちを慌てて止めようとした僕を、目線で抑えてくるノーネームさん。

 

「着地には気をつけてくださいねー」

「うわっ、すご……私も言われたらするけど、それでも怖いわあれ……」

 

あっという間に自由落下で謎空間――延々と続く細長い筒状の灰色の雲の中へと吸い込まれていった姉弟。

 

さりげなく武器とか抱えてるし……もしかしてどっかで先に言われてたりする?

 

「もうちょっとしたら飛び込んでもらうから」って。

 

ノーネームさん……。

 

……リリさんがのんびり手を振ってるのも、怖がりなキャシーさんでもノーネームさんか僕が「やって」って言ったらあれするってのにも、ちょっと引くんだけど……。

 

「……ノーネームさん?」

 

「ひつよう」

 

「なら僕たちが降りれば」

「てきざい、てきしょ」

 

「その詳しい説明とか」

「ぴーひょろ」

 

吹けもしない口笛を吹くフリをしながらぷいっとそっぽを向く、猫みたいな子。

 

……まぁこの子が落ちついてる時点であの子たちが大丈夫なのは分かってるけどさぁ……お世話してる子供たちがノーモーションで下の見えない高さから飛び降りるとか、普通の神経してたら心配なんだよ……?

 

「そろそろおりる」

 

ぐぅん。

 

ノーネームさんの声に合わせて――あ、操作パネルが触ってもいないのにいろいろ切り替わっていく――少しずつ速度と高度を落として行き始めるイスさん。

 

「……確かにあの子たちはすばしっこいですし、僕たちも消耗抑えなきゃですもんね」

「ん」

 

すっ。

 

僕たちは――地下でずっと言葉の通じない中で意思疎通をしてきた仲なもんだから、これが次の戦闘の合図だと無自覚で察し。

 

リリさんもキャシーさんも――僕も、装備を身に付ける。

 

「でも、1個だけ。今度は、どこ行くんです?」

 

「ごきんじょ」

 

ぴこん。

 

それに合わせて表示されたモニターには地図が表示されていて、そこは僕の生まれ故郷なはずの――。

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