【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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500話 【祝・1年半で500話】1

「……?」

 

あれ?

 

僕、確かみんなと一緒にイスさんで細長い管みたいになってる雲の中に潜ったのまでは覚えてるんだけども。

 

「ここどこですか、ノーネームさん」

 

「とくべつしつ」

 

……普通にどっかの部屋のどっかの床に、ノーネームさんとふたりっきりで立ってる。

 

けども、特別室ってなんだろう。

 

【ふぁっ!?】

【ハルちゃん!?】

【ノーネームちゃんも!】

【あれ、2人だけ?】

 

【それにこの空間……まるでスタジオみたいな――】

 

かちゃっ。

 

ドアが開くと――高いところから、凜とした声が振ってくる。

 

「はい、こちらへどうぞハルきゅん」

 

凜としてたけども変な感じだった。

 

「? あ、はい」

 

ノーネームさんから目を移すと――スーツを着て、イスさんではなく普通のイスに座るよう、綺麗なポーズで促してきている女の人。

 

……ノーネームさんが反応してないってことは悪い人じゃないんだろうし、なんならノーネームさんがこの人を呼びつけたまであるんだろうけども……。

 

【あ、姉御!?】

【ずるい】

【てかハルきゅんとか目の前にして堂々と言うなよ草】

【えぇ……】

【ま、まあ、えみちゃんよりはマシだから……】

 

ふと動くものに目が吸い寄せられると――そのイス、2つ並んでいるイスの前にある机――そのモニターで、文字列がだーっと降りて行っている。

 

それでも索敵スキルのおかげか、読もうと思えばそれを読むことができて――。

 

「……姉御さん? ですか?」

 

「――――――――――――――っすぅー……今回は配信だそうなので、私のことは気にせずに」

 

「え、そうですか? ……え? 配信?」

 

なんかすっごい顔してたけど、ちゃんと元通りかっこいい女の人に戻ってる。

 

なんだろう、この人……まぁいいや、害はないみたいだし。

 

とりあえずでノーネームさんに繋がれた手を引かれるままに、そのイスへ腰を下ろす。

 

目の前には――なんかお高そうなマイク?

 

【あ、これ、良くある対談とかで使われてるレンタルスタジオだわ】

【あー】

【動画とかで見るやつか】

【え? てかこれ何?】

【さぁ……?】

 

 

【500話記念】

 

 

「ってなんですか?」

「きねん」

 

ノーネームさんの頭上にぴこんと表示されるのは、謎の概念。

 

……ていうかノーネームさん、本当に説明して……?

 

僕、人の思考とか覗けないから言ってくれないと分からない……。

 

「えー、今回は本編のようで本編じゃないってことで、けどずっと置いてきぼりな視聴者のみなさんに話しかけてあげて――ってことらしいので」

 

「? 視聴者?」

 

「ハルきゅんの配信をリアルタイムで見てる人たちですね。ハルきゅんがうちの世界から消えてからずっと見てきた人たちです」

 

うちの世界?

 

……あー、地下のダンジョンに飛ばされる前の世界のことね。

 

「それって始原さんたちとか?」

「いやもうそんなもんじゃ――あ、はい、そんな感じでお願いします」

 

それだけを言うと、6畳くらいの狭い部屋から出ていく彼女。

 

【姉御ォ!】

【え、今のって姉御なの!?】

【それにしては……】

【なんか、ちょっとおかしいくらいに……】

【自然すぎたな……】

 

【これでも私、ふつーに社会人やってたんですけど!?】

 

【姉御ォ! 姉御ォ!!】

【せめて余韻くらい……姉御ォ!】

【しっしっ】

 

【まぁ姉御を姉御に覚醒させちゃったのは、最古参勢な始原の次に視聴歴の長い俺たちだから……】

 

【なん……】

【だと……!?】

【俺たちが……俺たちのせいで……】

【こんな化け物を……】

【世界に解き放ってしまったのか……】

 

【ひどい!?】

 

【草】

【姉御? 今までの発言振り返ってからそれ言って?】

 

お、なんか懐かしいじゃれあいの雰囲気。

 

どうせ説明する気がないんだって分かってるから気持ちを切り替えた僕は――ここのところずっと目にしていなかった、次々と表示されてスクロールされていく文字の列を眺める。

 

「……このコメント欄。ずいぶん久しぶりに見た気がしますね」

「おひさ」

 

【草】

【軽ぅい】

【ノーネームちゃんって意外と気さくよね】

【気さく(ないない】

 

【ああ……NGワードと劣情でないないしてくる言論統制を「気さく」って言うんならそうなんだろうな……】

 

【草】

【草】

【ま、まあ、ノーネームちゃんは私欲ないな――

 

「ないない」

 

――いいいいいいいいいいいい】

 

【え?】

【は?】

【草】

 

【速報・私欲ないない生中継】

 

【すげぇ……】

【なんかめっちゃレアなもん見た気がするわ】

 

「……ないない……したんですか?」

「ないない」

 

「でも今の人、私欲ないない……?って言おうとしただけなんじゃ?」

「ないない」

 

「ノーネームさん?」

 

ぴこん。

 

 

【ライブ配信の注意点:モデレーターの方は配信を注意深く見守り、演者さんが困るような発言、セクハラや誹謗中傷、コメント欄の中で配信の空気を悪くしたりするようなアカウントを積極的にこれでもかとBANして回りましょう。演者さんのメンタルケアが最優先です。悪い人はちゃんとしまってあげて反省させてあげましょう】

 

 

「?」

 

なんだろうこれ。

 

【え?】

【草】

【なぁにこれぇ……】

【え? ノーネームさんのないない基準、これだったの!?】

【草】

 

【ハルちゃん出現後1年半経ってからのまさかの新事実】

 

【※ちなみにハルちゃんを観測してる俺たちと「外の新参たち」な上位存在との時間軸も、ハルちゃんがないないされたおかげで偶然にも同じくらいいいいいいいいいいいいい】

 

「だめ」

 

【あっ】

【え?】

 

「? 上位存在?」

「ないないっ」

 

あ、なんかノーネームさんが怒ってる。

 

……珍しいね?

 

【え】

 

【……なんか上位存在とかいうワード使ってたアカウント、前にもないないされて……】

 

【……ちょいおこのノーネームちゃんがかわ――素敵!】

【そうそう、びっくりしちゃった!】

【だな! そうだよな、ないないされたくないもんな!】

【ひぇっ】

【露骨に媚びる視聴者たち】

【そらそうよ……】

 

「けど、配信者ですか。………………………………」

 

ふむ。

 

「……僕、それらしいこと、したことありましたっけ?」

 

「ないない……」

 

だよね?

 

「るるさんとかえみさんの配信で勉強したみたいに、みんなとこうして話したことなんかほとんどありませんし……」

 

「ないない……」

 

【あっ】

【草】

【草】

【そうだったわ草】

 

「ないですよね、ほとんど。ちょっとはありますけど」

「ない……」

 

あ、とうとう「ない」になっちゃった。

 

【ま、まあ、ハルちゃんはそのスタイルで天下を取ったから……】

 

【天下(世界】

【異世界もだぞ!】

【老若男女へガチ恋を跳ばした狂信を与えてきたからな!】

【草】

 

【異世界に飛んで羽が生えるまではまだかわいいで済んでたのにな……】

【あそこからいろいろとバグったんよ】

【わかる】

【あの地下ダンジョンできゅーっとしてたこの気持ちが……】

【ああ、期間限定でしたねぇ……】

 

 

◆◆◆

 

 

ちょうど良いタイミングでのメタ回――ではありません。

ノーネームちゃんの粋な演出です。

 

 

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