【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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508話 お酒がおいしかった

【ハルちゃんみたいなガチ神から討伐対象の妖怪とかまで、片っ端から検証し直しとか……】

 

【ハルちゃんは何に相当……女神か】

 

【女神以外には何も該当しないよね】

【草】

 

【ショタよ!】

 

【はいはい】

【しっしっ】

【よく不敬にならないね】

【ノーネームちゃんのお気に入りだからね】

 

 

【エッ】

 

 

【草】

【草】

 

【ノーネームきゅん!?】

 

【姉御ォ! そういうところだぞ姉御ォ!!】

【ノーネームちゃん? そいつ、ないないして反省室送りの方が良いと思う……】

【どんだけ不敬なんだよ草】

 

【で、でもまあ、500話記念配信でもなんか案内役とかさせられてたし、やっぱお気になんじゃ……】

 

 

【困惑】

 

【?????】

 

 

【草】

【ノーネームちゃんが混乱している】

【ノーネームちゃんノーネームちゃん、そんなショタコンのことはどうでも良いからハルちゃんにでもくっついといて】

 

……ぴとっ。

 

「? どうかしましたかノーネームさん」

 

なんか頭の上でぴこぴこやってたノーネームさんが、いきなり腕に抱きついてきて頭をすりすりしてくる。

 

【あ、マジでくっついた】

【ハルちゃんがたかられている】

【草】

【なぁにこれぇ……】

【ハルちゃんの配信の日常的な光景だよ】

 

「もう、甘えんぼですね」

「しゅきぃ……♥」

 

ただ酒をくれるっていうから急ぎつつも、頭を乗せてくるノーネームさんをなでなでするっていう忙しい時間を過ごした。

 

 

 

 

「あー、おいし……」

 

「ハル様! もっとじゃぶじゃぶお飲みください!」

「のむ」

 

「アレク! ここの酒、あたしたちの村のとおんなじだ!」

「ほ、ほんとだ……でももっとおいしいけど……」

「あ、このラベル知ってるわ! 日本酒って言うのよね!」

 

「女神様以外はほろ酔い程度にしとけよ!」

「うちの酒蔵、全部使ってくんろ」

「今日で危うく死蔵するところだったからな……神様、こちらも」

 

くぴくぴくぴくぴ。

 

ああ……誰にも怒られずに、むしろ飲むだけ喜ばれるだなんて。

 

【ハルちゃんが幸せそうで何より】

【わかる】

【かわいい】

【かわいい】

 

【普通に一升瓶数本空けてるハルちゃん】

 

【だってハルちゃんだよ?】

【まぁ女神って種族らしいし】

【おいしそうに飲んでいる……】

 

【みんなに囲まれてひたすら呑み漁るハルちゃん】

【くしまさぁんが居なくて良かったね】

【まぁ全員の士気にも関わることだし】

 

【深谷るる「ちほちゃん、すっごく眉間にシワ寄せてる……」】

 

【草】

【草】

【あーあ】

【そうだった、ないないアウトしてるから普通に観戦してるんだった……】

【ないないアウトで草】

 

「しかし……明朝に再度の襲撃。あんなに呑んで大丈夫かのぅ……?」

 

「そこは神様ですからね」

「呑兵衛幼女女神……これは行ける!」

 

「のむ」

 

「もっとのむ」

 

「……ぐっすりねるまで、のむ」

 

 

 

 

ぺちぺち。

 

小さな手のひらが、頬へ刺激を与える。

 

「……んー……ノーネームさまぁ……?」

「おきる」

 

ぺちぺち。

 

「んぉっ!? ……昨夜は嗅ぐ前に寝ちまった」

「もったいないね……」

 

「!! そうです! 今のうちに存分に――」

 

「まつ」

 

道場――のある敷地内の、母屋。

 

古き良き日本家屋――の中の現代風にリノベートされた、居心地の良い空間。

 

ハルたちのために貸し出された客間の和室に客人用の布団を敷いて寝ていたリリ、アリステア――アリス、アレクシオス――アレクが、目を覚ます。

 

「しー」

 

「? ノーネーム様?」

「そういやなんでノーム様がノーネーム様って長くなってんだ?」

「お、お姉ちゃん、今はそれどころじゃ……」

 

【お】

【あれ?】

【サバトがなかった……】

【草】

【諦めて寝ようとしてたのに】

 

【てか今何時よ】

【掛かってる時計で2時……こっちと同じだな】

【なるほど】

【丑三つ時……いや、それよりどうしたんだろ】

 

ちりんちりん。

 

ノーネームが、寝る前に渡されていたベルを鳴らすと――廊下で足音が近づいてくる。

 

「如何されたか、女神たちよ」

「ん」

 

黒き女神が襖を開け、子供たち――リリも含めて――へ手招きをし、ハルだけを残して冷たい木の廊下へと裸足のままに飛び出す。

 

「ノーネーム様……?」

 

「しゅうげき」

 

「もうすぐ」

 

【えっ】

【!?】

【は?】

 

「……畏れながら、先ほどは明朝――数時間後と」

 

「うそ」

 

無表情のまま――眠そうな表情のまま、しかし黒い翼は告げる。

 

「はる」

 

「ねかせたまま」

 

「げいげき」

 

「……ハル様は、戦わせないと」

「ん」

 

【えっ】

【ハルちゃんダメなの!?】

【なぁんでぇ……?】

【過剰戦力とか?】

【あー】

【ハルちゃんが大事なノーネームちゃんだしなぁ】

 

「……もしや、先ほどひたすらに酌をされていたのは」

「おきる、こまる」

 

「困るのか? アルテ様」

「ん」

 

「それは、なんでかとか聞いても……?」

「ん」

 

ぐいぐいと一行の背中を押しながら、1秒でも早くハルの熟睡する空間から離れようとするノーネーム。

 

「……はる」

 

「そんなに、もたない」

 

【!?】

【持たないって……】

【まさか……?】

【いやいや……え?】

 

「……ハル様は、魔力を使いすぎたから……ですか?」

「ん」

 

【あー】

【でも、それ言うならノーネームちゃんも……】

【あの、もしかしてさ……相当無理してる?】

【えっ】

 

「あとちょっと」

 

「がんばる」

 

ちかちかと暗い蛍光灯で照らされる縁側で、今にも暗闇に霧散しそうな――か弱い姿の少女が、言う。

 

「えんぐん」

 

「ある」

 

「……たぶん、だいじょぶ」

 

「援軍……頼もしいですな。では、このことを皆にも?」

「ん」

 

「相わかり申した……すぐに招集をかけますぞ。拡声器――は使えませんな。少々掛かりますが、使いを走らせましょうぞ」

 

老人はすぐさまに踵を返し――恐らくは自身の息子と孫、道場で寝泊まりしている門下生たちの元へと急いだのだろう。

 

【ハルちゃん無しの戦闘か……】

【まぁさっきの見たら姉弟の無双でおしまいになりそうだが】

【確かに】

【それに援軍も来るんだろ? なら大丈夫じゃね?】

【そう……だよな……】

【ノーネームちゃん、表情変わらないからどのくらい本気なのか……】

 

「………………………………」

 

幼女に近い少女は、月明かりのない空の闇を見上げる。

 

「……あとちょっと」

 

「あと、ちょっと」

 

「――まだ、きえない」

 

「きえないで」

 

そう、呟いて。

 

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