【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
ちょうど僕たちの真上あたり――学校の上から。
たぶんあのリザードマンさんが倒れたあたりから、空を覆っていた暗い雲が晴れていく。
イスさんでふぃぃんって高く昇ってみると、真っ暗な家々や道が、同心円状に――ひどい嵐が過ぎ去った後みたいに、オレンジ色に輝いていく。
「綺麗ですね」
「きれい」
なんだか久しぶりに空を見た気がする。
そんな空は――だんだんと、僕たちを中心に広がっていって。
ふと真上を見ると、お日さまは天頂近く。
そっか。
もう、お昼になってたんだ。
「これで、解決したんですか?」
「しゅきぃ……♥」
「おっきなアリスさんたちまで連れてきてくれたからなんとかなりましたね」
「しゅきぃ……♥」
ノーネームさんはあったかいのが好きらしい。
解決しなかったら「ないない」とか言うだろうし、解決したってことなんだろうね。
【草】
【会話になってないよハルちゃん】
【でも気にしないハルちゃん】
【ノーネームちゃんの生態を熟知してるからね】
「おお……おお……!」
「何と素晴らしい……」
「女神様たちが、日輪を背負っておられる……」
「学校のイスをひっくり返したみたいな現代オブジェも、あれはあれでSF的な美しさに見えてきたぞ……!」
「よし、こいつらにもアルテ――ハル様のすばらしさが伝わったな!」
「うん……良かったね」
「しっかしあたしたち、でっかくなるんだなぁ」
「う、うん……」
「……私も、大きくなったら背丈、伸びるのかしら」
下を見ると、校舎からわーっとみんなが雪崩のように出てきている。
危険かとも思ったけども、なんだか周囲のモンスターたちが波を引くように消えていくのが――狭くなってる索敵スキルでも確認。
大小の姉弟にキャシーさん、リリさんもちゃんと揃っているし、なんかあればあの子たちがなんとかしてくれるだろう。
「ダンジョンの中とおんなじで、ボスを倒せば取り巻きとかも居なくなるんだね。あと、この真っ暗だった空も……」
「ん」
【え?】
【これってダンジョン化じゃ】
【あー、なんかハルちゃんは知らないっぽい?】
【あー】
【ハルちゃんってば記憶喪失系女神様だからなぁ】
【草】
【しかしまたハルちゃんの伝説が生まれてしまったな……】
【いつものことでは?】
【まぁ今回のもノーネームちゃんが連れてきたわけだし】
【この調子で世界中回るのか……?】
【え、でも、今までそんな話はどこにも】
【情報制限】
【解除】
【!?】
【もしかして:ノーネームちゃんが王国とおんなじことしてた】
【ああ……】
【うちの道場ではロリダウナー酒好き女神様ハルちゃんのアクセを今日から販売します! ノーネームちゃん様から許可取ってます!】
【は?】
【草】
【大丈夫! うちは始原の元トップのお爺様に直接許可もらってるから! ダンジョン商会の伝手も使って大々的に売り出すから転売の心配もありません!】
【そういうことを言ってるんじゃないんだが】
【草】
【やべぇ……また濃いのが現れたぞ……】
【しかもコイツでさえ、ノーネームちゃんに制御されてたっていうね】
【しかしもう解き放たれた!】
【もうだめだ……】
【草】
【イロモノ配信がもっとイロモノ配信になっていく……】
【ノーネームちゃんってば情報を操るから、こういうときほんと便利ね】
【照】
【かわいいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいいいい】
【ここまでテンプレ】
【ノーネームちゃんも楽しんでるいちゃいちゃだよ】
ふぃぃぃぃん。
「アル様! みんな無事です!」
「そう、良かった」
校庭の入り口――そこに、倒れた爬虫類さんが居たはずの場所にでかい宝箱がでんとあって、そこを中心に町の人たちも集まっている。
「宝箱です!」
「ですね」
「ないない」
「これはアルテ様が開けるべきだよな!」
「これか? ダンジョン化って言ってな、今も世界中で魔物たちが巣くってる場所は空があんなになって外に出られなくなってんだ」
「今みたいに主――ボスを倒すとすぐに解除されます。外から見ると真っ暗な柱が立ち上ってるように見えるはずです」
ダンジョン化?
………………………………。
……そういや、ダンジョンのことを知る前、流し聞きしてた番組とかで聞いたことあるかも?
てっきりゲームの攻略情報かって、
「………………………………」
――僕は、なんで。
「なんで、世界中がこんなことになってる日から――このことを、全然認識してなかったんだ」?
なんで全部全部、流行りのゲームの話かって思ってたんだ?
だって、あの日、僕は――――――――
「だめ」
「……ノーネームさん?」
「まだ、だめ」
ぎゅっ。
僕の両手を掴んで――普段の無表情ではなく、明らかに悲しそうな顔をして見上げてきているノーネームさんが居る。
【!?】
【かわいい】
【かわいい……あれ?】
【ないないされない……】
【もうだめだ……】
【草】
【ノーネームちゃん……?】
【ハルちゃんとお話しして真剣だから】
【けど、なにがダメなんだろ】
【さぁ?】
【「まだ」ってことは、そのうちなんかがあるのか?】
「……分かりました。ノーネームさんがそう言うなら」
「ん……」
すりすり。
まるで猫のように、僕のほっぺに彼女のほっぺをこすりつけてくる。
ノーネームさんは、秘密主義でだんまりな子。
だけども、僕たちが困るのを楽しがってやってるわけじゃない。
よく分からないながらも、それだけはよく分かってるんだ。
「じゃあ、宝箱でも開けましょうか。……なにこのブラジャー。あ、持ったらちっちゃくなった」
【は?】
【草】
【……確かずいぶん前にぱんつ出てたよな?】
【出てたな……】
【ああ……】
【もしかして:見た目はジュニアブラでも、実はお高い装備】
【ハルちゃん!!】
【早く!!】
【え、てかハルちゃんって今の服だとノーブラララララ】
【ノーネームちゃん!!!】
【草】
【え? この前のと合わせて神器なの?】
【草】
【ハルちゃんが引いたから、あり得ないとも言い切れないっていうね……】
【えぇ……】
【感動の討伐が台無しだよ!!】
【ま、まあ、感動はさっきしたから……】
【ジーンとさせられたら笑わされるのがハルちゃんの配信だからね……】
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