【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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522話 【神話の開幕と託された使徒】

その光は、まさに天地を分けるよう。

 

幼き女神たちの解き放った――これまでの戦いが、ただの露払いにしか思えないほどの「魔法」。

 

「……これが……神の御業か」

 

「使徒の子供たちがメインで戦っていたので、まさかこれほどだとは……」

「だから言ったでしょうお爺様お父様! か弱いロリっ子に見える上位存在ほど強いというのが王道なんです!!」

 

夜を通しての戦い――籠城戦。

 

町民すべてを収容し、女神の使徒たちからの指示で「万が一」で全滅したとしても生存者が残るようにと、複数の施設や家屋に――女子供を優先で配置するという提案は却下され、文字通りの命がけの戦いを――時計を見ると、もう10時間も続けていた。

 

使徒たちは、どう見ても小学生程度――しかしながら、数十年を剣の道に捧げてきた老人でさえも児戯のごとくにあしらわれる実力の差があるのは、最前線で戦ってきた道場の皆だからこそ理解していた。

 

使徒の中にも得手不得手はあるらしく、赤髪の少女は「ゾンビよゾンビ!」とバリケードを作ったり遠距離攻撃の指南をしたりと、ただの力任せではなく、戦いの経験と知識を活かしていたことからも、神々と使徒は知性も高いと理解はしていた。

 

そんな彼女たちを支援するように――やたらと石を要求する女神と、その彼女にへばりつくようにしていた黒い女神は、奮戦する使徒たちに比べると、マスコットのようにも感じてしまっていた。

 

そこここをちょこちょこと歩き回っていたため、その豊かで跳ねた毛先がふわりふわりと揺れ、頻繁に立ち止まっては「ほぇー」などと口を開けて興味を示していた姿は、誰もの心があたたかくほぐれるもの。

 

かと思えば2柱揃って腰掛けて戦いを見物したり、思い立っては学校の門の外へと攻撃をしたりと、実に自由気まま――だったが。

 

「……それも、計算だったのかのう」

 

「人心を――我々の中でも、戦えない者や戦えるようになったばかりの者。さらには老人や子供――それを中心に見て回って慰めておられたようですね」

 

「いえ、あれはたぶん気分で動いてただけな気がしますね。放浪系女神というのもアリです!」

 

「戯け、そのようなことがあるはずがなかろう。相手は神ぞ」

「でもロリっ子です!」

 

――そして、一見すると幼き神を守護する、神たちよりも強いと感じていた使徒たちに止めを譲られ、彼女たちが妖怪王――「ボスモンスター」を討伐した。

 

剣士たちにはそう見えたものの、遠目に見ていた市民たちには分からないことであろうし、何よりその直後から空が割れていくのを見て、気が抜けた。

 

……途中でなぜか少女が身に付ける下着が宝箱から出てきたりしていたが、それは置いておくとして。

 

ともかくそのせいで――「魔王軍というものが存在するのなら、広い地球の中でこの町だけを襲撃するはずがない」という大前提が、誰の頭からも抜けてしまっていた。

 

だから、明るくなった空を見てほっとした直後――上空に、どの方向にも巨大な生物を確認した彼らは、絶望した。

 

いや、絶望しようとして――真上からの、天上の光で、絶望する暇も与えられず。

 

気がつけば上空に上がっていた2柱は、人の領域では届き得ない事象を引き起こした。

 

「ジャッジメント」――――――「神の裁き」。

 

それは金と黒で光と闇を照らし、全周囲に向かって無数の光の矢を放つもの。

 

それはまるで、神聖な存在の頭上に描かれる「ヘイロー」が、見渡す限りの上空すべてを覆うサイズで包むもの。

 

――少なくとも、直後に望遠鏡を持っていた市民が確認しても、空のどこにも先ほどの絶望の塊は存在しないと判明し。

 

つまりはそのたったの一撃で魔王軍は――少なくとも主力が壊滅させられたと知った。

 

「恐らくは、あの法術――大魔法を使用するために」

「使徒たちが、露払いを。2柱の神は……攻撃を待ちながら、人々を癒やしておられたのでしょうな。本番は、ボスを倒した……その後でしたから」

 

校舎から校庭までが歓喜の声で震える中、最前線で神々の助けを得ていた彼らは――その思慮深さに魂から震える。

 

「……あ! サインをもらい損ねたぁ!? 絶対プレミア価格になるのに!!」

 

「息子よ、お前……」

「孫よ、お前……」

 

――しかし、老人たちが我を取り戻したときには、2柱の神や銀髪と黒髪の高校生ほどの「少女」たちは、姿を消していた。

 

あとは常に白き女神の頭上から周囲を浮遊していた、羽のないドローンのような存在も――カメラらしき目があったが、もしやあれは機械的な見た目ではあっても精霊か何かなのかもしれない――姿を消し。

 

残るは、

 

「てことでじいさんたち! 10年後までしばらくメシ食わせてくれメシ! ここってあたしたちの故郷みたいに生魚とか食べるのか?」

「た、戦いを教えたり、ぼくたちが知ってる範囲でいろいろ教えられますので……」

 

――黒髪で褐色の「少女」が2人。

 

彼らの足元に、残っていた。

 

「……無論。すべてをお救い下された貴女様方ですゆえ、構いませぬが……」

「……刺身のことでしたら、門下生の寿司屋でいくらでも出させますが……」

 

「良かったー、また洞窟暮らしに戻らなくて済むぜ! あそこ、魚は出ないからなぁ」

「おおきいぼくたちにも、ここでアルテさまを待っててって言われたし……」

 

「!! アルたんたちはまた来るんですね褐色っ娘たち!!」

 

ずい、と、神をを恐れない今どきの若者な孫が、使徒たちに詰め寄る。

 

「そうだぜ? 10年後な」

 

「そのときにはもしや、先のロリロリしい姿のままで……!?」

「あ? アルテ様は前はもっとでかかったぜ?」

 

「……ロリ巨乳!!!?」

「い、いえ、お胸は……」

 

「あ、でかいあたしが言ってたっけ。アルテ様はあたしたちよりちっこい、あの姿が素だって」

 

「つまり、エターナルロリ……! なんと、なんと……!」

「あはは、兄ちゃんおもしれーな!」

 

――とりあえず。

 

ひと段落ついたら、あのバカ孫のことを鍛え直さねばな。

 

あと。

 

「……10年後ぞ」

「はい」

 

「お前も儂も、鍛え直さねば。いや、門下生や、町民で望む者にも。聞けば『だんじょん』とやらは残り続けるらしい。そこで、魔を斃し続け――その先で、恩をお返しせねば」

 

老人は、まるで若返ったような心地だった。

 

――ちなみに籠城戦を最前線で数時間戦い抜いたために、剣士一同のレベルが上がっており、ために身体能力が向上していると知るのは……もう少し後の話。

 

ただし、それ以前から発作を起こしていたために「強いけどAEDを用意しとかないといけない最強の老剣士」として数年を戦い抜き――やがては前線を退いて「ダンジョン協会会長」となるが……それは、もう少し先の話。

 

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