【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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541話 キャシーさんを預けて、お仕事おしまい

「ということで、キャシーさん預かってください」

 

「えっ」

「え? ア、アル様?」

 

ずい、と、赤いくせっ毛な子の背中を押しながら――そういや面影のある気がしてきたおじさんに、面影しかないおばさんへ、キャシーさんを押しつけ――引き渡す。

 

――キャシーさんが、そんな子だっただなんて。

 

そんなの、この人たちに――ちょっと違っても、同じキャシーさんを子供に持ってる、この人たちに任せるしかないんだもん。

 

「ノーネームさん、ないないし過ぎて今大変なんです」

「たいへん」

 

「どのくらい大変なんでしたっけ?」

「このくらい」

 

びよーん。

 

両手で「このくらい」ってやるノーネームさん。

 

「普段両手を上げるなんて動きをしないノーネームさんなんです。なのにこうするくらい大変だそうです。なので、あなたたちのキャシーさんもすぐに連れてこられませんし、ここのキャシーさんも帰ることができないんですよね?」

 

「ないない……」

 

しゅん。

 

しょんぼりするノーネームさん。

 

「なので、10年くらい預かってくれませんか? ちょっとだけ違う世界で育ちましたけど、キャシーさんはキャシーさんなはずなので」

「おなじ」

 

【かわいいいいいいいいいい】

【かわいいいいいいいいいいいいい】

 

【お前ら、ノーネームちゃん大変だって今言ってるだろ!!!!!】

【だって……】

【ノーネームちゃんの動きが、いちいち……】

【ハルちゃんに反応するときは結構動くよね】

 

【けど、平行世界の娘を預かるって……どんな扱いになるんだ?】

 

【あー】

【養子……にしては、血縁関係が濃すぎるな……】

【たぶん同じような生活してきたから記憶もほぼ一緒で……】

【でも一応別人だし……】

【うーむ】

【草】

 

【事の大きさに比べて軽すぎる悩みで草】

【まぁ、この夫婦のキャシーちゃんもないないアウトすれば大丈夫っぽいし】

【草】

【あー、異世界でもないないアウトに10年かかってるもんなぁ】

 

【え? てことは、やっぱ俺たちのこの世界……11年後の今、どっかに今映ってるキャシーちゃんがJKくらいになって存在してるってこと?】

 

【!!!!!】

【はよ】

【はよ!!】

【お前ら……】

 

「ノーネームさんが言うには、まだまだ他の場所に行かなきゃいけないそうなんです。でも、君たちみんなを連れて行くのは大変ですし……もう、4人は預かってもらいましたし」

 

「……アル様」

「大丈夫です」

 

キャシーさんの不安そうな顔に向け、僕は言う。

 

「ちょっと違うけど、でもほとんど同じなんです。だから、本当の両親だと思って良いんですよ。ね、ノーネームさん」

「ん」

 

「……異なる世界とはいえ、神のごとく――いえ、神そのものが言うのですから、きっとそうなのでしょう」

「……パパ」

 

キャシーさんのお父さん――厳密には違うけども――が、膝をついて僕と目線を合わせてきている。

 

「私たちの娘が遠い世界に居て、いつか戻ってくる。……でも、その期間は、10年。そんな長い時間に」

 

彼は――やつれてはいるけども優しそうなおじさんは、キャシーちゃんとも目線を合わせ、ゆっくりと話しかける。

 

「まだまだおてんばな年頃で、女の子なのにゲームとか機械に夢中なこの子の、1番に可愛い盛りの時期に。モンスターたちから世界を取り返したら、エレメンタリースクールへの送迎をしたり、進路で悩んだりする学生になっていく――そんな大切な時期に、可愛い娘と一緒に居られないのは……あまりにも、辛すぎますから」

 

「パパ……!」

 

……うん。

 

彼はもう、僕たちのことを気にしていない。

 

キャシーさんのことだけを、見ている。

優しい――保護者のまなざしで。

 

……この人は、間違いなく父親だ。

ならもう、大丈夫そうだね。

 

――きゅっ。

 

ノーネームさんが、軽く手を握ってくる。

僕は、握りしめ返す。

 

「……ええ。そうね」

「ママ……」

 

「……きっと双子。そう、実は双子だったキャシーの――生き別れだったあなたが来てくれたのですもの。もうひとりのキャシーに構ってあげた分、いえ、それ以上に構ってあげないと。いつか、戻ってきてくれるキャシーと会ったときに、怒られちゃうくらいに。……こんな答えしか出せない私たちで、良いかしら? キャシー」

 

「……うん、うんっ! 私……私……!」

 

抱きしめ合う3人――親子。

 

「良かったですね」

「よかった」

 

――ああ。

 

僕は、ようやくに――あの洞窟で出会った、行き場のなかった子たちを全員、託すべき人に託せたんだ。

 

【イイハナシダナー】

【泣いた】

【感動した】

【\50000】

【分かる】

 

【『娘を助けてくださった感謝を』  $500000】

 

【!?】

【ふぁっ!?】

【え?】

【ちょ、このアカウント……!】

【だ、だだだだ……大統……】

 

【速報・とうとうハルちゃんの配信、ホワイトハウスの主が舞い降りる】

 

【草】

【速報過ぎて草】

【なぁにこれぇ……】

【お、感動の場面がそうそうにぶち壊されたぞ】

【ま、まあ、今画面でキャシーちゃんと抱き合ってる本人だし……】

 

【大統領、ごめんね  さんざん罵倒して】

【草】

【この1年ですっかりやつれたもんなぁ……】

【見ろよ、この場面とこの前の記者会見での差<URL>】

【かわいそう】

【かわいそう】

 

【あ、ついでにキャシーちゃんの現在の写真とかありますか?】

【現在彼氏募集してますか?】

【ばっか、政治家だぞ  もう居るに……うぅ】

【うわぁぁぁぁぁ】

【草】

 

【お前ら最低で草】

【なぁにこれぇ……】

【ハルちゃんのコメント欄だからね……】

 

【ノーネームちゃんのないない以上に怖いものなんてないからな!】

【草】

【本当にそうなんだよなぁ……】

 

 

◆◆◆

 

ないないのため、次回の投稿は次週の金曜日です。

 

更新が止まるこの期間、ぜひ他の小説、またはプロフより他のコンテンツをお楽しみくださいませ。

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