【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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547話 敵情視察

ふぃぃぃん。

 

僕たちは、でっかい恐竜さんの顔を横切る。

 

「……なんで攻撃してこないんだろ」

 

きぃぃぃん。

 

ぶんぶんと――わざと顔の前とかを飛び回って、自分に対して絶対被害を与えられない羽虫だったとしても、やっぱ目障りだし耳障りって感じに邪魔するけども……そもそも僕たちのことを見てもいない感じ?

 

いや、見ている。

 

だけど恐竜さんはでっかすぎるせいで相対的な動きがゆっくりすぎて、その目が追いついていないんだ。

 

人にまとわりついてくる羽虫って感じ。

うざったいはずなのにね。

 

「りきゃすと」

「ながい」

 

「あ、さっきの攻撃が……なるほど、それで」

 

すっごい魔力込めて攻撃するジャッジメントみたいな感じかな。

 

【あー】

【あれはいきなりだったけど必殺技みたいなもんだったと】

【最初から全力出すタイプのボスモンスターか】

【強敵だな】

 

【でも何分も硬直するレベルか】

【もっとかもしれないな】

【もし飛べないんなら普通にゾンビとサメで押されるからなぁ】

【てことは、次までになんとかできれば】

【イス様……イス様の機動力で、どうにか……!】

 

リキャスト――そっか。

 

「大技なんですね」

「ないない」

 

その技しかないのか、それとも別の小技とか通常技があるのかは不明だけども。

 

「ノーネーム様の腕を持って行くほどの威力……うん、乱発できるくらい強かったら、もう何もできませんでしたね、私たち」

「ですね」

 

「ないな――」

 

ぶんぶん。

 

肘から先が何にもないところを、心なしか誇らしく振り回す彼女。

 

「ノーネームさん」

「ごめん」

 

「……それ、気に入ってるんですか……?」

「すき……」

 

しゅんとなる彼女。

 

「……時と場所は弁えてくださいね」

「しゅきぃ……♥♥」

 

【草】

【ないないキャンセルだ!】

【草】

【めっちゃ早い伏線回収】

 

【こんなにも早く「繋がっちゃったね」って言えるとは……!】

【感動した】

【イイハナシダナー】

【草】

 

 

 

 

しばらく、いろんな飛び方で構造を確認。

 

……ぎりぎり、まだぎりぎりコアが見えてる。

 

敵があんまりにも強いからか、それともまだ僕の不思議な力が残ってるのか。

 

――そうだ、コアだって男のときには見えなかった。

 

女の子になって、ちょっとして――この体に馴染んでから見えるようになったんだもんね。

 

つまりは――ノーネームさんと同じく、女神っぽい不思議な力。

もともと持っていなかったものを、もともとのように失うだけ。

 

でも、もうちょっと。

 

せめて、これを倒すまでは――。

 

「……あと1ふん」

 

ぽつり、と、静かだったノーネームさんが言う。

 

「……本当だ。魔力の気配が、一気に……」

「尻尾の方から少しずつ、青白い光が……」

 

ふぃぃぃぃん。

きぃぃぃぃん。

 

目の前すれすれを飛んで――とりあえずで挑発してみる。

 

……反応は、無し。

 

や、見てはいる。

すっごく見てきてはいる。

 

けども――なるほど、ノーネームさんの言ったようにリキャスト中はなんにもできないんだ。

 

てことは……きっと、怒ってるはず。

 

あれだ、集中しなきゃいけなくって両手が塞がってるときに近くをなぜかやたらとこれでもかとしつこく離れてくれないで執拗にぶんぶん飛び回る羽虫みたいな、あれ。

 

あるいは、やっと寝付いたと思ったらぷぃーんって飛び回るし、あちこち痒くされるし、けども怒って電気つけたらどこ探しても居なくって――諦めて電気消してうとうとしてきたらぷぃーんってやってくるあいつらみたいな、あれ。

 

……これなら。

 

これなら、キャシーさんたちのところへは撃たないだろう。

だって、あれみたいにうざったいんだもん。

 

「いっきにほうしゅつ」

 

「そのあと」

 

「また、りきゃすと」

 

「……なるほど。10分とかくらいエネルギーを貯めてから、超遠距離ビーム攻撃を……10キロとか離れてたあそこまで、あんな攻撃ができるのもうなずけますね」

 

「ノーネーム様が、完全に迎撃しきれないほどの威力でしたものね……しかも、相当に精密な……」

「はい。普通じゃない威力――ですけど、次さえ回避すれば、また同じくらい余裕が生まれます」

 

かなり飛び回ってるのに、それでも嬉しそうに元気そうに――僕たちを後ろから抱きしめて、落ちないようにってしてくれてるリリさん。

 

この子にも、僕たち……助けられてるね。

 

【てぇてぇ】

【●REC】

【リリちゃんが、いつものどや顔】

 

【なお隙あらばすんすんしてるっぽいけど風切り音でキャンセルされてる模様】

【まーたキャンセルされてるよ】

【さっきまではその余裕もなかったからな】

 

【ハルちゃんも普段通りだけど】

【ノーネームちゃんもだけど】

 

【でも】

【やる気いっぱいだね】

 

ボスは、完全に僕たちをロックオンしているらしく、お口を開けたまま――あ、尻尾と同じ光だね――飛んでいる僕たちを追尾してきている。

 

きぃぃぃぃぃん。

 

エネルギーが――魔力が、ものすごい塊が――凝縮していく。

 

お肌がぴりぴりちりちりちぴちぴするくらいになってきている。

 

「……次の攻撃、避けられますか?」

 

「りり」

「ハル様たちに抱きつけばジェットコースターでもフリーフォールでもどんとこいです! あと名前呼んでもらえましたノーネーム様に!」

 

「リリさん、ちょっとだけ静かにしててくださいね」

 

「はい! 攻撃が来るまで静かにしています! 怖くなったら思いっきり叫びます! 遊園地みたいに!」

 

そうだった、リリさんってばるるさんみたく、デフォルトでテンションが高い子だったっけ……。

 

【草】

【リリちゃんが元気で何より】

 

【ハルちゃんのジト目】

 

【ふぅぅぅぅぅぅ】

 

【草】

【すっかり元気になったね、ハルちゃん】

【良かった……良かった……!】

 

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