【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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560話 支援艦隊到着

「次の攻撃。それは――40秒。遅らせられるか? 俺たちんとこの指揮官――親玉って言えば分かるか?――が、頼んでるんだ」

 

「!? まさか……私たちも、あの怪獣を……!?」

 

お兄さんは、時間を指定してくる。

もうひとりは、片耳に手を当てて驚いている。

 

……何か、策があるんだね。

 

なら。

 

「――よく分かりませんけど、可能です。もっとも、そのあとの攻撃は追加の威力になりますから、回避はがんばらないとですけど」

 

多分。

 

チャージした分だけ威力が上がるのなら、遅らせると――次こそはノーネームさんが消えちゃうほどのものになるかもしれない。

 

でも、それを聞いた彼は――にい、と、笑う。

 

「できるんだな。んじゃ、遅らせるのを、頼んでも良いか? ロリ女神様よ。俺の魂くらいなら好きにして良いからよ」

 

「ですから要りませんって」

 

「んじゃ死ぬまで何でも言うこと聞いて働く奴隷になるからよ」

「要りませんって」

 

「おまけにコイツもつけてやる」

「俺もですか!? いえ、対価としては仕方ありませんが」

 

「そんなどうでも良いもの要りませんって。……でも」

 

「………………………………」

「………………………………」

 

お兄さんの目と、僕の目が交差する。

 

………………………………。

 

――僕には、分かる。

 

これは――言語能力では劣る男っていう生物が、黙ったままでも相手に伝えたい言葉があるときの。

 

うん。

分かるよ。

 

だって僕は――僕の心は、男だから。

 

「――イスさん」

 

「お任せくださいませ」

 

「リリさん」

 

「はい! ノーネーム様をはぐはぐしています!」

「わぷ」

 

【草】

【かわいい】

【今かっこいい場面!!】

【リリちゃんがノーネームちゃんを】

【されるがままのノーネームちゃん】

【ふぅぅぅぅぅ】

【草】

 

――うん、大丈夫だ。

 

「――――――信じます」

 

僕は、イスさんのモニターを見る。

 

「Yes」

 

「今度こそ」――そういう気迫を感じる。

 

そうだ。

次はきっと、回避できる。

 

できなかったとしても――ノーネームさんにできたことが、バリアみたいなのが、僕にだって。

 

「――てぇ訳だ! ホノルルの怪獣共を始末してきたんだ、いい加減信じろ! 敵は怪物、味方はかわい子ちゃん! 目標、あのデカブツ! 女神様たちとは共闘! ……女神でも天使でも妖精でも何でも良い、このロリっ子の言うこと信じて一発頼むわ!!」

 

「――こちらからも……お願いします、支援砲撃を。俺たちの判断と――目の前の存在を、信じて」

 

お兄さんたちが口元にマイクを当てながら――耳が痛くなるほどの声で、叫ぶ。

 

【!?】

【ふぁっ!?】

【何? 何?】

【え、支援砲撃って】

 

【ホノルルで演習してた艦隊……その艦載機……海の上だったから陸ほどダメージ出てない……あっ……】

 

【え?】

【えっと、11年前の情報漁ったら、その時期に演習してた艦隊の旗艦って】

【軍機な情報も多いけど、公表されてる情報を合わせると……】

 

 

 

 

「――合衆国の」

「ああ、大和の」

 

合同連合艦隊。

 

その、臨時旗艦。

 

数十年前に製造され、近代化改修を重ねつつも古さが拭えない鉄の城――またを、戦艦。

 

その「2隻の」艦橋で、2人の司令官が――モニター越しの「所属不明の見たことのない形状の戦闘機」から顔を出す「少女たち」を見上げながら、つぶやき合う。

 

「ホノルルは――ひどい有様だった」

「ああ」

 

「互いに、大和・合衆国本土との通信は途絶――ホノルル諸島のうち2島は正体不明生物たちにより、瞬時に陥落」

 

「かろうじて海軍基地のある島は奪還し、住民の安全を確認したのちに東西どちらへ赴くか話し合ったが」

「ここはやはり、戦力を分散してでも両海岸へ」

 

「だが、損傷した艦の分を、貴国ではなく我が国へ……」

 

「――今回は、合衆国よりの招待による演習――であるならば、合衆国へ戦力を多く割くのが道理よ」

「……済まない」

 

「気にするな。あのモンスター共は海には現れず、陸地から出現していた――なら、陸地面積の多い合衆国を優先すべきだろう。特に、長射程の武器を積んでいる兵装を保有している艦をこちらへ……な。何、ミサイルはこっちが多めに分けてもらっているんだ、適材適所……だろう?」

 

2人を囲む人々は、固唾を呑む。

 

「――ならば、済まないついでに1つ、頼まれてくれるか?」

 

「おう。――すでに主砲装填は完了している。最初は模擬弾で良いのだな?」

 

「かたじけない……市街地に近すぎる。少なくとも誤差修正が終わるまではそれでお願いしたい」

「爆発にあの女神――のような存在を巻き込んでも不味いからな。問題ない」

 

最高指揮官2人の決断は下った。

 

その言葉を聞いた乗組員たちは所定の位置で、ごくりと喉を鳴らす。

 

「――危うく互いに向けることになっていた、今や時代遅れの兵器。それが、こんなところで役に立つとはな」

「無駄飯ぐらいが80年経ってようやくに戦えるんだ、さぞ喜んでいるだろうよ」

 

鉄の塊は――艦首から艦尾まで300メートルの、戦うことしか考えていない塊の砲塔が、照準を合わせる。

 

「――改大和型戦艦、1番艦大和、3番艦信濃」

 

「――改アイオワ級戦艦、3番艦ミズーリ、5番艦イリノイ」

 

「撃て」

「fire」

 

演習中だったからこそ抜錨し乗員が乗っていた、時代遅れの2隻は――航空機登場以前で最強の兵装から、砲弾を発射した。

 

当時としては最強の遠距離攻撃手段で――今。

 

 

◆◆◆

 

 

TSっ子ハルちゃん、女装っ子ユズくん、女装悪役令嬢ジュリオンくんの3作同時投稿中です。

 

ついでにイラストや動画も週にいくつか上げています。

ぜひ見に来てください。

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