【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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571話 とりあえず無事みたい

煙が晴れてくると――綺麗に並んでたのがちょっとばらばらになりつつも、ぱっと見では今すぐに沈みそうなお船はない様子で、

 

「あ、小さい船がばらばらになってる」

「くちくかん」

 

いくつかのお船の残骸と思しき部品が、ぷかぷかと浮いている。

 

「小さいお船って儚いですね」

「はかない」

 

けども、

 

「ないない――してるんですよね?」

「ん」

 

そうだ。

 

本来なら、こんな大惨事を目にしただけで一般人な感性の僕なんか卒倒しちゃうだろう。

 

――でも、ここにはノーネームさんが居る。

 

この世界は、ノーネームさんが守っている。

 

失敗しても命だけは助けてもらえて――ちょっとばかり遠いところに行っちゃうけども、それでも「ゲーム」みたいにやり直せるんだ。

 

「なら大丈夫ですね」

「ん」

 

……けども、お船ごとなくなっちゃってるのは。

 

「ばいたるぱーと」

「いっしょ」

 

「? ……ああ、なるほど。小さいお船……駆逐艦?とかの中身までないないしたんですか、人と一緒に」

「たいせつ」

 

「……!! 創造主による我ら無機物への愛!!!」

 

「イスさんも静かにしましょうね」

 

「しゅきぃ……♥」

「my love…」

 

【イスさんステイ】

【ノーネームちゃんもステイ】

【草】

【と、とりあえずは無事ってことでいいのか?】

【ノーネームちゃんがないないしてくれてるからな】

 

【多分だけど、船ごと木っ端みじんレベルだと中の人たちも助けられないからって理由でお船ごとないないしてるってことか】

 

【なるほど】

【確かにな】

【誘爆とかシャレにならないし】

【うわぁ……古い時代だからこそ装甲が厚い巡洋艦が傾いたりしてるぅ……】

 

わらわらとお船の上――甲板に飛び出してきてる人たち。

 

次々と火の出てるところに群がったり周りを確認したり、ついでで僕たちを見て指差してきて何かを叫んでいる。

 

「こんにちはー」

「ちわ」

 

とりあえずで手を振ってみる。

 

「「「!?」」」

 

びくっ、ってなって――なんか座り込んだり組んだ手をおでこにくっつけるようにして何かを言ってきているのが見える。

 

とりあえず消火作業とかケガ人――ないないするほどじゃないけど痛がってる人とかの手当とかした方が良いんじゃないかなぁ。

 

「でもなんで僕たち、毎回拝まれるんでしょう」

「なむなむ」

 

【もしかして:ハルちゃん、女神様の自覚なし】

 

【草】

【草】

【この状況で「こんにちは」とか】

【かわいい】

 

【挨拶は大事  古事記にもそう書かれている】

 

【確かに】

【まずは挨拶だよな!】

【違う、そうじゃない】

 

【ハルちゃん?? パイロットさんたち言ってたでしょ、ハルちゃんたちのこと、艦隊に伝わってるって……】

 

――どんっ、どんっ。

 

動きが止まっちゃってる中型までのお船から距離を取りつつ、でっかいお船――戦艦たちは、速度こそ落ちているものの、何本か主砲がひしゃげちゃってるけども、それでも撃ち続けている。

 

【さすがは大和型だ、びくともしないぜ】

【戦艦が簡単に沈むか!】

【違うぞ、改大和型だぞ】

【並みの戦艦何隻分の耐久力だぞ】

 

【「こんな国の威信沈められるか!」で、すでに国家予算何年分の鋼鉄を詰め込んであるからな】

 

【30年くらい前にがっつり改修したし】

【アイオワ級も無事みたいで安心】

【あ、でもやっぱ被害は受けてるか】

【主力戦艦たちは沈んでないのがすげぇ】

【だって戦艦だもん】

 

「……艦隊は、どう見ても損失甚大。実質壊滅だわな」

「ですが、互いの旗艦及び戦艦、遠方の空母は無事です」

 

「あ、お兄さんたち」

 

きぃぃぃぃん。

 

「残念ながら駆逐艦が合わせて15、巡洋艦が3……一撃で……」

「ホノルルにおける戦闘でも、少なくない犠牲が……やむを得ませんが」

 

袖で涙を拭っている彼ら。

そうだよね、心配だよね。

 

「あ、大丈夫です。みんな生きてるので」

 

「ああ、助かる……は?」

 

――ぐわっ。

 

おじ、お兄さんがすごい目で見てくる。

 

「今、何と……? まさか神様、人の命すら――」

 

「はい。このノーネームさんが、ないないシステムでがんばってくれてます。ないないしてるので大丈夫です」

 

「な、nai-nai……!?」

「ないない」

 

無い両手をぱたぱたとしながら――たぶんVサインとかしてるだろう彼女が、ちょっと得意げに言う。

 

「さっきも言ってたが、それは……」

 

「とりあえず命も無事だって伝えてください。たぶん10年後くらいに乗ってた人たちの消息とか分かるだろうってことも……あ、もちろん生きてですし、お船ごと無事ってことで」

 

「……?」

「……?」

 

おめめとお口を開いたままで固まる彼ら。

 

「?」

 

とりあえず同じくらい首を傾け、視線の傾きを合わせてみる。

 

「「………………………………」」

 

「………………………………」

 

「「………………………………??」」

 

ダメみたい。

大人になると、人って飲み込み悪くなるよね。

 

僕?

 

僕も大人ではあるけども、どっちかっていうと新しいものとか好きな方だし、そもそも今は子供になっちゃってるからするする飲み込めるよ。

 

まぁこの体になってからずっと新しいことばっかりで慣れてるとも言うけどね。

ほら、もともと座ってしてたけどもやっぱトイレの感覚違うなぁとか、髪の毛乾かす時間めんどくさいなぁとかさ。

 

 

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