【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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576話 強いティラノさん

【見えない】

【何も見えない】

【人生の先が見えない】

【もうだめだ……】

 

【草】

【画面が真っ白】

【前もあったなこんなこと】

【わりとあるような気が】

 

【そらハルちゃんの最大出力?とやべーラスボスの切り札?だからなぁ】

 

【これでお互いに魔力、相当減ってるとかなぁ……】

【ドラゴンの群れとやり合える種族だし……】

 

【けど大丈夫なのかな  ノーネームちゃん、ずっと反対してきたのに】

 

【きっとこのためなんだろ】

【あー】

【ノーネームちゃん、要所要所で未来知ってるような動きしてるし、細かくとまではいかなくともだいたいは知ってたんじゃないかな】

 

【つまりはリリちゃんがどや顔でやってたみたいな未来を駆ける少女ムーブね】

 

【うん、それ】

【神様だから時間くらい知ってるよな!】

 

【え、でも人間のリリちゃんは……?】

【何かにつけてドヤ顔したいだけだから……】

 

【おもしれー姫様】

【そうだよ、あの子、あれでもお姫様(ガチ)なんだよなぁ】

【おう、異世界の王族&地球の小国とはいえ1代目女王の妹なんだよなぁ】

 

【なのに】

 

【どうしてこうなった】

 

【ちっちゃいころはただすんすんすんすんしてただけなのに……】

【あの匂いで……脳が……】

【あー】

【わりとあり得そうだよなぁ】

【お鼻と脳みそは距離近いからね……】

 

【でもそのリリちゃん、ハルちゃんにもノーネームちゃんにも適当な扱いされてるよ……?】

 

【草】

【草】

 

【とにかく、この攻撃がラストか】

【このためだけに温存してたのね】

 

【あれだけの部隊が援護に来るって知ってたら、そりゃあもどかしくても我慢させるよね】

 

【実際、あと一歩まで削りきったからなぁ】

【んで最後はハルちゃんに華を持たせると】

【ノーネームちゃん、ハルちゃん好き過ぎるよね】

【好きってレベルじゃないよね】

 

【ハルちゃんたちが話してるところどころで「しゅきぃ……♥」って言ってたもんね】

 

【草】

【そういやそうだったわ】

【もはや鳴き声としか認知してなかったわ草】

 

【お、画面が】

【景色が戻って】

 

【!?】

【えっ】

 

【え? え?】

【あの……目の前、黒い巨体が】

【えっ】

【ハルちゃん!?】

 

【ちょ、ノーネームちゃん!? ハルちゃんは!? ハルちゃんは大丈夫なの!?】

 

 

 

 

「……はる。はる」

 

「……ん」

 

寝たつもりはないのに、気がついたら寝てたらしい。

 

それも、とってもぐったりして……芯から寝てる最中に起こされたみたいな、そんな不快感。

 

「天使様!?」

「マジかよ……」

 

左右から、すっかり馴染んだ声。

 

「……そうだ、ティラノさんは……」

 

「――――G、U、U……」

 

イスさんの機体――そういや、コックピットみたいになってるとこはとても座り心地良くなってるんだね――から、重い体を無理やりに引き剥がして外を見た僕の目と――合うはずのない、巨体にしては小さすぎるおめめが、ぴたりと合う。

 

「……あはは。強いんだね、君」

 

――負けた。

 

魔力勝負で、負けた。

 

僕は「借り物の力」で、君は本物の力で。

それでも、負けた。

 

――負けはしたけども、悲しくも悔しくもない不思議な気持ち。

 

「そうだよね。『この西海岸、全ての海岸線をダンジョンにして顕現した世界』だもん。しゃべれないだけで、君もすごい魔王さんなんだ」

 

「GU……」

 

そっか、負けた。

全力を出して、負けた。

 

……それって、すっごく気持ちが良いんだ。

 

うん。

 

僕、これまではあんまり乗れなかったスポーツものとか、次からはちょっとだけ楽しく読めそうな気がしてきたよ。

 

【えっ】

【魔王!?】

【西海岸全部とか】

【全部て】

【ハルちゃんが言ったってことはこれで確定か】

 

【ダンジョンって、どんだけでかくても……】

【ああ、普通ならな】

【今でも秘匿されてる、各国の軍が直轄してるダンジョンとか、ダンジョンに飲み込まれた地域にあるダンジョンとか……】

 

【……このレベルのがあるぅ……?】

 

【いや、ないよな  あったら民間人でも分かるレベルで封鎖されるし】

【だよな】

 

【あ……大陸中央部の、完全に消滅した国家群……まさか……】

【人がそもそも足を踏み入れられないんなら、存在自体知られるはずも……】

 

【あっ】

【えっ】

【おろろろろろろろ】

 

【今朝……今朝、1年半ぶりに帰ってきたのに……ハルちゃんがノーネームちゃんにいたずらされ始めた250階ダンジョンのときから、ようやくに……ようやく、娘の顔を見たのに……】

 

【おいたわしい】

【かわいそう】

【マジでかわいそう】

【草】

【ハルちゃん……どうして……】

 

【けど、これどうするのぉ……?】

【ハルちゃんで無理なら、後はもう現地の人たちがやるしか】

 

【で、でも、まだ戦力は残ってるし……】

 

――――いぃぃぃぃぃん。

 

「かいひこうど――――――――」

 

――――ちゅんっ。

 

ノーネームさんが言いかけた瞬間に――「彼」は僕たちから一瞬で顔を逸らし、お口から攻撃が放たれる。

 

――どぉぉん。

 

海面が――ビームが空を薙いで、右から左へと駆け抜けた光線の走った水平線が、激しい柱を立てる。

 

それはまるで、滝。

 

地上から空へと飛んでいく、滝。

 

「……ないない」

 

「どれだけしたんですか。ないない」

 

「9わり」

「……そうですか」

 

【え】

【9割!?】

【そんな……】

【もうだめだ……】

 

【戦艦が吹っ飛ぶとか、どんな攻撃だよ】

【ていうか、ハルちゃんと相殺するレベルのビーム放った直後でしょ!?】

【やばすぎでしょ……】

 

【ハルちゃん……ハルちゃんたちは大丈夫だよね?】

【イ、イスさんで逃げたらなんとか……】

 

【そうだよ、ハルちゃんはのんびり地下で酒三昧してたら1ヶ月くらいで元気になるんだからさ、今は撤退して西海岸のお酒でも堪能しようよ】

 

【草】

【ナイスアイデアだな】

 

【白い家「合衆国は歓迎します」】

 

【!?】

【こわいよー】

【ナチュラルに国家の最高機関が会話に交じってくるぅー……】

【ま、まあ、逆に言うとさ、こんなこと言ってくる程度には「この後の展開」は絶望じゃないから……】

 

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