【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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594話 【なかよしな3人】

「はぐっ、はぐっ……」

 

「そうそう、1口ずつ、ゆっくりと噛みながら食べてね。ずっとごはん食べてないと、おなかがびっくりしちゃうから。熱くない? 軽く温めたつもりだけど、やけどとかしてない?」

 

「……」

 

こくっ。

 

さっきまではぼーっとしていた彼女が、今は食べるのに夢中ながらも――光の入った瞳で、しっかりと返事をしてくれる。

 

僕の言葉へ頷きながらも、必死の顔で――ノーネームさんがきちゃない袋さんから取り出したレトルトのおかゆ(きちゃない袋さんの中から出した発電機さんで電気を送ったレンジさんでチンしたやつ)を、大きなレンゲで食べている。

 

……きちゃない袋さんにはいつもいつも助けられているね。

 

ありがと。

 

『――――――』

 

うん。

 

君とも、もう長い付き合いだもんね。

 

【るるちゃん……】

【ハルちゃん……】

 

【ハルちゃんの気遣いが女神級】

【お腹を空かせた幼女に寄り添う女神……】

【だって本物の女神様だもん】

【ハルちゃんはいつも優しいんだぞ】

 

【そうだぞ  ただちょっと稀に良く女神の尺度でやっちゃうから俺たち人間にとっては劇薬になるだけで、神様基準じゃとてつもなく優しいんだぞ!】

 

【草】

【お前!! 今!! 感動!!】

【泣いてるのに笑っちゃう】

【ハルちゃんの配信だから、それで良いんだよ……きっと】

 

「るる――ちゃん。まだ、何十袋もあります。非常食として貯め込んでいたから。……だから、ゆっくり食べてね。おかわりは……食べきれないくらい、あるからね」

 

こくこく。

 

きっとお腹が空いているだろう――たとえノーネームちゃんの治癒魔法があったとしても、ずっと食べていなかったんだろうこの子のお腹には負担をかけたくない。

 

だからあえて、どっさりと目の前にいろんな味のパウチを積んであげると……ちょっと、食べるのが落ち着いたみたい。

 

それぞれのパッケージを見て、次の味を考えながら……ちゃんと1口ずつ、噛むようになったね。

 

「そうそう、ごはん粒を噛んであげてね。おいしいから」

 

【やさしい】

【レトルト……500階層のときの……】

【あのときのが、ずっと役に立ってる……】

 

【そうだよな  大部隊用の食糧を、ほぼ無尽蔵のきちゃない袋さんに詰め込んできたんだもんな】

【きちゃない袋さん……!】

 

【やっぱりノーネームちゃん……あのとき、ハルちゃんがリリちゃん助けた直後から時間を指定してまで、あんな無茶ぶりをさせてたのって……】

 

【あっ】

【そうだろうなぁ】

【唐突すぎたもんな】

【ここまで来るとね……】

【期限も最初、かなり一方的で厳しいのだったし】

 

【それでもすごく延ばしはしなかったのって……】

【「これ」をするための、限界の時間だった……?】

【るるちゃんのために……?】

【ノーネームちゃん……】

 

はぐはぐはぐ……ちらっ。

 

はぐはぐ……ちらっ。

 

「………………………………」

 

口の周りにおかゆをくっつけながら、僕を見るようになってきた彼女。

 

僕のことを見る余裕が出てきたのか……それとも。

 

「……あー、僕もそういえばごはん、全然食べてなかったなぁ。……ちょっと、1袋だけ分けてもらっても……良いですか? なんだか今日は梅干しの気分なんです」

 

僕は、かさりと1袋を持ち上げて――レンジさんの中へ、放り込む。

 

「……! ……ん……うんっ……! と、とっても……おいしい、よ……!」

 

「……それは、楽しみです。僕も、すっごくぺこぺこなんですよ。一緒に食べましょう」

 

ぴっ。

 

電子レンジが梅干しのおかゆを温め始める。

 

 

【温】

 

【明】

 

 

「ええ、そうですね。あったかくて、あかるい」

 

あったかい光が、薄暗い洞窟に――いくつかの、詰め込んであった軍隊さんようのライトでずいぶんと明るくなっているけども、それでもまだ空の下には敵わない世界に、灯る。

 

「……うん……! うん…………! いっしょ、いっしょに……っ」

 

「うん、一緒に食べよう。きっと、もっとおいしいよ」

 

ぽろぽろと――小さい子供なのにほっぺたが凹んでて目元もくぼんでいる顔から、水分がしたたり落ちる。

 

――子供が、餓えている。

 

ただのおかゆを食べただけで、泣くくらいに。

それだけで心臓がぎゅっとなるけども、僕は務めて笑顔を浮かべる。

 

――それが、「大人」の責務だから。

 

「ノーネームさん――あ、このお人形さんのことです――も、食べますか?」

 

 

【食】

 

【♥】

 

 

「はい、とてもおいしいはずです。3人で一緒に食べたら、もっと」

 

「……ぐすっ……お人形さん、るるのも食べる?」

 

 

【食】

 

【……】

 

【たべる】

 

 

「頭の上の字……ひらがなだと分かるっ。はい、あーん」

 

 

【あーん】

 

 

るるさんが差し出したレンゲの先を両手で持って、小さなお口ではぐはぐと――ふやけたお米粒をひとつずつ食べるノーネームさん。

 

 

【♥】

 

 

「うん、おいしいっ」

 

「はい、おいしいですよ。まだまだありますよ」

「……! うんっ」

 

【泣いた】

【まま……】

【これは母親】

【女神様だからね】

 

【普段からのんびりしてるけど、助けを求める人へはいつも急いでたハルちゃん】

 

【これまで確定してるだけで――ハルちゃんがぶらり旅を辞めてから?4年前から1年前まで、確定してるだけで合計500件の救助要請を人知れず達成してたんだもんな】

 

【マジで?】

【うん、ハルちゃんwikiに書いてあった】

 

【え、でもこれ、内部情報なんじゃ……】

 

【あっ】

【草】

【あーあ】

【ま、まあ、女神になった今となってはささいな問題だから……】

 

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