【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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6話 「るるちゃん」&「ハルちゃん」捜索隊

【深谷るるちゃんが死んじゃったって!?】

 

【それデマだって、まだ確定してないからな】

【俺配信見てたけど、なんか助かったって思ったらピンチに戻って、るるちゃんが幻覚見て爆発でカメラ途切れた】

 

【るるちゃんが変なこと言うのはいつものことだけど心配】

【草】

 

【今来た俺には何が何だかまったくわからない】

【安心しろ、見ていた俺たちも、これっぽっちもわかってない】

【草】

 

【こんなときでもクセありすぎるるるちゃん草】

【だってるるちゃんだし……】

【今回るるちゃん、ソロでしょ? いつものメンバーの誰かがいないと】

 

【なーんかやらかすよね】

【やらかす】

【むしろやらかさないとるるちゃんじゃない】

 

深谷るるの配信が――ドラゴンが倒れてきそうになってからの爆発で電波切れで終わってから少しして。

 

彼女を助けるためにと駆け付けたうち、彼女に最も近い60階層まで降りており、かつ彼女のお目付役として有名な同じ事務所の三日月えみの配信。

 

そこに、深谷るるの配信からの難民がそのまま移住してきており……三日月えみの配信の同接数は過去最高となっていた。

 

――こんなの、喜べるはずがないじゃない。

 

ぎり、と歯をかみしめながら、それを視聴者に悟られないようにしつつ、三日月えみは切れ長の目を細める。

 

このダンジョンは中規模。

 

郊外にあるものの近くに駅もあると言うことで付近の人間が頻繁に潜る場所だ。

 

しかも、定期的にモンスターが補充される――魔力が増える時期までは、まだ半年以上の予測。

 

だから、協会のHPで確認した限りでもアクティブなモンスターは圧倒的に少なく、深谷るる1人でも問題はないだろうという判断で許可が出た。

 

……まさか落とし穴の罠に落ちそうになるたびに穴の周囲の岩を掴んだりして緊急脱出装置――リストバンド型のそれ――が少しずつ壊れ、連続で3回目に踏み抜いてしがみつこうとしたときに外れるなんて、不運にもほどがあるもの。

 

……あの子、お祓いとか行ってもお断りされちゃうものね……。

 

【るるちゃんの不幸体質っぷりは知ってたけど……やっぱ1人はダメだわ、あの子】

【無事だと良いけどなー】

【あれだけ準備してきて「やりすぎじゃない?」って総ツッコミだったけど、それでもやっぱ足りなかったわ】

 

【でもさ、あの子より深いところに潜ってた誰かが、召喚されたモンスター叩いたところまでは分かってるんだろ?】

 

【ボスモンスターな】

【マジかよ】

【じゃなきゃ押し潰されるとかないだろ、大きさ的に】

 

【るるちゃんが途中から幻覚見ちゃってはっきりとは分からんけどな】

【るるちゃんだからなぁ】

【草】

【割と本気で生死がかかってるのにこの扱い】

【明日の一面で訃報が出るかもしれないのに草】

 

【いやだって、るるちゃんだし……】

【るるちゃんだしなぁ……】

【心配はしてるよ? してるんだけど……】

【なんかことごとくギャグになりそうだって、調教された俺たちは思えてならないんだ……】

 

……リスナーさんたち、不安は不安でもまだ冗談言えるみたいだから、まだ良いのかしら。

 

――マネージャーさんから「るるをソロで潜らせる」って。

 

そのダンジョンの様子を聞いて「それなら大丈夫そうね」って同意してしまった私を、昨日に戻って引っ叩きたい。

 

後悔の念で焦りつつも、二次災害の危険もあるということで慎重に急ぐ三日月えみ。

 

今はさらなる被害を出さないように。

それだけを考えないと。

 

【えみちゃん……心配だよね……】

【普段はお淑やかにしてるのに】

【今はおっぱい揺れてる……】

 

【冗談言ってる場合じゃねぇ! でも揺れてる!!】

【こんなときにも男な俺たちが罪深い……】

【えみお母さんならきっと受け入れてくれるさ】

 

救護班たちも彼女のすぐ後ろで追ってくれている。

 

生きてさえいれば、きっと助かるわ。

ええ、きっと。

 

トップランカーの事務所のひとつ、その中でも濃いキャラで名前の売れている深谷るる……その遭難と聞いた視聴者が、数秒おきに膨れ上がる。

 

【ハルちゃんも大丈夫かなぁ】

【記録見たけど、るるちゃんとほぼ同じタイミングで配信途切れてたよね】

【ああ。 そもそもハルちゃん、特攻とか無茶しやがって……】

 

……ハル、という子がるるを助けようと。

 

配信のコメントには「彼女」の配信からの難民も――「彼女」の配信に元から居た数人も紛れており、そこから大体の事情を把握した三日月えみ。

 

ハルという子。

 

推定で食べごろのロリかショタ……こほん、小さい子ね、小さい子。

 

78層より深く潜っていたらしいし、普段からソロだって話。

 

親御さんやダンジョン協会からの許可が出るくらいの高レベルなのは間違いないから、せめて2人でどこかのすき間に隠れていてくれたら嬉しいけど。

 

【ハルって誰?】

 

【るるちゃんの救助要請で駆け付けてくれた子。 年齢も性別も秘密な配信だったけど、カメラが傾いてるるちゃんより幼そうって判明してる】

 

【あのぷにぷにお手々は間違いなく幼女】

【まだショタだって言う希望がある!】

【初見……お前……】

 

【いやまあ金髪ロングならロリでもショタでも】

【通報しました】

 

【るるちゃんとどっちが絶壁?】

【るるちゃんだろ……本気で走っても揺れたことないし】

【ショタの可能性があるのに否定されるるるちゃん草】

【雑談回で「Aはあります!」って言ってたから多分AAだしな】

 

……るるったら、セクハラコメントも結構楽しんでたものね。

 

でも。

 

「ごめんなさい。るるの相手は私が見定めますから」

 

【お母さん! 娘さんを俺にください! お祓いした後で!】

 

「ダメです。むしろ私が嫁にもらいます。お祓いしてから」

 

【百合宣言!】

【でも実際るるちゃん危なっかしいし……】

【るるちゃんのファンでさえ「将来は良い相手見つかると良いね」とか言う態度だし】

 

【いや、あの体質はよっぽど幸運じゃないとことごとく貧乏になりそうだし……】

【草】

 

――無事でいて。

 

三日月えみは長いストレートの髪を振り回し――地面にぽっかりと空いた、深谷るるが落ちたと思しき落とし穴に向けてダイブした。

 

 

 

 

「………………………………」

 

「……これは酷いです。ここまでダンジョン内の崩落があったのなんて、これまでの救助活動で初めてかも……」

 

三日月えみも、フリーズした彼女に追いついた救護班や駆け付けた人々も絶句していた。

 

ダンジョンとは魔力が暴走して生成されたもの。

 

地下の空洞ではあるが壁や天井、地面は多少の攻撃では欠ける程度。

ここまで大規模に――瓦礫が散乱していない地面の面積の方が少ないのは前例がないという。

 

【るるちゃん……】

【ハルちゃん……】

 

【るるちゃんに巻き込まれたハルちゃんって子、かわいそう……】

【ハルちゃん、不幸すぎ……】

【草】

 

【いやだって、るるちゃんは不幸なの知ってるけどその子は知らないんだろ?】

【笑っちゃいけないけど笑っちゃう……これがるるちゃんか……】

 

「とにかく、配信を分析して彼女が居たおおよその位置は分かっています。そちらを探しましょう」

「ええ、そうですね」

 

【でもこんなの配信して大丈夫なん? もし死んじゃってたら……】

 

【配信しないわけにも行かないだろ  ニュースもSNSもこの話題で持ちきりだぜ】

【昨日もテレビに出てたしなぁ、るるちゃん  それに緊急脱出装置が外れて作動しなかったってのは大問題だし】

 

【ただでさえ同接と売名目的で結構来てるらしいからなぁ】

【二次被害は後味悪いしな】

 

【それでも俺たちのハルちゃんならきっと助けてるはずだ】

【ハルちゃんって誰よ】

【るるちゃん助けた子だよ】

 

【そのハルちゃんっての、強いの?】

【ああ】

 

るるの名前を叫びつつ瓦礫を慎重にどけていく作業の傍ら、三日月えみが流し読みで読むコメント。

 

そこのハルという子の説明に、一瞬手が止まる。

 

【3年前から延々と、ほぼ毎日数時間ダンジョン潜って】

 

【3年半前だぞ】

【すまん、間違えた】

【良いんだ】

 

【それで、最初はそこまでじゃなかったけど……なにしろほぼ毎日、ほぼ1年中ひたすら無言で潜って大体のモンスターはワンショットだから、かなりのレベルとスキルのはずなんだ】

 

――最初からソロで、こんな暗くていつモンスターに襲われるか怯えなければならないダンジョンに?

 

しかもなめ回したいロリ……こほん、小さい子が?

 

何か事情があるのかしら……いえ、ソロを選ぶ人は大体正確にクセがあるものだけれど……?

 

【最初は銃だっけ】

 

【それから石をパチンコでとか矢を弓でとか】

【コスパ良い方向にシフトして行ったんだよな】

【その頃はコメントでよく相談したもんだ】

【配信中なのになぜか配信主までコメント打っててな】

 

絶対に、声すら出さない主義。

 

男の人が怖い、か弱い女の子なら仕方がなさそうね。

そういう子を優しく抱きしめてあげるのが……こほん。

 

【それにしても良くあんだけ遠距離攻撃系のスキル上げたもんだ】

 

【毎日1人で延々狩って全部1人でやってりゃあれだけ行くわな……経験値も全部だし】

【コストも全部だから最初は本当大変そうだったけどな。 だからコストゼロな石とか使うようになってたんだが】

 

【去年だったか? 一時期銃しか使わなくなって、しかも狙い外しまくりで不調だったみたいだけど……そこからは魔法も使えるようになって結構な頻度で最下層まで言ってたよな】

 

【あれ、なんでだったんだろうな?】

 

【移動ですら休憩頻繁に挟んでたし……体調崩してたっぽいんだよな】

 

【でもさ、最下層をソロで? そんなのえみちゃんでもムリじゃね?】

【相性次第だけど……ここはドラゴンらしいから、接近戦なえみちゃんでも、遠距離主体のるるちゃんでもムリだろうなぁ】

 

【遠距離なら隠れながらちまちま撃ってれば……だけど飛んでこられたら……だし、普通は怖くてやっぱソロじゃやらねぇもん】

 

……ソロで、ボスモンスターを?

 

何回も?

 

――なんでそんな子が今まで誰にも知られていなかったの?

 

コメントの流れで、つい数時間前まで登録者が10人だったというハルなる子。

 

でも、そんな子もるるのせいで――。

 

そう、コメントの方に意識が向いた彼女の下。

 

そこから、不意に聞き慣れた声がした。

 

「あ」

 

「え?」

「やっほ」

 

――この声。

 

「……るる?」

「えみちゃんだ」

 

【え? るるちゃん?】

【るるちゃん居た!?】

 

【体育座りでおとなしく待ってたるるちゃんかわいい】

【なんか元気そうで草】

 

ぼこっ、と。

 

コメントを見ながら瓦礫をどけていた三日月えみの真下。

 

絶妙に屋根になる形で平べったい岩に囲まれて守られていた、深谷るるが……体育座りをしたまま彼女を見上げ、いつもの間の抜けた顔つきをしていた。

 

「えみちゃん、埃まみれ」

「……るるの方こそ……」

 

【感動もへったくれもない再会で台無しだよ!】

【これがるるクオリティ】

【さするる】

【さすが……って言うべきなのか? これ】

 

【良かった……これでとりあえず安心できる……】

【でもハルちゃんは……?】

 

――そこからさらに数時間の捜索が続く。

 

配信のコメントは「ハルちゃん情報」を布教する数人のおかげでリスナーのほぼ全員、さらにはニュースサイトやSNSで拡散されていく。

 

ほとんどのモンスターはヘッドショット一撃で倒す凄腕。

 

ソロ。

ぼっち。

 

孤高の存在。

 

自分から、リスナーからでさえ距離を置いてぼっちを貫く勇者。

 

――そして、子供の手の甲と長い横髪――それも金色の。

 

【捜索打ち切りだって】

【ハルちゃん……】

 

【まあまあ、緊急脱出装置で外に飛ばされて気を失ってる可能性が高いって話だし】

【残りは救護班さんたちの周辺探索か……】

 

【ひょっとしたらいつも通り、ろくにコメントも見ないでさっさと帰って寝てたりしてな】

【ありえる……ハルちゃんならありえる……】

 

【あの子、普段からろくにコメントも読まないし、そもそも普段から世捨て人的な生活してるみたいだから、多分ニュースとか見てないだろうし……】

 

【ハルちゃん、獲物を待つ間何してるかってコメントで「持ち込んだ本読んでます」って言ってた猛者だし……】

【草】

 

【え!? いつ襲われるか分からないダンジョンの中で読書を!?】

【いや、さすがに熱中できる物語とかは控えているらしい】

【そういうことじゃない】

【完全にずれてて草】

【えぇ……】

 

「一体どんな子なんだろうねぇ、ハルちゃんって子。 ……無事だと良いなぁ」

 

「……あなたはまず謝罪とお礼、あとは罪滅ぼしね」

「えみちゃーん!?」

 

【いつも通りのお母さんと娘で草】

 

【とりあえずるるちゃんはハルちゃんにわびるべきだな】

【脱いで?】

【ロリだった場合はもちろん  ショタの場合は顔による】

 

【すでにハルちゃんが無事に帰ってる前提になってて草】

 

そうして彼女たちはダンジョンを後にし。

 

「あの、三日月……さん? ちょっと良いですか?」

 

――救護班の1人が、彼女たちに近づいた。

 

「ハル」という人物の可能性のある「落とし物」を携えて。

 

 

 

 

「~~~~♪」

 

あー。

 

やっぱ疲れた体にはお湯とお酒だよねー。

 

「ひっく」

 

僕は、いつも通りに湧かしてあったお湯へ、帰ってすぐに服を脱ぎ捨ててじゃぶんと飛び込んで。

 

用意してあったお酒をぐいっと呑んで仕事帰りの1杯を楽しんでいた。

 

いやー、今日は大変だったなー。

 

損したこととか忘れてお酒のんじゃおー。

 

何か忘れてる気はしたけども、そんなのどうでもいいや。

 

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