【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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24章 11年前と、僕たち
603話 巨人/タイタン/タイタス


『がっがっがっ……みつけた』

 

『ぎっぎっぎっ……もくてき』

 

『ぐっぐっぐっ……まだよわい』

 

目測で、最低でも30メートル――地方の中核都市でぽつぽつと見かける、高いビルくらいの天井が、ぺりぺりと発泡スチロールみたいに剥がされていく。

 

その剥がす手は、少なくとも10は同時に存在する。

 

それを見上げる僕の感覚は、被捕食者。

はるかに巨大な捕食生物に、ねぐらを見つけられた哀れなネズミさん。

 

【      】

【      】

【      】

【      】

【      】

 

【でかすぎる人間……いや、トロールのでかすぎるのが、ダンジョンの天井を……】

【あの、ダンジョンの天井とかって非破壊オブジェクトなはずじゃ】

 

【いや、ハルちゃんとかごく一部の例外――桁外れの力があれば壊せるのは、もう何度も……】

 

【てことは、あのタイタスの群れは】

【一つ目でもゴブリン系統でもなくって、まるで原始人の人間みたいな見た目で、姿だけビルサイズの化け物とか……なんだよこれ……】

 

「……ノーネームさん、るるさんを」

 

――真っ暗に近い空間に光が入ってきたのに、そこまでまぶしくはない。

 

ということは、彼らの居る場所は、日光の下とかじゃない?

 

「……あのー」

 

僕は、とりあえず説得を試みてみる。

 

説得するだけならタダだ。

ただ働きだけどタダの労力なら、先ずすべきだもん。

 

「今、僕たち気持ちよく寝てるので。後にしてもらえませんか? 具体的には何日か後とか」

 

彼らが聞き取れるように――けどもるるさんを起こさないよう、ぎりぎりの声量で。

 

伝わるかな?

 

【草】

【ハルちゃん!?】

【お昼寝に何日とか】

【神族基準だから……】

 

【言い方がかわいい】

【かわいいけどさ……】

 

『ががが?』

『……かみ……めす……』

『めす!』

 

『まおう……』

『うばう?』

『かみ……こわい……』

 

――そうだ、魔王さん相手でも通じてた、翻訳――スキルだよね、たぶん――でも断片的な、彼ら同士の会話。

 

それは……どう考えても、不穏なもので。

 

【聞いてねぇ!!】

【にげてー!】

【逃げるってどこへ!?】

 

【あ……これ、Gがハルちゃん補足してきたときみたいに、謎空間から入ってきてる……?】

 

【ひぇっ】

【Gよりもこわい】

【そら何十メートルの巨人だからなぁ】

【しかも複数体】

 

【本来なら破壊できないはずのダンジョンの外壁を破壊できるクラスの力っていうと、もうあれの1体1体がGクラス……? しかもたいして苦労してないよな……?】

 

【       】

【       】

【       】

 

【てか何体居るんだこれ……】

【ハルちゃんたち、囲まれてる!?】

【全周囲から天井引っぺがしてくるとか怖すぎる】

【じょばばばは】

 

 

【提案】

 

【避難】

 

 

ぴこ、ぴこ。

 

ノーネームさんが話しかけて――くるけども。

 

「……したいですけど……これ、どこまで逃げても天井むしり取られるんなら、逃げ場なんて……」

 

ぺりぺりぺりぺり。

 

僕たちの上を剥がし終わって飽きたのか、どんどんと先へ――るるさんのことを考えて移動しなかったけども、僕たちの居た大部屋の先の通路の方へ、淡い光が差し込んでいっている。

 

「……あなたたちの。あなたたちの目的はなんですか?」

 

『まお』

『あるじ』

『まおー?』

『まおう』

 

「……魔王? え、でも、ここには魔王さんとか――」

 

『つよいの』

『いる』

『ようたい』

『そこ』

 

――――――ぞくっ。

 

僕は、彼らの目線が「微妙に僕に向かっていない」のに気がつく。

 

そうだ、遠すぎて彼らからはほぼ同じ場所なんだ――寝ている、るるさんの顔が。

 

「――るるさんが……魔王?」

 

【えっ】

【!?】

【るるちゃんが!?】

【いやいや……いふいやいや】

【で、でも、あのタイタンたちはそう言ってるっぽいし】

 

そんなはずはない。

 

だって、僕の知ってる彼女は、そんな――。

 

「……ノーネームさん」

 

そうだ。

 

ノーネームさんは「るるさんと僕が出会うずっと前から」彼女をストーキングして「いじめて」いた。

 

……その真意が分からないにしても、客観的にやってきたことは、そうなっている。

 

でも、この子は良い子だ。

人をいじめて喜ぶような子じゃ、絶対にない。

 

それは、短い期間でもこの子と一緒に暮らしてきた僕だから、はっきり分かっている。

 

――もし、その前が悪い子だったとしても。

 

それでも――るるさんに、るるさんが「もうっ、しょうがないな」って、いつもの笑顔で許してくれるまで、僕が謝らせたい。

 

そう、思うから。

 

「教えてください」

 

ぺりぺりぺりぺり。

 

どうやら、すっごく大きい彼らは、なぜかすぐに入ってこようとも、手を伸ばしてこようともしていない。

 

警戒しているのか、それとも剥がすのに夢中なのか。

 

……なら、聞くくらいの時間はあるはず。

 

彼女が――答えてくれるのなら。

 

 

【:】

 

【るる】

 

【人間】

 

【↓】

 

【魔王】

 

【自然発生】

 

【確率】

 

【0.003%】

 

【地球】

 

【最有力】

 

 

「………………………………」

 

ぴこぴこぴこぴこ。

 

ノーネームさんが言ってくれることを吟味する。

 

「………………………………」

 

魔王――るるさんが、それになる確率。

 

それを、彼女はどうにかして知っているらしい。

 

だから――だから、ノーネームさんは、ずっとずっと。

 

「るるさんが小さなときから、ずっとつきまとっていた」……?

 

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