【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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606話 【優しいハルちゃん】

【えみちゃんが「心に傷を負ったちょろそうなロリ」ってだけで、肉欲でパーティーに。誘っていたとしても  それでも手を出さずに、るるちゃん自身から嫌われない程度に紳士――淑女としてお世話をして】

 

【ハルちゃんと出会う――二度目に出会う前までに、すっかり元気にさせてくれてたんだ  ああ  ロリコンの鏡だよ】

 

【たとえ億が一に見返りを期待していたとしても  それでも、今までしてきたことは紛れもなく立派だよ  たとえその後に手を出そうとしていたりるるちゃんを悲しませる気があったとしても、それでもこれまでしていなかったえみちゃんのことは尊敬するよ  未遂なら実質無罪だよ  たとえ運良く結果的に手を出さずにいられただけだったとしても、それでもロリコンの同士として心から尊敬するよ】

 

【三日月えみ「       」】

 

【三日月えみ「   」】

 

【あっ】

【あっ】

【草】

【さすがにかわいそ――いや、前科があるからな……】

【ああ、手は出していないにしても状況証拠は完璧だからね……】

 

【深谷るる「えみちゃん!? えみちゃん、息をしてぇ!? わ、私はそこまでのこと思ってないからね!? た、確かに昔はちょっと恐い目してたときある気がするけど!!」】

 

【あっ】

【あっ……】

【追い打ちで草】

【るるちゃん……どうして……】

 

【九島ちほ「あの、事実ではありますけどそこまでは  ええ、きちんと治療計画に基づいて治療していますから、どうか、どうか全世界に生中継の場面で――転載されるときは主要なコメントごと全世界に共有されてしまうこの画面で、その、そこまで言うのは……」】

 

【しまった、くしまさぁんストップだ!】

 

【草】

【ドクターストップみたいに言うなよ草】

 

【ま、まあ、くしまさぁん、ダンジョンも含めて医療従事者の資格持ってるエリートだし……】

 

【えみちゃんはおしまい……?】

 

【ああ……】

【一部の国や地域や自治体に入ろうとしたらお縄につきそう】

【つきそう】

【大丈夫、ハルちゃんのお気に入りだから超法規的措置で助かる  といいね……】

【草】

 

【今! いいところ! シリアス! 涙! 場面!】

 

【でも、えみちゃんだよ?】

 

【………………………………それでも、えみちゃんのファンだから……】

 

【ぶわっ】

【感動した】

【草】

 

【いろいろ擦られるけど、それでもえみちゃんのことは好きだし尊敬してるよ  メインは性癖にクリティカル過ぎるハルちゃんとかるるちゃん(幼)を前にして、鉄の意志で手を出さなかったっていうその一点では本当に】

 

【草】

【えみちゃんは、未来永劫ロリコンの鏡として言い伝えられるのだ】

【あの、ハルちゃん、攻撃モード入ってるんですけど……】

 

しゅいんっ。

 

魔力を放出し始めると、頭の上に輪っかがはっきりと浮かぶ。

 

『ぎぎぎ!?』

『しんぞく、たたかう?』

 

『しんぞく、たたかう、いや。おれたち、なかま』

『いけにえささげる、たたかう、やめる』

 

「……そんなの、要りません。生け贄なんかじゃなく、るるさん――この子を追わないって、約束してください」

 

『こまる』

『いやだ』

 

タイタン――いや、巨人たちは、僕が魔力を展開したとたんに戸惑っている。

 

……攻撃してこようとしていない……?

 

「……何が困るんですか」

 

『ずっとずっとさがしてた』

『あたまわるい、ちからだけのいちぞく、ひがん』

『じいちゃんも、そのじいちゃんも、ずっとさがしてた』

 

『まおうさま』

 

『おれたちを、つれてってくれる、いいごしゅじん』

『どらごんたちに、もう、いじめられなくていい』

 

『にげたさきで、にんげんにいじめられなくて、いい』

『おれたち、でかすぎるしすぐおこる、だれも、うけいれない』

 

『だから』

『まおうさま』

『ほしい』

 

『おれたち』

『いきる、ために』

 

「………………………………」

 

……しゅうううん。

 

僕の輪っかが、半透明になる。

 

【ハルちゃん!?】

【攻撃しないの!?】

【るるちゃんが】

【あ、でも、ハルちゃんが対話してるからか、入ってこないなあいつら】

 

「……僕は。ずっとずっと、周りの人よりも、馬鹿でした」

 

僕は――彼らを見上げて、言う。

 

じっと僕を見つめていて――ちらちら映ってたこん棒を投げつけでもできるはずなのに、それでもしてこないで――じっと、じっと僕を見てくる彼らの目を、1対ずつ見る。

 

「学力面――数とか言葉とか、そういうもの――いわゆる学力ってのは、見たり聞いたりしただけで理解できて、すぐに覚えられました」

 

僕は、小さかったころの僕を思い出す。

 

「でも、肝心な――『かしこさ』は、ありませんでした。先生で、生徒で、人同士のコミュニケーションとか言葉にならない人間関係とか、場の空気とか――そういう、本当の意味での『かしこさ』でいえば、子供のままだったんです」

 

――「征矢君は成績優秀で将来有望ですね。あとはもう少しだけ、周囲の生徒と溶け込めたら」。

 

毎年のように三者面談で言われていた言葉。

 

それは、大人になった今だからこそ、理解ができるもの。

 

「……あなたたちで言えば、賢いらしいドラゴンさんたちが馬鹿にしてくるような、そういう気持ち。僕には、される方の――あなたたちの気持ちが、よく分かります。がんばっていても、どれだけあがいても――相手は常に、僕たちが知らない何かを一瞬で理解してくる」

 

『ぎぎ……』

『しんぞく……』

『めがみ……』

 

――十数匹、いや、十数人の中で何人か、目元を腕で覆っている。

 

ああ。

 

……この「人」たちは、人間だ。

 

ちょっと大きいし、どう見てもモンスターだけど――それでも、「人」なんだ。

 

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