【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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613話 「ないない」と「二つ目」と、「一つ目」

『ないない』

『ないない』

 

巨人さんたちが、次々と外壁を――本当に壊すつもりはなかったらしく、そのままの状態で運んできている。

 

【これってたぶんノーネームちゃんの翻訳スキル的なので聞こえてるだけだから、子供でも理解できる「ないない」と近い意味合いの言葉なだけではあるんだろうけど】

 

【なるほど】

【確かにな】

【俺たちの言葉だって、あくまで同じ意味合いってだけで一応翻訳できるけど厳密なニュアンスとか違うことあるしな】

 

【言葉は違っても概念は同じか】

【この巨人さんたち……言い方悪いけど知能もそこまで高くなさそうだしな】

 

【ある意味素直でよろしい】

 

【お前は何様なんだよ草】

 

【え? ハルちゃんの信徒だけど?】

 

【始原は最初期の信徒です】

【始原こそ信徒であり使徒です】

【始原にケンカ売ってるの?】

 

【草】

【始原は黙ってろ草】

【すーぐ古参面してきやがる】

 

りぺ、りぺ。

 

巨人さんたちが結構丁寧に剥がしていたらしい外壁――あ、結構つるつるしてるんだね、上から見ると――をパズルみたいに組み合わせ、絶妙に閉じていく。

 

閉じて閉じて――

 

――がこん。

 

『とじた』

『ないないした』

『ないないはたいせつ』

『もうみえない』

『これでいいか、めがみ』

 

「……良かった」

 

あの世界は――僕が知ってた、大切な世界は――もっと大きくて外にある世界から、ちゃんと隔離された。

 

「あなたたちは悪い人じゃないみたいだけど……強い存在にあの世界が見つかったら、不安だから。ありがとう」

 

ほっとして、深い息を吐く。

 

あとは、ノーネームさんが守ってくれるだろう。

 

……あ、でも、小さなノーネームさんはこっちに来ちゃってるけど大丈夫かな?

 

………………………………。

 

あー、確かもう1人、部屋の中でじっとしてた髪の毛の長い方のノーネームさんも居るんだっけ。

 

2人の関係性が気になるところだけども……それは今は良いや。

 

【ハルちゃん……】

【そっか  もう、別の世界に……】

 

【あれ? でも、カメラさんはしっかり配信してるよ?】

 

【!!!】

【感動した】

【カメラさん……!】

 

【無機物に感動できる配信だからな!】

【無機物「さん」だ、有機物どもめ】

【草】

【すげぇよな……あのときから良くもまあ……】

 

【あの  ハルちゃんが買ってたやつ……どこを見ても品切れだし、そもそもあれ、実は誰も買ってなかった疑惑が】

 

【えっ】

【えっ】

【なにそれこわい】

【こわいよー】

【その廉価版っぽいのなら普通に売られてるんだけど……なぁにこれぇ……】

 

「それで、どこへ行ったら良いんですか?」

 

僕は、広すぎる空間――「まるで僕が今のノーネームさんみたいにお人形サイズになった状態で見た世界」を、ぐるりと眺める。

 

「はぇー……」

 

「………………………………」

 

広い。

 

圧倒的。

すっごく広い。

 

距離感がおかしくなる景色。

昔、海外の遺跡とか行ってみたけど、ああいう場所でひとりぼっちな感じ。

 

「……はぇぇぇぇぇー……」

 

広すぎて空間感覚が良く分からなくなるほど。

遠くには天井と壁と――通路が見えているけども、それでもやっぱり不思議な感覚。

 

【草】

【草】

【かわいい】

【かわいい】

 

【ハルちゃんってときどき思いっきり精神年齢下がるよね】

【純粋だからね】

【前からちょくちょく「この体」って言ってるし、新しい体だと感覚とかいろいろ若返るのかもな……】

【若返るっていうか幼女化っていうか】

 

【ねぇ、ショタの可能性は……?】

 

【しっしっ】

【草】

【ノーネームちゃんのお気に入り】

【ガチでお気に入りなんだよなぁ……】

【不敬すぎるのにないないされないやべー女】

 

『!』

『くる』

『いそぐ』

 

『にげる』

『にげる』

『みつからないところ』

 

「? 誰にですか?」

 

広い空間――いや、「スケールが違うだけだけど、僕の知っているダンジョンと同じ構造をした場所の部屋」。

 

そういえば彼らの背丈とこの部屋の天井の高さとかを見てみると――なんとなくだけども、僕たちが普段ダンジョンに潜っているときの感じ。

 

つまり、ここは彼らにとってのダンジョンで――――――――

 

『そと』

『ああ』

『だめ』

 

『みつかる』

『めがみ』

『かくす』

 

「?」

 

一体、何が。

 

そう思って――ふと、うっすらと索敵スキルに反応した方向――天井を向いた僕は、

 

「――――――――――え」

 

――めりっ。

 

ぺり、ぺり。

 

天井。

ダンジョンの外壁とか内壁。

 

破壊できないはずの、それ。

 

いや――違う。

 

「その世界より上の存在」なら。

 

――ハムスター。

 

小さいけれども懸命に生きている彼らが――どれだけがんばっても何もできないし脱走なんて不可能な、金属とプラスチックでできたケージ。

 

でも、それは――その飼い主である人間なら。

 

圧倒的に生物としてのサイズが、位階が違う存在が……やろうと思えば筋力と体重でひしゃげさせることもできるし、ぐしゃぐしゃにぐんにゃりさせることができる。

 

その中で怯えるハムスターたちをどうするかは――人間たちが握っている。

 

『めがみ』

『みつかった』

『よこどり』

『かなしい』

 

しょんぼりとしている巨人さんたち。

 

【こわいよー】

【こわすぎる】

【一体何が】

【巨人たちが諦めてる?】

【まさか……いや、でも……】

 

【まるで「さっきハルちゃんたちの居た空間の天井が外から剥がされてた」あの光景に似てるような……】

 

――ぼこっ。

 

「――――――――――」

 

その先の――天井に空いた穴。

 

そこからは――――――ものすごく大きな目玉が、ぎょろりと僕を見下ろしていた。

 

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