【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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614話 「ギガント」

『二つ目たち。さぼってたな』

『こんな初級ダンジョンから出てこないのは、おかしかった』

 

『こわい』

『ゆるして』

『いたい、やだ』

 

――天井が。

 

この巨人さんたちのときとは違って、ばんばんって重いもので無理やりに破壊された先。

 

そこから覗いてきている、数人――いや。

 

数体の、一つ目の「モンスター」たち。

肌の色も違うし、髪の毛もないし、何より体格が全然。

 

「………………………………」

 

……初対面の印象だけで決めつけちゃ、ダメだ。

 

ダメ、だけども。

 

【じょばばば】

【     】

【こわいよー】

【でかすぎんだろ……】

 

【え? さっきのタイタンたちが……たぶんだけど大きいので50メートルくらいのはずなのに】

 

【まるで、そのタイタンたちが小人に見えるほど――最低でも100メートル、いや、200、300メートルあるかもな背丈で】

 

【いや、違う  ハルちゃんが守るって決めたのは、目がふたつあって話も通じて――何よりも俺たち人間を、ただ大きくしただけの存在……だけど】

 

【こいつらが――こいつらこそが、タイタン……いや】

 

【ギガント  高難易度ダンジョンでしか出てこない、単純に体のサイズと筋肉で圧倒してくるモンスター……それの、魔族とか魔王とかの……】

 

『居たか』

『居た。……100人も戻ってこない、脱走か反乱か分からなかった……ただダンジョンのすみっこの岩で、寝てただけ』

 

――ちゃきっ。

 

一つ目が、何かを構える。

 

それは細長い筒で、僕たち人間が最も慣れ親しんでしまっている武器を何十倍にしたようなサイズで――。

 

『めがみ』

『こども』

『あぶない』

 

――だだだだだっ。

 

ものすごく重い音が、僕たちを包み込む。

 

――ものすごく大きい、けれどもあたたかい腕が、体が――そっと、僕たちを潰さないように包み込んでくる。

 

何も、見えない。

 

見えなく、してくれている。

 

『いたい』

『いたい』

 

『でも、まもる』

『めがみ、まだこども』

『こどもは、まもる』

 

『こども、めがみ、やくそくまもるひと』

『たいせつ』

 

「………………………………」

 

くぐもりながらも、ひとつ、またひとつと僕を包む体が傾いても、すぐにまた別の「人」が、僕を包み直してくれる。

 

【タイタンたち……】

【ただ大きい人だよ】

【そうだな】

 

【今、「子供は守る」って】

【ハルちゃん、泣かないで】

【包まれて画面も暗くなってるけど、ハルちゃんの目元が……】

【発砲炎で……】

 

『あまり殺すな』

『復活に時間かかる』

『ダンジョンの魔も力、もったいないぞ』

 

『分かってる、ただのお仕置き』

『うさばらしか?』

『どうせ反抗しないから良いはず』

 

『弾がもったいないんだ』

『ああ、それは確かにもったいない』

『二つ目ども。今ので許してやる、さっさと檻へ戻れ』

 

――高いところからの声が、離れていく。

 

『うぅ』

『いたい』

『しんだ』

『ふっかつ、いつ』

 

『めがみ、ぶじ?』

『ぶじ』

『よかった』

 

――すっ。

 

さっき、ちらっとだけ見えた一つ目さん――いや、魔族たち。

 

彼らから僕を隠すように――きっと、上から見れば銃弾から身を守るために寄せ合って隅っこに隠れているように見せかけて。

 

「……みなさん。ケガは」

 

僕は、みんなを見上げる。

 

――赤い血が流れたり、地面に倒れたままだったり。

 

うめき声を上げたり、そんな人を撫でてあげたり――そして、大きな魔石が転がっていたり。

 

「――――――――…………」

 

――この人たちは、種族こそモンスター――魔族。

 

だけども――心は、人なんだ。

初めて会ったばかりの、こんなちっぽけな僕のことを――命を賭して守ってくれたんだ。

 

【ああ……】

【どうして】

【ひどい】

 

【……これ……ギガントたちに支配されているのか? このタイタン――いや、巨人さんたちは】

 

【体のサイズもケタ違い、力も――それに、武器も】

【ダンジョンって言ってたよな】

【てことは……】

【ああ】

 

「……あなたたちも、潜っていたんですね。ダンジョンに」

 

僕の目から、勝手にあたたかい液体が出てくる。

 

……そうだ。

この体は、ときどき僕の意思に反して勝手にそうするんだ。

 

『めがみ、いたい?』

『なかない』

『ごめん』

『ゆるして』

 

「痛く、ないですよ。みなさんが、守ってくれたから」

 

僕は――最後まで残っていた人の指先……その指の腹だけで僕よりもおっきいけどあったかい、土だらけでぼろぼろになっている肌を、そっと抱きしめる。

 

ちょっと僕の涙がついちゃうけど……我慢してね。

 

「……ありがとう」

 

【ハルちゃん……】

【なかない……いや、泣いても良いよな】

【ああ、自分たちが倒れても、ハルちゃんのことを……】

 

【この「大きいだけの人たち」も魔力で復活?するみたいだけど】

【それでも、他人のために……それも、出会ったばかりのハルちゃんのために】

【女神だからじゃない  「子供」だから、守ったんだよな】

 

 

【nai-nai】

 

【格納済】

 

【宛:】

 

【始原】

 

 

【え?】

【えっ】

【ふぁっ!?】

 

【え、ちょっと待って? うちらのとこ来んのこいつら!?】

【緊急の始原会議を招集する】

【ハル様を守った英雄だが……ちとデカすぎるな……】

【倉庫だけでも用地確保で大変だったんだけど……】

【ノーネーム様……せめて、到着日時と場所を詳細に……】

 

【草】

【草】

【朗報・巨人さんたち、ないない後にこっち来る】

【泣いてたのに笑っちゃったよ】

【良かった……良かった……】

 

【ノーネームちゃんがないないしたんだ  巨人さんたちも、仲間だもんな!】

【感動した】

【メンタリティーが同じだし、気性も穏やか?みたいだし楽しみだな!】

 

【※始原の負担がまた増えました】

 

【まぁこいつらはハルちゃんのためなら何でもするやつらだから……】

【てことでがんばってね♥】

【草】

【ひでぇ】

 

【泣いてるハルちゃんを見てられないんだ  せめてないないされたのを喜ばないとね】

 

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