【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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616話 交渉成立

「……そうです。僕は、この通り小さくて羽も生えていて、珍しい見た目……人気なはずです」

 

嘘は、なにひとつ言っていない。

 

僕は、なぜか幼女にTSしてただけだと思っていたら、不思議な力をもらっちゃっている。

 

だから、この人たちが言う「フェアリー」――妖精「かもしれない」。

 

だから、僕は使う。

僕自身の存在に価値があるっていうカードを。

 

幸いにして、言葉は通じている。

 

――それなら、することは決まっている。

 

「知っていますか? フェアリーって、ストレスがあると死んじゃうんです」

 

『すとれす……?』

 

「嫌なことです。すごく困ったり悲しくなったりすると……このまま消えちゃいます。死んじゃうので、二度と手に入れられません。魔王さんに褒めてもらえません」

 

【おお】

【交渉か】

【つよい】

【ハルちゃん、自分を使うのにためらいないよね……】

 

『それは困る』

『死なないで』

『うまいもん食うか』

『楽しくなれば死なないか』

 

「いえ。嫌なこと――それは」

 

僕は――優しい巨人さんたちを。

 

一つ目のモンスターたちとのサイズ差で、もはやただの人間にしか見えない腰みのさんたちを空中から見下ろしながら、言う。

 

「僕は、この『二つ目』さんたちと、友達なんです。友達が、いじめられること。……この人たちを、いじめないって約束してくれたら――僕は生きたまま魔王さんのところに持っていかれて、あなたたちはとってもお得です」

 

『ともだち……』

『めがみの……』

『おお……おお……』

 

『友達か』

『二つ目が友達なら仕方ない』

『俺たちは違うのか』

『違うらしい』

『悲しい』

 

それぞれに呟いているけれど、今のところ僕の言葉を疑う様子はない。

 

なら――僕自身を、交渉材料にする。

 

「……どうですか? 嫌だって言われたら、うっかり今ここで死んじゃって消えちゃうかもしれませんよ? 手に入れる前に、なくなっちゃいますよ? 魔王さんに、褒めてもらえませんよ?」

 

かつて――ドラゴンな魔王さんにお嫁さんとして連れてかれるときにやったような方法で。

 

相手の欲しがるものが、生き物で――自分の意思を持っていて。

本気で拒否されたなら、逃げられたり自分で自分を。

 

だからこそ、僕自身に価値があるからこそ取ることのできる方法。

 

『それは困る』

『二つ目、どうでも良い』

『分かった、いじめない』

 

「――ちなみに、フェアリーは嘘が……種族特性的なので分かります。あとで約束を破られても」

 

彼らが「フェアリー」っていう希少種を知っているくせに、その見た目とか生態とかを知らなさそうなのを利用する。

 

『嘘ついた、ごめん』

『許して』

『消えないで』

 

……嘘だったらしい。

 

『支配権、返す』

『魔王様にお願いする、嘘じゃない』

『もうこき使わない』

『だから死なないで』

 

けども、それは嘘じゃなくなった。

 

「……嘘じゃないみたいなので、もうちょっと居てあげますね」

 

ちょっとの罪悪感。

でも、こうでもしないと巨人さんたちは永遠に奴隷なんだ。

 

【すげぇ】

【この女神……自分を使って】

【良くも悪くも相手が賢くなってもそこまでっぽいのが功を奏したか】

 

【まぁよく知らない種族からそう言われたら従うしかないか、死なれたら困るもんな】

【生きてること自体に価値があって、自分で存在自体を消せるタイプとか確かになぁ】

【さすハル】

 

【でも、G相手のときもそうだったけど……ハルちゃん、自分のこともうちょっと大切にして……】

 

【Gの子供を産ろろろろろろ】

【たくさろろろろろろ】

【だから地球には手を出さなろろろろ】

【草】

【もう1年以上経つんだからGに対するトラウマろろろろろ】

【草】

 

『……めがみ』

 

「しー」

 

巨人さんたちが――僕の正体?を知ってる彼らがうっかり言っちゃわないように、口元に指を立てる。

 

これで分かってくれるかな?

 

『しー』

『ないない』

『やくそく』

『だまる』

 

両手で口を塞いで……それもまたバレバレなんだけど、幸いにして聞かれなかったらしい真実は閉じられた。

 

……ふたつの種族――元はひとつだったそれらの身長差が圧倒的だったおかげで聞かれていないけども、今の僕は妖精さんってことになってるからね。

 

【かわいい】

【かわいい】

【こいつら、よく見たら幼い個体も居るな】

【高校生?中学生?くらいのも居るぞ】

 

【女の子……おっぱいはどこ……?】

【腰みのしかないんなら、おっぱいは……ね?】

【人間っぽいし、オスがいるんなら……ね?】

 

【ぐへへ】

【この前のないないされた巨人さんたち……私でも行けるかな?】

【草】

【お前ら……】

 

【酷使されてるからかヒゲがぼさぼさだし顔も汚くなってるけど、たぶん元は結構整ってるよな】

 

【そこからどうして一つ目なんかに……】

【一つ目は良いぞ】

【一つ目っ子は良いぞ】

【一つ目さんたちの雌個体も映らないかな?】

 

【実は俺、一つ目フェチなんだ】

【実は俺、巨女フェチなんだ】

【私も実は……】

【押し潰されたいの……】

 

【ひぇっ】

【やべーのが来てる】

【せ、性癖自体に善悪はないから……他人に危害を加えない限りには……】

 

『死なれる前に渡す』

『差し出す』

『魔王様、呼ぶ』

『呼んでも死なないか?』

 

「……はい。あんまりびっくりしない方法で呼んでくださいね」

 

『がんばる』

『ドラゴン様、大きい』

『大きな音と風、守る』

 

なんだか彼らが祈りを捧げ始めている。

 

――意外とフットワーク軽い魔王さんなのかな。

 

ドラゴンさん――あのときの、ノーネームさんと戦った魔王さんもそうだったけど、ドラゴンさんで魔王さんならかなり賢いはずだ。

 

……出たとこ勝負。

 

巨人さんたちを守れるように――がんばらないとね。

 

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