【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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640話 イスさん、解除

ごぉっ――ごぉっ。

 

数え切れない数の――索敵スキルは「最低でも3万体以上」って伝えてきている――ドラゴンさんたちに囲まれてブレスを浴びせられるも、透明なバリアが球状に覆って僕を守ってくれている。

 

長くは、持たない。

でも。

 

「僕の中に残ってくれている、イスさんの力。もう少しだけ、借りますね」

 

……これが無かったら、今回は危なかったんだ。

 

最近は痛い目を見ていなかったから、ちょっと平和ぼけをしていた僕を――ほどほどの緊張感できゅってなった僕を、ふわりと抱きしめてくれたのが、イスさん。

 

……僕はいつもいつも、誰かに守ってもらってるんだね。

 

【良かったぁぁぁ】

【イスさん!!】

【感動した】

 

【姿はないけど、ずっとハルちゃんと一緒だったのか……】

 

【これはできる執事】

【これはイケオジ】

【これは完璧な護衛】

【バリトンボイスを沈黙で抑えるもなお守る、執事の鏡】

 

すっかり忘れていたイスさんがそばに居てくれてほっこりしたとはいえ、状況は完全に劣勢。

 

遠くでは魔王さんたちとノーネームさんの盛大な――こっちよりも激しい魔法が飛び交ってるのが響いてくるから、まだ援護は期待できない。

 

――そしてなにより、敵はまだまだ増え続けている。

 

もはや僕の周りはぐるりと、みっちみちになったドラゴンさんたちに囲まれつつあるけども――その隙間をよく見てみると、

 

「おじゃるさんの部下さんたち、もっと増えるんだね……さすがは自称最大派閥の魔王さんだ。支配してる兵士の数もケタ違いだね」

 

隙間から、ちらちらと届く光――それは、索敵スキルのマップの奥で、編み目になっているドラゴンさんたちの艦隊の奥から次々と――その何倍もの戦力が、あふれてきている姿。

 

索敵スキルの外側ぎりぎり――今だと10キロくらいかな――付近が彼らの前衛なもんだから、それより外のことは分からない。

 

たぶん10万とか20万とか――100万とかでも居てもおかしくはない。

多すぎて、索敵からはみ出るくらいなんだから。

 

自称をうのみにするんなら、現状でいちばん勢力のある魔王さんなんだ――その招集に応じる兵士さんは、宇宙的規模なら100万でも少ないくらいだから。

 

なんなら、今ここに来ているのはほんの一部にすぎず、招集があってからはるか遠くからやってくる都合上、長引くほどに不利になっていく可能性すらある。

 

………………………………。

 

ひょっとして、もうおしまいかな。

 

「……いや」

 

ぎゅっ。

 

僕は、弓を強く握りしめる。

 

……るるさんに、ちゃんと帰るって言ったんだ。

 

僕は絶対に、帰ってみせる。

 

そのためにも――

 

「――暴れられるだけ、暴れてみせる。ノーネームさんたちも、戦ってくれているから。だから、イスさん」

 

僕は、羽と体に力を入れて……動くモードになって。

 

普段は絶対どんなことがあっても動きたくない僕は、全身に力を込めて、お願いする。

 

「このバリアを――解除、してください」

 

【えっ】

【!?】

【ハルちゃん!?】

【おめめは、輝いてる……】

【諦め……てはいないはずだけど】

 

合体技はコスパってのが悪いのか、それともクールタイムが必要なのか、ドラゴンさんたちからの攻撃は前のもの――細長いブレスを単発で撃ってくるだけのに戻っている。

 

ごぉっと、細長い――けどもそれはスケール感のバグってる今だからこそで、普通なら、ダンジョンの中ならかなり太いし避けるのも難しいし、何よりも強力だろうブレスが、次々と放たれてきているんだ。

 

上下左右に壁も天井も床も、岩場も良い感じのくぼみも水場も、トイレ用にちょうど良い溝とか穴もない、宙の空間。

 

感覚がおかしくなるのは当たり前だし、さっきのに比べたら情けないくらいにちっちゃく感じるけども――たぶん、1発1発が、直撃したら僕でもかなり痛いだろうブレス。

 

ドラゴンの、ブレス。

それも、魔王さんの側近で――レベルだってケタ違いのはず。

 

ただの人間だったらリストバンドが起動する間もなく、じゅって蒸発して消えちゃうほどの攻撃。

 

それらのうち何十かが流れ星みたいに僕の至近へ降り注ぎ、さらにそのうち何本かが僕にかすったり当たったりするところを、バリアで守ってくれている。

 

けども。

 

「……こんな調子じゃ、あっという間に魔力が尽きちゃう。ただでさえ相手は無限の魔力に、無限の兵力――対するこっちは、さっきちょろまかしたのをぶっ放したからすっからかんに近くなってる。そのおかげで攻撃がこの程度で済んでるんだけども……かなり節約しないと。だからお願いです、イスさん」

 

――すぅぅっ。

 

理解してくれたのか、僕を守っていたしゃぼん玉が消失。

 

僕を守るものは――攻撃が直撃しそうになったらさすがに守ってくれるだろうけども、それ以外には――もう、無い。

 

避け損なったら、相応のダメージを受ける。

ダンジョンに潜ったときの、ひりつく感覚が戻ってくる。

 

【なるほど】

【ハルちゃん、いつも魔力不足だから】

【むしろ満タンだったのは数えるほどだしなぁ】

【あー】

 

【それ以外の期間も、基本はやっぱり魔力を貯めるため節約してたし】

【のんびりなのはそういう理由もあるんだもんなぁ】

 

【ハルちゃんがこの上なくのんびりなのは生まれつきだと思うよ】

 

【始原もそう思います】

【深谷るる「私も!」】

【リリ「私もです!」】

【三日月えみ「え? ……わ、私も」】

【九島ちほ「……わ、私もです……」】

 

【草】

【くしまさぁん is goddess】

【唐突で草】

【くしまさぁんも少しずつ侵食されてる気が……】

 

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