【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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644話 ドラゴンさんたちと酒盛りしながら花火鑑賞会

はるか遠くには、巨大なまんまる。

 

確か生物の授業か何かで見たことのある、たくさんの細胞が集まっての球体――お口のとこだけが内側にくぼんでる挿絵。

 

それを思い出すような光景だ。

スケールは全然違うけどね。

 

【すごい】

【さすハル】

【まさかハルちゃん自身が矢になって飛び出すとは】

【そうか……普段と逆の発想か】

 

【普段は接地してる靴の裏とダンジョンの床、空中でも羽かなにかで抑えていた反動を利用したか】

 

【逆転の発想だね】

【宇宙空間っていう上下も左右もなくって作用反作用がある場所だからこその脱出劇か】

 

【ハルちゃんかしこい】

【これはかしこい】

【ちょうちょの1万倍かしこい】

【ばっか、0になに掛けても0なんだぞ】

【そうだった……私ってほんとバカ】

【草】

 

【すげぇ……ハルちゃんが貫いてきた穴、あのぼこぼこしたやつの1つ1つがでけぇドラゴンなんだぜ……?】

【ああ、裂け目の穴付近でキラキラしてるのは魔石になったドラゴンか……】

【こわいよー】

 

【見た目が中性子星とかで草】

 

【それだ】

【ハルちゃんの金色の光がまだほとばしってる】

【反対まで貫いてそう】

【かっこいい】

【ハルちゃん……とうとうに宇宙的存在に……】

 

――どうせこのあと、追いかけてきて囲まれる。

 

けども、それでも……あのままやられる未来は、回避できたんだ。

 

 

 

 

「おー……でっかい」

 

包囲網を――なけなしの魔力をほとんど使い果たしてまで脱出した僕は、もっともっと離れてから振り返り、僕を取り囲んでいたドラゴンさんたちの玉を眺める。

 

もう動けないし、精いっぱいの抵抗はしたつもり。

だから、もはや今の僕は無敵――余裕を持って眺めていられる。

 

彼らもてんてこまいで手一杯らしく、こっちに攻撃してくる気配もないんだ、ここはどっしり構えよう。

 

覚悟を決めた男は、どっしりとするんだから。

 

けども、やっぱりすごい光景だ。

男はこういうのに感動するんだ。

 

「ほぇー……」

 

でかい。

それはもう、とんでもなく。

 

――まるで連星、それとも衛星のように近くに浮いてるのは、何本か檻を折ってある、光り輝く「おじゃる玉」。

 

あ、でもちっちゃいおじゃる玉の方が恒星で、でっかいドラゴンでできたボールの方が惑星とか衛星かなぁ。

 

「………………………………」

 

中身がないとはいえ、たかが僕1人を取り囲んで叩くためだけに、それよりでっかい玉に見えるほどぎっちきちになってるドラゴンさんたちの数を想像すると。

 

「……ほぇー」

 

探知スキルでは、増えに増えたみたいで、球を構成する彼らの数は、およそ300万。

 

この世界には、そんな戦力を簡単に用意できる存在が――魔王が、居るんだ。

 

「すごいなぁ……こんなに動員できる、おじゃるさんって」

 

【草】

【かわいい】

【普通に感心してるハルちゃん】

【いつも通り感覚がずれててかわいい】

 

【まぁ現実感ないよね】

【ハルちゃん、さっきまであの中心で集中砲火に……】

【無理矢理とはいえ、良くもまぁ脱出できたわなぁ】

 

『ギギ!?』

『ギー、ギー!!』

 

ドラゴンさんたちの玉の北極と南極――なんとなくだ――を貫くようにして、外へと吹き出す魔法の矢と僕の残滓が放出されている。

 

その両極付近は多少崩れているけども、それ以外は綺麗な球体を形成している彼らは――さすがにその大半が、逃げ出した僕に気がついたらしい。

 

「……追いかけられたら、さすがに捕まるかな。けど、もう……逃げる魔力は、ないや」

 

ふぅ。

 

僕は、ひとつのため息をしてから――きゅぽんっ。

 

「くぴ……こくっ、こくっ」

 

――もはや、この多勢に無勢っぷりでは、お酒での魔力回復なんてのはただの気休め。

 

だけども、

 

「ま、ここまでがんばったんだし。ごほうび、いいでしょ」

 

お酒ってのは、気持ちよく楽しく飲むもの。

 

だから、こうやって――こういう状況だからこそ、あえて気持ちよく楽しく飲むんだ。

 

「ぷへ」

 

【ハルちゃん……】

【もう、ダメなのか……】

【ここまでずいぶん暴れてたけど】

【そんなぁ】

 

【あとはおじゃる朕魔王がどう出るかだが】

 

【草】

【「朕」はやめない……? 力が抜ける……】

【ちょうちょはやめてっていってるの!!!】

【かわいそうに……】

【ハルちゃんだからギャグ空間にはならないと思うけど、ならないからこそこのあとが……】

 

【ハルちゃんのこと、本気でほしがってたから……さすがに命までは  そうだよね……?】

 

 

 

 

「ぷはぁ……おいしいねぇ」

 

『ぎぃー♪』

 

「お、君、いける口? 次は焼酎とかどうかな?」

『ぎー』

 

「む、君は白ワインだけなんだね。こだわりは大事です。次のをあげますね」

 

それからどのくらい経ったのか。

 

気がついたら僕は――目の前の十数匹のドラゴンさんたちと、お酒を分け合っていた。

 

いやだって、欲しいって言うから。

 

『ぎー♪』

 

「ふーん……おじゃるさんってば、勝手にどんどんイケイケで侵攻しちゃうから、征服したは良いものの、君たちが保持しなきゃいけない占領地――世界の維持が大変と」

 

『ぎぃー……』

「大変ですねぇ、部下の人たちも」

 

【草】

【草】

【速報・ハルちゃん、敵軍の兵士たちと酒盛り】

【ハルちゃん……】

 

【あの、ハルちゃん……危機感ってのは】

【ああうん、ハルちゃんならこうなるよねぇ】

【お酒は万能】

【敵軍を目の前に酒盛りした上で敵軍を招いて一緒に飲む胆力がないと無理だと思うよ】

 

【※たぶんハルちゃんはハルちゃん自身が飲むついでなだけでなんにも考えてなさそうです】

 

【草】

【草】

【ハルちゃんがしあわせそうなら、まぁ……】

 

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