【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
満天の夜空に瞬く星々――そのように見えるほどに膨大な数の転移魔法の光は、秒ごとに膨れ上がる「魔王軍」そのもの。
魔王は、単体で――体当たりをするだけで惑星をも砕くことが可能であり、それに劣るものの「幹部」級ならばやはり体当たりで惑星の気候を完全に破壊し、そうでなくとも準惑星、衛星程度なら簡単に屠ることができる。
そのようなことを、朗々と高らかに語る、魔王。
「おじゃるさん」と呼ばれていた段階とは違い、もはや「宇宙の意思」そのものとしか映らない「災厄」。
女神により、その言葉が全世界へ発信されていることにより――全世界は、まだ「災厄」に侵されていないだけの場所に住まう人々は――絶望するしかなかった。
【 】
【 】
【 】
【 】
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【なぁ……】
【ああ……】
【今回ばかりは無理っぽくない?】
【だなぁ】
【ハルちゃんもどっか行っちゃったし】
【ノーネームちゃんが、これを察知してないないしたかも】
【くっころが興味を引いて、ノーネームちゃんが安全圏へないない……か】
【そうかもなぁ】
【こんな大戦力持ってたら……やっぱハルちゃんが居ても、そのうち俺たちはやられてたよなぁ】
【それな】
【知らなかっただけだよな】
【知ってたら対策ができるとか、そういう次元を越えてるもんな】
【覇権主義の独裁国家 しかも個人差はあっても肉体能力はせいぜい数倍程度しか差のない人間社会とは違ってファンタジーな世界のそれ――トップが化け物レベルで強くって、敵対する神族の庇護下にあった人間をことのほかに敵視してる……そうだよな】
【ここまですごすぎたら逆に笑えるかも】
【分かる】
【諦めはつくよな 完全に大災害だもん】
【ダンジョンが現れたばかりのころを思い出すな】
【ああ あのとき、死を覚悟したんだ それがちょっと遅くなっただけだもんな】
【少なくともハルちゃんは助かるんだし……】
【しょせんは地球っていう大地を這うだけの人類だしな 生物としても格の違うやつらが本気出してきたら敵うはずがない】
【そもそもとして、本来なら11年前に滅んでたもんな】
【ハルちゃんとノーネームちゃんが助けてくれたおかげで長生きできただけだもんな】
【2人とも 11年も追加で人生楽しめて良かったよ】
【うん、楽しかったよ】
【いろいろあったし、心残りも多いし、やっぱ怖い けど……うん 生きてて、良かった】
【あれから産まれた子供たちも、何年かは人生を楽しめたんです ありがとう】
【数年前、親をちゃんと看取れた 俺の人生は、それで充分だ】
【ぶわっ】
【ノーネームちゃん ついでにくっころも連れて逃げて】
【そうだな】
【ノーネームちゃんにも生きててほしいし、くっころもくっころで……なんだかんだ、憎めないもんな】
【ハルちゃんを逃がしてくれた ただそれだけで、もう許したよ】
【3人で静かに隠れて、せめて平和な余生を……】
【:】
【拒否】
【!?】
【えっ】
【ノーネームちゃん……?】
「まおう」
ノーネームが――人形サイズから一転、光に包まれて数秒後には人の姿に戻った彼女が、明らかに異界の異なる王へ――宣言する。
「こうさん」
「いまのうち」
【!?】
【!?】
【ノーネームちゃん!?】
【ノーネームちゃんが……】
【正気か、ノーネームちゃん】
【もう体を維持するしかないほど弱ってるのに】
【やる気なのか、ノーネームちゃん】
【でも、絶対……】
黒髪に紅目、黒いドレスに赤いリングを身に纏った女神は――幼くとも、魔王が思わずたじろぐほどの迫力を秘めており。
「……私からも、忠告を再度」
くっころが、彼女の横へ並び立ち。
「神族、神々とは――我々魔族、魔を、かの戦いで敗北こそしても、魔王様の世代や純血のドラゴンが限られるほどに痛手を負わせた存在です」
くっころもまた、10歳をわずかに超えただけの幼い少女の――「人間の少女」の姿で、吠える。
「――そして人間とは最弱でありながら、時としてドラゴンを屠る存在。……程々にしませんと、後で痛い目を見るのは魔王――貴公ですよ?」
【くっころ……】
【ハルちゃんに怒られ続けて、ハルちゃんを大好きになって、こっちに着いてくれたドラゴンっ娘――元、魔王】
【お前……黙ってれば、命だけは見逃されたものを……】
【そっか お前も、もう人間の意識なんだな】
【ああ……】
【ヘンタイに染まった、ただの人間だ】
【ね、えみちゃん】
【草】
【草】
【ないてるのにわらっちゃったじゃないか!!】
【いいじゃんか、そういうのも】
【それもそうだな】
【……絶対無理でも、せめて一矢を ……そっか、そうだよな】
【ちょっとダンジョン潜る装備整えてくる】
【ちょっとごはん炊いておにぎり握ってくる】
【絶望でも、その瞬間までは戦いたいもんな】
【たとえ「手の届かない場所から一方的になぎ払われる」としたって その瞬間までは、気持ちだけでも戦っていたいもんな】
人々は――あるいは魔王に反抗する魔族は、それぞれの世界で動き出した。
自らの種族の矜持のために、死地へ向かわんとして。