【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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665話 【悲報・ちょうちょちょうちょちょうちょちょうちょちょうちょ】

「……そっか。そうだったんだ」

 

ぽつり。

 

僕は、ふとスコープを覗き続けて閃いたそれに、思わず口に出す。

 

たとえるならミステリー小説で予想をはるかに超えるトリックに遭遇したとき。

たとえるならパニック小説で予想をはるかに超えるオチに遭遇したとき。

 

――たとえるなら、ゲームでテキストには表示されないけどもやりこめば体感できる「システム」と遭遇したとき。

 

僕は、震えるんだ。

 

僕が圧倒される「真実」に。

 

「……この世界は、『ダンジョン』と同じ構造してるんだ」

 

――ダンジョン。

 

神族、神様――ノーネームさんが用意したって言ってた、遠くの世界のモンスターたちを囲う、檻。

 

その構造は定期的に入れ替わり、毎回別の形をしている。

けれども大体のダンジョンは、造り自体は同じだ。

 

地上に入り口があって、階段を降りていって。

階段から先は小部屋から中部屋までがぽつぽつ点在していて、それらを通路がうねうねと結んでいて。

 

そんなダンジョンを、僕は「モンスターに不意打ちされるのは怖いし痛いし、かといって移動しながらいちいち耳を澄ませて場所を把握するのはめんどくさいな」って理由で、索敵スキルを育てていった。

 

その結果が、2フロア3フロア下まで、おおよその構造とモンスターの居場所が分かるっていう広範囲の索敵。

 

そうした水平垂直の多重構造。

 

ゲームでも索敵スキルでも、あくまで二次元的な――紙の上に描いただけのマッピング。

 

でも。

 

――それらは、何度となく潜って繋げたならば、三次元的な編み目になる。

 

「……これ、おじゃるさんまで繋がってる『この世界そのもの』と、まったくおんなじなんだ……」

 

 

 

 

「ちょうちょ」

 

ノーネームが――ちょうちょが乗っている指を高らかに、宣言する。

 

「ちょうちょ」

 

その姿はどう見たって、童女がお花畑で見つけた「お友達」を紹介しているもの。

 

――だからこそ、それを目にするすべての存在が混乱する。

 

「ちょうちょ」

 

この場にあり得ない/あり得るはずのない/空想/妄想/虚言/混乱/虹色の橋の光景だから。

 

【?????】

【なぁにこれぇ……】

【ちょうちょだよ?】

【それは見りゃ分かる、そんなことを聞いてるんじゃない馬鹿】

【そんな子供でも分かること聞いてるんじゃないよ?】

【バカなの? 死ぬの?】

 

【脳が……三文銭が足りないって追い返された……】

 

【草】

【草】

【脳みそ戻ってきてる視聴者が居て草】

【生き返って良かったね】

【発狂しないで】

【落ち着け】

 

【これが落ち着けるか!? ちょうちょだぞ!?】

【ちょうちょは……まずい……】

【おのれ魔王! なんと卑劣な!】

【これが精神攻撃か……】

 

【え、でも、魔王軍も攻撃しかけてたのを止めてない……?】

 

【だってちょうちょだぞ?】

【ちょうちょだもんな】

【戦場の真ん中にちょうちょがひらひらしてきたら、思わずで立ち止まるだろう?】

【警戒もするし混乱もするよな】

【もうこれでいいや】

【分かる】

 

「ちょうちょ」

 

ふんすっ。

 

ノーネームが――心しか、得意げだ。

 

「……ちょうちょ!」

 

少し声量を上げた!

 

どや顔だ!

 

『……それが、切り札か?』

 

魔王が、戸惑いながらも問う。

 

「んむ、ちょうちょ」

「女神は……大変に美しい蝶だと言っておられます!」

 

けれども、彼女たちはちょうちょを全肯定する!

 

『………………………………』

 

魔王は――しばし、思考の海に沈んだ。

 

罠である可能性は?

 

無い。

あり得ない。

 

この状況をひっくり返される可能性は、那由多の彼方にも――無い。

 

魔王はそう判断し、現実へ帰還する。

 

『……分からぬ。死を前にして、たかが紛れ込んだ小さき命を喜ぶ、その呑気さが』

 

「ちょうちょ」

 

ノーネームは、ちょうちょをかざした手を――そっと、片手で隠し。

 

「みせない」

 

【草】

【かわいい】

【見せられないよ!】

【おいやめろ】

 

「ないない」

 

【なぁにこれぇ……】

【んにゃぴ……】

【ねぇ! ちょうちょでしょ? ちょうちょ! ちょうちょちょうちょ!!】

【おお、もう……】

【かわいそうに……】

 

その気になれば瞬時に「太陽系程度」なら蒸発させられる規模の軍が、戸惑う。

 

「なにか罠があるのではないか」と――1分、2分。

 

しかし、状況は変わらない。

 

圧倒的優勢と圧倒的劣勢という立場は、揺るがない。

 

『――――――総員――』

 

魔王が号令を掛け、もはや無数の有翼種の頂点たちがブレス攻撃を敢行しようと魔力を口へ注ぎ始めた直後――女神が、振り向く。

 

「――――――きたっ」

 

声を上ずらせ、頬にも赤みを差して、急に別の方向へと振り向く。

 

「はるぅ……♥」

 

【!?】

【!?】

【!!??】

【ハルちゃん!?】

【てかノーネームちゃんがハルちゃんを直接呼んだ!?】

【感動した】

【ハルちゃん! ……居ない……】

【もうだめだ……】

 

『!? 女神が――――――』

 

その名前を聞き、思わずで彼女の視線の先を追った魔王――いや、魔王軍全軍。

 

その先が、突如として光り始め――――――金色の奔流が、彼らを包んだ。

 

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