【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「ないない、むねないない……ないない……」
胸を揉み続けてるノーネームさん、ばるんばるんさせてるくっころさん――ちらちら僕の方を見てきている2人を無視して顔を戻すと、やっぱりどう見ても山とか大岩とか小惑星っぽいのがまとめて渦から出てきている。
……ワープに巻き込まれたわけじゃないサイズだし……もしかして、質量での攻撃をするために運んできたのかな?
「あれはドワーフたちが作った戦艦だね。君たち人間は科学の力で――ドワーフたちは、土の力で文明を築くんだよ」
ドワーフ?
ファンタジーの世界の小さな人たちのこと?
そんなの、それこそファンタジーなんじゃ――あ、や、そもそも僕だってファンタジー極まる存在になってるんだった。
ほら、輪っかとか羽とかあるしさ。
なんなら飛べるし、お酒もいくらでも飲めるし、いくらでも持ち歩ける――のはきちゃない袋さんのおかげだった。
いろんなごつごつとした、土の塊そのままだという、ドワーフさんたちの戦艦たち。
形に一貫性はなく――転がってる石ころたちと同じようにひとつとして同じじゃないけども、中には良い感じのも結構あるね――それらを見て、ふと思う。
「……土で、大丈夫なんですか?」
ほら、崩れたりしない?
や、中には石――巨大な岩とか小惑星っぽいのもあるし、そっちは大丈夫だろうけども……だって、土だよ?
柔らかかったりするんじゃない?
「彼らに言わせたら『継ぎ目だらけだし、ちょっとあっためて叩けばふにゃふにゃになる金属を伸ばしただけの板を無駄に重ねただけで大丈夫なのか?』ってことらしいよ? 実際、土属性の魔法で限界まで固めた大地は岩盤にも劣らない硬度を誇るからね。頑丈さでは鋼鉄よりも安心感があるんじゃない?」
確かに。
言われてみれば、彼らの方に理がある気がする。
「はぇー」
そうだ、土でも限界まで固めたら泥団子とか陶器とかになって、衝撃さえクリアすればかなり硬くなるんだ。
植木鉢っていう、植物と土と土を焼いた陶器が高いところから落ちると大惨事になるほどの凶器になるってのは誰でも知ってるし。
……金属の方がって思ってたけども、密度を上げたなら加工の仕方によっては――ましてや魔法がある世界なら。
「はぇぇぇぇ……」
僕は新事実を認識して脳みそがじわっとしている。
それは何十冊に1冊の確率で巡り会える、僕の考えとかを根本からねじ曲げてくるようなすごい本に出会った、あのときの感覚。
「はぇぇぇ……」
「うんうん、新しいことを知るのは良いことだよ、ハル」
「しゅきぃ……♥」
「うっ……そろそろ卵が増えすぎてお腹が重たく……」
僕は、科学の常識にとらわれすぎていたみたいだ。
そうだよね、それを言うんならダンジョンの壁とか床だって――金属じゃないらしいのに、すっごくでっかい爆弾とかじゃないと基本的に壊せないくらいなんだもんね。
僕は反省した。
あと、できたらドワーフさんたちの書いた技術書とかを読みたくなった。
この戦いが終わったら姉さんにねだってみよう。
なんなら彼らのお宅にお邪魔させてもらって――ファンタジーな本の常識としてドワーフさんたちはお酒が大好きだから、おこぼれにあずかろう。
【かわいい】
【かわいい】
【ドワーフ!?】
【ここへ来て新たな事実を投げつけられるハルちゃん】
【お姉ちゃんが嬉々として解説してるあたり、ハルちゃんとそれなりに歳が離れてるのは確実か】
【しかもいちいち本気で喜んでくれるもんな、おはなしを聞いて】
【ハルちゃんの反応見たらいくらでもおはなししてあげたくなるよな】
【園児or低学年の妹に得意げな顔で教えてる高学年のお姉ちゃんか……ふむ】
【見た目は全然変わらないのになぁ】
【ハルちゃんとアルちゃん、並ぶとマジでどっちがどっちかわかんないんだよなぁ】
【服も髪型も長さも……あ、でも、ちょっと目元は違うか】
【なるほど】
【数万年?生きる神族な女神様だから時間スケールがあいかわらずだけど、人間換算で数歳差の姉妹ってとこか】
【ハルちゃん、マジで幼いor記憶喪失かなにかなのな】
【それか、訳あってノーネームちゃんと一緒に仲間とはぐれてたっぽい?】
【アルちゃんがさらりと言ってることをまとめるとそんな感じだね】
【数千年前とかすっごい昔の決戦で居なくなったんだもんな、ハルちゃんたちの仲間って 話によると、当時はまだ原始人だった俺たちも含めてのたくさんの人を……】
【ぶわっ】
【それなぁ】
【物心ついてからその戦いを見てたor参加してたアルちゃん、物心つく前に――たぶん逃がすためにどっかへ飛ばされたハルちゃんとノーネームちゃんってことか】
【それなら知らないことだらけだったり、昔のことでトラウマのせいで記憶が飛び飛びでもおかしくはないわな】
【なんなら反応がことごとくに俺たち寄りだもんな】
【だからこんなにもお口開けて感心してるんですね】
【かわいいね】
【かわいいね】
【脳が……これまでの科学の矮小さを認識する……】