【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~ 作:あずももも
「むぅ」
「先輩がお怒りです!」
「?」
振り向くと、僕を見上げながら微妙にむくれているノーネームさん。
「どうしたんですかノーネームさん」
「ないない……」
「なにかがご不満なようです!」
【草】
【なにが不満なんだノーネームちゃん!!】
【ちょうちょを手放しなさいってのがそこまでいやなのか……】
【草】
【ノーネームちゃん……どうして……】
【悲報・カオス】
【悲報・一大決戦の場面で果敢にも異種族へのアプローチしたやつが居る】
【悲報・ノーネームちゃん、なぜかちょうちょがお好き】
【大混乱で草】
【なぁにこれぇ……】
【感動した】
【愛……それは素晴らしい……】
【でも今は話進まないから止めようね? アルちゃんのストレスがマッハだからね?】
【草】
【草】
【かわいそうに……】
【過去1番にかわいそうな子】
【い、妹想いなだけだから……】
【でもハルちゃんのこと、うっかり弟呼びしちゃうおちゃめなお姉ちゃんだよ】
【まぁずっと離ればなれ?だったっぽいし】
【でも性別なんて言い間違えるか? 普通】
【翻訳魔法の影響じゃね? まず言葉なんて違うだろうしさ、神族ってのと】
【なるほど】
【性別の概念すら超越してそうだしなぁ、神族って】
【男女だけって限らないよなぁ、生物全体で見れば】
【確かに】
【神話の天使とかも、無性だったり両性だったりするしな】
【プラナリアとかは単性生殖だったりするし】
【ハルちゃんがプラナリアみたいに分裂するのか……】
【草】
【「増えたので2倍お酒が呑めますね」】
【草】
【草】
【想像したらかわいくて草】
【かわいいってお得だねハルちゃん】
【まぁハルちゃんってばこの調子だし、見た目と声が今のままでもショタって思い込もうとすれば思い込めるくらい男の子っぽいとこあるし】
【ダンジョンのこととか自分が発見したこととかご本のこととかになるとやたら早口だしな】
【自分の魅力に無頓着なところもまた小学生男子な感じ】
【人間だったらまず自堕落なところが余計にだらしない男子って感じもするね】
【るるちゃんたちへの関心の無さからも分かるね】
【草】
【かわいいね】
【かわいいね】
【ショタ ショタ ショタ】
【隙あらばサブ垢から呪文唱えてるんじゃねぇ姉御ォ!】
【あ、バレた?】
【草】
【性癖が入り乱れている】
【たった今、種族すら違う文明からの乱入があったばっかだからね……】
【よかった どうしようもなくダメなのは地球人類だけじゃなかったんだ……】
【少なくとも機械生命体種族とは仲良くなれそうだしな!】
頭上には、見渡す限りに何層にも整列したお船――「戦艦」が並んでいる。
上下左右手前奥と格子状に並んだその壮観な様子は、ミリタリーものとかにそこまで興味のないはずの僕でさえ心をくすぐられる迫力でいっぱい。
見た目は鋼鉄の分かりやすいのからブロッコリー、岩と土の塊からとげとげした金属のものまでが、ものものしい音を響かせながら少しずつ前へ前へと、1隻1隻と渦から出てきている。
形も材質もサイズも全然違うものでも、こうして並んでいるとどこかに類似性を感じるのは不思議だね。
――ごぉっ。
こっちが前に出てきたということは、敵もまた前に出てこられるということ。
ちょっと目を離していた隙に正面のオレンジ色のドットの画面が近づいてきていて――それを構成する、こっちと同じように綺麗に整列したドラゴンさんたちからのブレスが、さっきまでよりもはっきりと飛んできている。
僕たちのずっと前で盾を構えている大きな巨人さん――巨大な、羽の生えて輪っかのある人間の見た目の彼らが、まるでギリシア神話の戦いみたいにドラゴンと対峙している。
巨人や天使っぽいのと戦艦、神話と近代の対比。
それが真っ暗なのによく見える宙の中ってのもまた不思議な感覚。
「もうまもなく、両陣営ともにお互いの遠距離攻撃の射程範囲だね」
「そうなんですか」
「動きが遅いって思ってない?」
「そうなんですか」
【草】
【もしかして:ハルちゃん、真上を見上げるので忙しい】
【完全に適当な返事で草】
【るるちゃんリリちゃんへの対応とそっくりで草】
【ハルちゃん、説明してくれてるんだから興味持ったげて……?】
「昔から戦いってのは、案外のんびりしてるもんだよ」
「そうなんですか?」
「うん、ほら。あれを見て」
「そう……どれ?」
【お】
【興味持ったぞ!】
【感動した】
【草】
【ハルちゃん……? 精神年齢下がってない……?】
【もうおねむなのかもしれんぞ】
【あー】
【草】
【さっきまで忙しかったからね……】
――ごぉっ。
ひときわ長いブレスの炎が、僕たちの正面付近に居る巨人さんの盾に当たり――円形に弾き飛ばされている。
「そろそろ攻撃が当たり始めた」
「あれ、大丈夫なんですか?」
「うん、無理はしないように言っている。彼らも半分とはいえ神族だ、耐久力は後ろの戦艦たちにも劣らないけど……この戦いはハルのおかげもあって完全な奇襲に成功。あの魔王も、もうしばらくは復帰できないからね」
「そうなんですか」
【あ、また適当な返事に戻った】
【あーあ】
【ハルちゃんの集中力が持たなくなっている】
【ノーネームちゃんは?】
【ちょうちょとハルちゃんを見比べてる】
【草】
【こう見ると見た目はそっくりでも年齢が相当違うって分かるね】
【それがかわいいんだ】
【分かる】